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2019年6月 2日 (日)

東電裁判被告の武藤栄に原子力損害賠償制度の検討委員をしていた過去

福島原発事故の責任を巡って刑事・民事に渡り、様々な訴訟が提起されている。その中でも当時の東電会長であった勝俣恒久、取締役副社長原子力・立地本部長からフェローに転じた武黒一郎などは刑事訴訟や株主代表訴訟の被告に名を連ねている。取締役副社長(代表取締役)原子力・立地本部長だった武藤栄もその一人だ。

ところで、こういった幹部を含む原子力部門の重鎮達が、その出世の過程でどんな仕事をしてきたのかだが、津波対策についてはかなり解明されたものの、その他の点は断片的な裏話が目立ち十分に解明・論評されていない。

武藤の場合、2000年代初頭に電事連原子力部長に出向し、原子力損害賠償制度に関する調査に参加していたが、これもまた、ネット上で話題になっていない。

事の発端は、2001年度予算で、原子力委員会が原子力損害賠償制度に関する調査を三菱総研に発注したことに始まる。その調査の検討委員の一人が武藤だった。紙版の報告書は入手し、冒頭には配布対象者に向けて「引用、転載には承認が必要」といった(著作権法の観点から第三者には完全に無意味な)文言があるが、内閣府がネット上で全文公開している。

 原子力損害賠償制度検討会報告書 平成14年3月(内閣府HP)

内容は国家間で原子力損害賠償について共通のルールとして生み出されたパリ条約・ウィーン条約を、アジア地域に適用するにあたっての課題を調査したものであった。あまりなじみのない条約だが、ヨーロッパを中心に締約国を増やしてきた。日本、アメリカ、ロシアといった(当時の)原子力大国は入っていないが、日本の場合は無限責任制度であるのに対し、条約の方は有限責任制度であること、損害賠償額の上限が原陪法に比較しても低すぎることなどを理由としていた。それが2000年代に入る頃には「無限責任制度を有する国であっても法的整合性の面で特段の問題が無いように改められ、また、賠償措置額も大幅に改善された」ため、このような検討が行われた。

ただし、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故に対応できるような内容ではないので、一部の法研究者以外は注目してこなかった。

しかし、原子力損害に関する業界周囲の考え方を知る上では参考になる点もあるし、武藤氏の脳内にどのような知見がインプットされているかを確認する上でもこのレポートは重要である。よって、現在進行中の訴訟を意識し、特徴的な記述を抜き出してみよう。

なお、「パリ条約/ウィーン条約」に関しては(推進側を含め)解説サイトが幾つかある。また、本文中で触れる東電の動向についてはLEVEL7や福島原発告訴団/支援団掲載の裁判傍聴レポートを読むと深く理解できる。

【原子力損害賠償の一般的性格】

4.わが国を含めたアジア地域原子力損害賠償制度の必要性
(1)制度構築のニーズ
  原子力損害は、人身および財産に与える影響が甚大であることが予想されるとともに、その性質上、損害原因の特定および結果の予測が非常に困難である、という特殊性を有している。
 こうした特殊性を有する原子力損害の賠償処理を、従来の過失責任ルールの下で行おうとするならば、被害者は、非常に困難な加害者の特定及び過失の立証に直面することとなり、被害者の救済は実際問題として非常に困難となる。また、仮にこの問題が解決されたとしても、加害者である事業者に賠償資力が備わっていなければ、被害者の救済は画餅に帰すこととなる。


 したがって、被害者救済を迅速かつ十分に行うためには、まず第一に、1)無過失責任制度、2)原子力事業者への責任集中、3)この責任の履行を担保するための損害賠償措置の事業者への強制、を柱とする、原子力損害賠償制度を確立することが必要不可欠であるといえる。


 そして、原子力事故が越境損害に結びつく可能性があることを勘案するならば、原子力施設を有する国のみならずその周辺の国々においても、原子力損害賠償に関する適切な法制度が整備されることが重要である。このとき、大規模かつ複雑な賠償処理において、国家間での賠償の公平性が担保されるようにするために、その制度内容は国際的・地域的に統一されたものとすることが望ましい。

具体的な賠償額と範囲を除けば、方向性としては正しい記述である。

【越境損害に対する見解】

2.国際的原子力損害賠償諸制度の沿革及び概要
(1)歴史的背景
国際的な原子力損害賠償制度は、各国の国内法とほぼ同時に整備されてきた。原子力損害賠償制度の確立に取り組む先進諸国は、越境損害の問題に対応するためには共通の国際的枠組みが必要であると考え、国際条約の整備についても原子力開発の初期の段階から着手した。この結果、1960年には経済協力開発機構(OECD)により、原子力の分野における第三者に対する責任に関する条約(以下「パリ条約」という。)が採択され、(発効は1968年)、1963年には国際原子力機関(IAEA)の下で、原子力損害の民事責任に関するウィーン条約(以下「ウィーン条約」という。)が採択された(発効は1977年)。


ところが、1986年に発生した旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所における事故は、国際的な原子力損害賠償制度のあり方について大きな問題を投げかけた。チェルノブイリの事故の際、旧ソ連政府は、越境損害に対する損害賠償を規定している国際条約に加盟していないことを理由に、国外で発生した損害に対しては、何らの賠償をも行わなかった(国内では2000年までに2,000億ルーブル以上を支払ったとされる。)。すなわち、それまで30数年をかけて整備されてきた国際的な原子力損害賠償制度は、チェルノブイリ事故に対して機能し得なかったのである。このような事情の下、IAEAを中心として、損害賠償措置額の増額、条約締結国の拡大の必要性等について、活発な検討が開始された。その結果、パリ条約とウィーン条約との連携により被害者救済措置の地理的範囲の拡大を図ることを目的としたウィーン条約及びパリ条約の適用に関する共同議定書(ジョイント・プロトコール)がIAEAとOECDの原子力機関(NEA)との共同作業により1988年に作成され、また1997年にはウィーン条約の改正議定書及び原子力損害の補完的補償に関する条約(以下「補完的補償条約」という。)がIAEAにおいて採択された。

※下線は筆者による。

越境損害に言及しているのも興味深い。当たり前だが、彼等は安全神話を利用する一方で、実際に事故が起きたらどのようなハレーションを生むのかについても、知見の更新を続けていた(詳細は割愛するが業界は、越境損害に関して本レポートの他にも様々な研究を行っていた)。

このことは後程もう一度取り上げる。

【原陪法3条但し書き削除の提案】

2) 免責事項
 原賠法においては、「異常に巨大な天災地変」又は「社会的動乱」による原子力損害について、原子力事業者は免責とされている。


 一方、ウィーン条約改正議定書においては、「武力紛争行為、敵対行為、内戦又は反乱」に直接起因する原子力損害について、運転者は免責とされている。したがって、我が国がウィーン条約改正議定書を締結する場合には、少なくとも「異常に巨大な天災地変」による原子力損害の扱いについて、何らかの調整を行う必要がある。


 条約を締結するに当たっては、原則として、条約の規定に過不足なく対応できるよう措置する必要があることから、ウィーン条約改正議定書締結についての対応策としては、「異常に巨大な天災地変」による原子力損害を、原賠法の免責に関する規定から削除することが必要になるものと考えられる。


 この対応をとる場合、従来、免責となっていた事項についてのリスクは、責任集中されている原子力事業者が負うこととなる。しかしながら、この点については、原子力事業者は、その結果、何らかの追加的負担が生じることに強く反対している。従って、その主張に従えば、原子力事業者に追加的な負担が生じないような仕組みが可能であるか否かを検討することが必要となる。

「5.条約と国内法との関係 (1) ウィーン条約改正議定書との関係」

驚くべきことに、ウィーン条約には事故を起こした原子力事業者の免責条件として「異常に巨大な天災地変」が規定されていないので、削除が妥当と書かれているのだ。ただし、規定を削除したことによるリスクの追加に対して原子力事業者は反対とも記されている。

検討委員会に入っていた現役の原子力事業者の代表者は武藤だけである(他に原電の顧問が一名)。業界における東電の立場が盟主であったこと、他社は東電よりのりしろを付けて予防的に対応する傾向があったこと、武藤の社内での地位を考えると、ただのメッセンジャーであるとは言い難く、武藤個人の意思も反映された意見と考える(盟主扱いは事故前より一般紙にも見られる。例えば「原発耐震補強 迷う東電」『日経産業新聞』2007年8月21日32面)。

レポートが作成された2001年度は土木学会で「原子力発電所の津波評価技術」が審議されていた時期に被り、翌2002年に安全率を1にして(不確実性を見込まないで)発行されたのはよく知られた事実である。また、2002年には東電の津波想定実務の担当者(高尾誠)が原子力安全・保安院に40分も電話で抵抗して大津波の想定を拒否したことが、裁判の過程で明らかになっている。本レポートの「原子力事業者の見解」はこれらの動きと軌を一にしている。即ち異常に巨大な天災地変に対応するための追加コストはそれが予防のためであれ賠償であれ支払いたくない、ということだ。

高尾氏は数年後には反省したのか、2008年には大津波の想定を認めて対策するように社内で活動するのだが、武藤が出席した御前会議は津波対策を延期を決定した。「原子力事業者にとりマイナスになることは一切行わない」という考えを変えなかった。

また、原子力委員会や国も、無限責任を基本とし、災害多発国でもある日本の原賠制度から、「異常に巨大な天災地変」による免責事項を削除する代わりに、必要な天災リスクを予防するための資金を電力会社に助成したり、国家が肩代わりすべき賠償積み立て金を確保する等の措置を行わなかった。そもそも、条約加盟国が本当に天災リスクの少ない国ばかりなのかという点も考慮した形跡がない(欧州でも南部は地震リスクが存在し、洪水リスク等も常々指摘されている)。彼等もまた、東電同様に逃げたのだと言える。

【その後の推移】

その他、このレポートの後にどのように事態が推移したのだろうか。

  • パリ条約、ウィーン条約共にチェルノブイリ事故レベルの損害を補償するためのスキーム(賠償額の桁単位での引き上げ)は行われなかった。
  • 日本はパリ条約、ウィーン条約、補完的補償条約いずれも署名も批准もせず、越境損害賠償についてのスキームを整備しなかった。
  • 原子力損害賠償法から異常に巨大な天災に関する規定は削除されなかった。

上述のように、武藤や電事連が補償の拡大充実について調査研究・ロビー活動に積極的だった事実は見当たらない。

そして福島原発事故直後の2011年3~4月には、案の定東電から「異常に巨大な天災地変」なので免責規定を適用すべきとの主張がなされた。かつて、武藤を通じて追加のコストを支払うことに反対した、あの異常に巨大な天災地変に東日本大震災が該当するというのだ(当ブログ他で指摘されているように、予見も回避も可能だったため、そのような指摘は当たらない)。

この件で、原電出身で自民党から転じた与謝野馨経済財政相と枝野官房長官は怒鳴り合いう事態となった。しかし枝野氏が押し切り、東電は免責されることは無かったものの、後に業界の巻き返しで経営破たんの形は採らず、半国有化されるに至った。

【事故後8年経って振り返った時の視点】

訴訟の場においても原陪法3条但し書きの精神を引き継ぐ形で「異常に巨大で回避不可能な災害」という観点に収束するように、被告側弁護団が論じている。

しかし、そもそも条約への整合化がなされていれば、最初からこのような論理がまかり通る余地は皆無だったと言える。免責という法益をちらつかせることで無駄な議論や『免責法理のプロパガンダ』を生み、時間稼ぎをしてきた東電・政府関係者の罪は大きい。

むしろ、このレポートの存在により電事連はもとより、武藤個人も原子力損害賠償制度について、通常の東電原子力部門社員より詳しく知った状態で、津波対策の延期を決定した東電経営陣の2008年の「御前会議」に出席していたことが分かる。当時のことに関して言えば、原賠制度のスケールの大きさから、真面目に論じる必要があったのは最高幹部達であり、勝俣、清水といった面々も武藤からレクされていた可能性を考えておくべきだろう。

勿論、この調査が原子力委員会による発注だったことも重要な観点である。制度の運用者で制度設計や立法にも官僚などと共に影響を与える者が、電事連の代表者と共にレポートを作成していたことは、訴訟における彼等の正当性~当時の制度に従っただけ~といった論理に重大な問題が潜んでいることを示す。

越境損害についての考慮も同様である。本文を読めばどちらの国で裁判を行うかについてもこのレポートは制度化の必要を認めている。

4) 裁判管轄、単一法廷

 原賠法においては、裁判管轄に関する規定が、特に置かれていないことから、国際裁判管轄に関する判例法によれば、原子力損害賠償請求訴訟についての裁判管轄としては、被告の住所地(本拠地)国に加え、事故発生地国及び被害発生地国に認められることになる。


 一方、ウィーン条約改正議定書においては、裁判管轄について「その領域内で原子力事故が生じた締約国の裁判所のみに存する」と規定されるとともに、「自国の裁判所に裁判管轄権が存する締約国は、一の原子力事故に関して自国の裁判所のうち一の裁判所のみが裁判管轄権を有することを確保しなければならない」と規定されている。


 このため、同議定書を締結する場合には、我が国以外の締結国における原子力事故の被害が我が国に及んだ場合に当該事故発生国に裁判管轄権が特定されることに関して、問題点等の検討を行っておく必要がある。
 この場合、我が国国民は、外国で訴訟を行うこととなり、我が国において訴訟を行うことに比べ、言語の問題、旅費等の経済的負担、事故発生国と我が国との民事訴訟に関する裁判手続における法令の定めや慣習等の内容の差異等が生ずることが考えられる。
 しかしながら、同議定書締結により、

  • 同議定書に規定される原子力損害については、越境損害であっても確実に 合計3億SDRまでは賠償措置が講じられることとなることから、同議定 書を締結しない場合に比べ確実な被害者の救済が図られること、
  • 前述の被害者の訴訟に伴う負担等に関しても、同議定書に規定された被害発生地国による代位請求や紛争処理手続により、かなりの程度、緩和されることとなると考えられること
等から、同議定書の締結は我が国にとり十分な利点を有していると考えられる。

 我が国が同議定書を締結する場合には、裁判管轄の一元化を実現するため、我が国が事故発生地国である場合に、裁判手続法上、一つの原子力事故による原子力損害について裁判管轄権を有する我が国の裁判所を一つに特定するための国内法上の措置を講ずる必要はある。

 

「5.条約と国内法との関係 (1) ウィーン条約改正議定書との関係」

※下線は筆者

越境損害で被害を受けた国民が外国で訴訟を起こすことになる・・・これが現実化したのがトモダチ作戦に参加した米兵訴訟である。条約に未加入、或いは未署名という点では米国も日本と同じ状態であり、日米共に、法の欠缺を放置していたことになる。

東京電力ホールディングスは6日、東日本大震災の支援活動「トモダチ作戦」に参加した米空母乗務員らが福島第1原発事故で被曝(ひばく)したとして、医療費に充てる基金創設などを東電に求めた2件の訴訟の判決で、いずれも米国の裁判所が訴えを却下したと発表した。

東電によると、2件は米カリフォルニア州の南部地区連邦裁判所に提訴されたもので、それぞれ10億ドル(約1120億円)の基金を求めていた。判決は4日付で、裁判所は却下の理由を「審理する管轄と権限を有しない」とした。

東電は「当社の主張が認められたと理解している」とコメントした。〔共同〕

トモダチ作戦の訴え却下 原発事故で米裁判所」『日本経済新聞』2019年3月6日

トモダチ作戦訴訟についてはネットメディアでも数件報じられているが、裁判の管轄権が主要な争点となり、原告側擁護の立場から河合弘之弁護士は渡航にかかるコスト、日本側の裁判制度の瑕疵などを指摘し、米国での提訴につなげた経緯がある。しかしそもそも論として、事前に被害者に寄り添った制度化をしておかないから、このような時間と議論の年単位での空費が起こるのである(なお、米国はウィーン条約には参加していないが、上述の「補完的補償条約」は福島事故までに批准していた)。

今後、海洋汚染の拡大が確認された時点で、同様の事態が他国とも生じる恐れが高い。

なお、業界側は事故後、「原子力損害賠償制度に関する今後の検討課題~東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を中心として~」(日本エネルギー法研究所、2014年)にて事故前の議論についても触れている。事故被害の巨大さから津波想定の問題をはじめ、かなり踏み込んだ法的検討はしているが、原陪法3条但し書きに関する議論や裁判管轄権に関する制度の不備を放置したこと等について、事故前の知見を批判的に分析はしていない。ADR等の裁判外の賠償手続きについても迅速性を強調する等の自賛?が目立つ。

今後、注意を払うべきなのは、原発事故訴訟が提起されてから、武藤が法的知見と経験を被告および補助参加人、弁護団と共有してきた可能性が高いことだろう。彼らの構築するロジックを細部まで検討すると「単なる津波対策の免責」という観点だけでは理解しがたい文言が見つかると、弁護士やウォッチャーの間でしばしば指摘されている。これらを素朴なカルト信仰の変形として理解する向きも多いが、今回のレポートやその他の業界内でクローズする専門知見を反映した行動と見るのが、被災者に対して公正な被害補償を達成するうえでは適切と考える。

2019年4月 3日 (水)

へぼ担当の正体が判明したため、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に抗議した

以前当ブログで告発したへぼ担当(TwitterID:@hebotanto)だが(この記事この記事など)、その後彼自身および元妻、軍事ライターdragoner氏(PN:石動竜仁氏)等が公開している情報から正体(実名・詳細経歴等)が判明した。彼は本当に東電原子力部門社員としてツイッターで問題行為を続けていた。

このため、証拠となる文書を添えて東京電力柏崎刈羽原子力発電所に抗議した。

以下、メールの一部を公開する。

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2018/07/04

突然のメール、失礼します。
岩見と申します。

ネット上を主な活動の場にしているへぼ担当というハンドルネームの人物が、東電グループ社員であることを仄めかし守秘義務違反を含むモラルハザードを続けている件について、連絡します。
近年はTwitterでhebotantoというアカウントを取得し活動しているようです。

彼の問題ですが、数々の暴言、安全神話、異論者との対話拒否、守秘義務違反、同僚後輩の悪口、インサイダーへの異常な関心等です。それらについては下記にまとめています。
http://iwamin12.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/dv-cc1d.html
http://iwamin12.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-c042.html

(中略)奥様が東京電力健保組合に言及して、社員であることが当人以外の発言でも証明されています。

http://archive.is/0RQFk

また彼は、(中略)以上の条件を加味して推定すると、A氏(注:メールでは実名)が該当します。

A氏が本名で登録している幾つかのSNSを見ると、職務経歴、現在の居住地(中略)、B氏との関わりが載っています。これらはへぼ担当のtwitterの書き込みと完全に一致しました。

彼は(中略)炉主任を取得、他に技術士、ボイラ・タービン技術主任者を取得、技術評価の仕事の他、311後はガスタービン発電機車の保守業務などにも関わったようです。

(中略)原子力安全にとって重大な脅威であり、処分をお願いします。

===================

設楽 親
2018/07/04
To 村田, 大嶋, 自分

情報ありがとうございます。

こちらでも調べて対処致します。


********************************

東京電力ホールディングス(株)

 柏崎刈羽原子力発電所

         設楽 親

(中略)
********************************

責任を全うするため技術力の向上と組織力の強化に取り組みます

====================

2019/03/28

柏崎刈羽原子力発電所
設楽様

御無沙汰しております。岩見です。
根拠について添付ワードにまとめましたので、送ります。

様々なウェブサイト、SNSに記録を残していること、
古い版とは言え〇〇〇〇会名簿に東電社員として記載されていること等が根拠です。

不躾な連絡であったとはいえ、予想通り半年以上部下の方を含め返信も無く、呆れております。

特に今年に入ってから顕著ですが、ニッカウヰスキー、済生会病院、世田谷年金事務所、立憲民主党などSNS上の問題発言が原因で有名企業、団体等の人物が相次いで処分を受けたり、著名政党が新人の推薦を取り下げるなどの事例が相次いでいます。

数年前には復興庁参事官、東日本大震災直後には東電社員も同様の問題発言で処分されていますね。

A氏の一連の発言も同様のソーシャルメディアリスク事案です。
近年では世論に加え、法制度的にもこのような問題への視線は厳しいものとなっています。
機密情報漏洩リスクもさることながら、下記に示すように、社外の委員会において反対派を出席させるものの結論は予め準備したものとし、口封じ対策する旨のツイートは、東電の信用を根本から破壊するものです。

20150118_hebotantobougen

注:元ツイートは以下
https://twitter.com/hebotanto/status/556644728066699264(魚拓:https://archive.fo/DgCBN)
https://twitter.com/hebotanto/status/556652836017020929(魚拓:https://archive.fo/yNfuF)


色々な宿題が残っていると当の反対派などから不満が表明されている新潟県の技術委員会に対してどのように説明するつもりでしょうか。

事はA氏本人だけの責任では済まないと考えます。(後略)

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さて、メールで示したように他の類似案件では調査期間は長くても数日である。従って、これは本店と現場が連動した、東電の意図的なサボタージュに他ならない。

A氏の社会的属性は下請の作業員ではなく、高卒が多く採用される一般の原子炉運転員とも異なり、原子炉主任技術者・ボイラ、タービン主任技術者である。少し古い情報源ではあるが、東電内では、福島事故でも議論となった運転操作基準の改訂にあたり、改訂案を審査承認出来るだけの技能を有するとされていた。実務における技術的重要度は極めて高いと考える。

そのような重責を担当し得る人物が関与したネット工作の継続期間、趣味・業界人への浸透度合いも過去問題発言をした一般の人士と桁違いである。

なお、彼の技術力自体は高いので、批判記事だけではなく次のような記事もアップしている。

電気火災の脅威を力説し旧式原発3基の不安全を証明した東電原発職員へぼ担当氏

このような問題を抱えておりながら、東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働がスムーズにいくと考えているのだろうか。再稼働の前にはA氏が嘲笑した委員会のひとつである、新潟県技術委員会の調査が完了することが必要とのことだが、その役割は完全に形骸化したと見るべきだろう。なお、同委員会委員の田中三彦氏他によれば、東電はこの委員会で提起された多くの技術課題の解明に消極的な対応を続けているそうだ。

私は次の処置以外に解決策は無いものと考える。

  • 柏崎刈羽原子力発電所の安全審査が完了した6,7号機を含む全基の廃炉
  • A氏はもとより、上記メール前に通報した東電お客様相談窓口で調査を放棄する旨の回答をした部門の関係者、設楽所長以下発電所関係者の処分

実は、この8か月間、私は改めて東電の態度を観察していた。電気火災の記事を読めばわかるが、A氏の暴言には地元の消防の能力を嘲笑した書き込みも含まれる。ところが東電は、2018年秋にトンネル内のケーブル火災を起こし、早期に鎮圧出来なかった。かつて、2007年の中越沖地震後、火災に対する可燃物の対策が不備との理由で、柏崎市は消防法を理由に柏崎刈羽原発の運転停止を命じている。A氏がその意趣返しをしたかったのかは分からないが、不必要な舌禍であり、自衛消防隊の能力に見合わない発言だったことは疑いないものである。

ある意味では、A氏の個人的な非違行為が問題なのではない。これは、福島事故を経験した後の、東電の安全文化がどのようなものなのかを示すための、一種の試験だったのである。その結果は上記のように、相も変わらずの無視・無為・無策である。社外から何度も津波対策を求められても吉田所長以下一丸となって拒否を続けた事故前と、何ら変わるところが無い。むしろ「そんな金があるか」という意味の言葉を吐き捨てた吉田氏より一段と悪くなっている。

どのような高度な技術を駆使しても、根本的なモラルが破綻している集団に責任を全うして原発を運営することは不可能である。誰の目にもよくお判りいただけると思う。

同時に、この情報を2018年夏の時点で掴んでいながら、何の裏取りの努力もしなかった一部の「原子力問題に詳しいジャーナリスト」についても猛省を求めるものである。例えばかつて復興庁参事官暴言ツイート事件を暴いた毎日新聞は、子会社が電力会社の広告を受注してきた過去からかは不明だが、何の反応も示さなかった。広河隆一を持ち上げ続けた挙句、態度を急変させた某ライターもそうであった。

結局、こういった人達は、ネット時代以前の旧来の党派性に凝り固まった取材しかできないのではないか、私はそう疑問に感じている。

※文中、敢えて個人名を示さなかった個所がある。添付した文書をアップしないのも同様の理由である。ただし一部市民団体・弁護士・牧田寛・添田孝史氏他数名の原子力問題ライターには回送している。

2019年1月19日 (土)

【和製ブラウンズフェリー事故】北電火発が経験した浸水火災【再稼働に一石】

技術者が福島原発事故を眺めた時、一般防災に役立てられることを含めて、少しでも多くの教訓を抽出したいと考える。当然のことだ。

一方で、自らの能力を意図的に低く偽り、警告から目を背けた原子力村の住民がいる。

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往年のNHK教育テレビ番組『できるかな』のノッポさん。作者不詳の恫喝文句が付け加えられ、ネットで流通している。

検証や訴訟の場で責任を問われた者達が「実は工作が苦手だった」「はてはてフム~♪」と放言するのが流行っているが、それで済まされる訳がない。小さなお友達相手の番組じゃあるまいし。

近年、原子力規制庁が問題にしているHEAF問題もその一つだ。今回、HEAFに潜む盲点を明らかにしたい。

【そもそも、HEAFとは何か】

日本語では、「高エネルギーアーク損傷」という。

高電圧、高電流の放電によって金属が気化し、爆発する現象のことで、電源盤とか配電盤と呼ばれる機器の動力回路で発生する。他のケーブルや配電盤/電源盤に延焼するため、とても警戒されている。

アメリカでは2000年代初頭よりNRCが研究していたが、日本で注目されるようになったのは、311以降のことだ。その理由は、女川原発1号機で被災時に発生し、規制庁が研究課題に取り上げたからである。

経緯はこうだ。地震直後は外部電源が生きていた。しかし、発災10分後に常用系高圧配電盤の一部をHEAFによる電気火災で損傷し、起動変圧器が停止。これにより外部電源を受電できなくなったため、非常用ディーゼル発電機での電源供給に切り替えた。

Ntec20161002_fig21_2 NRA技術報告 NTEC-2016-1002『原子力発電所における高エネルギーアーク損傷(HEAF)に関する分析』原子力規制委員会 2016年3月

女川1号機の高圧配電盤がHEAFを起こした理由は、盤内に据え付けてあった遮断器が、地震動で壊れたからである。この遮断器は非常用ではなかったので、耐震性の低いタイプが使われていた。

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【参考1】HEAF火災発生防止対策(国内:女川1号機)『HEAF火災規制化(新知見)に対する事業者の取組み状況および今後の対応について』電気事業連合会
先ほどの写真の盤の中に、遮断器が収められていた。

電力各社や電気事業連合会は、この対策として次のような内容を考えている。

  • 原発の盤用遮断器を耐震性の高いタイプに入れ替える(女川他、各原発で実施済み)
  • 非常用発電機でHEAF火災が起こらないように遮断器(を収納した盤)を追加。
  • 電源盤が故障しても原子炉建屋の回路から切り離せるように、リレーを高性能なものにする。
  • 燃え移らないように、電源室を複数に分離したり、ケーブルトレイを発火源から離して設置する(以前より実施)。
  • 万一燃え移った時のために、難燃性ケーブルや延焼防止剤を使用する(以前より実施)。

対策は、事故が起きないようにする対策と起きた事故が拡大しないようにする対策の2種類がある。ただし、これから紹介する事例を読むと、前者は十分ではないことが分かる。

そう、地震動を気にして研究を開始したことにHEAF対策の欠陥が潜んでいるのだ。

【奈井江火力発電所を襲った水害】

本件が取り上げられなかった理由は単純で、「原子力発電所のトラブル」に拘り過ぎていたからだろう。

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【参考3】国内における火災事例『HEAF火災規制化(新知見)に対する事業者の取組み状況および今後の対応について』電気事業連合会

電事連が提出した資料はNUCIAから火災事例の一覧表を作っている。よって、火力発電所のトラブルは集計しなかった。だが、火発にも原発の参考になる事例はある。

1981年8月、台風12号の直撃を受け北海道電力奈井江火力発電所が冠水した。発災当時も電事連内部などで参考例として各社に情報共有がなされたと思われるが、ここでは、『北海道火力原子力発電ニュース』Vol.43(2000年)に掲載された所員の回顧録「台風12号の直撃を受けた奈井江発電所 」をもとに説明する。

奈井江火力発電所は台風襲来の直前に運転停止操作を実施し、所内の電力を賄うため、外部電源の受電に移行した。

その後、所内の冠水により機器操作用の直流電源が接地で故障し、起動変圧器用の遮断器が制御不能となった。

このため、特別高圧回路を開放することができず、本館1階の4kV高圧母線が短絡接地し、その短絡電流によるアークが室内の制御ケーブルトレイに燃え移って火災を起こし、全館停電となったのである。

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なお、炎上したケーブルは可燃性ケーブルであり、延焼防止剤も塗布されていなかったため、ケーブル延長の8割を焼損した。

【コラム:外部電源・所内回路・起動変圧器・遮断器・母線とは】
電気に慣れている読者には説明不要だが、以下解説。

外部電源とは屋外の変電所につながった送電線のこと。電気エネルギーは電圧が高いほどロスが少なく送ることが出来るので、送電線の電圧は17万Vとか50万Vなどとても高い(特別高圧という)。しかし、電圧が高いことは電気機器を使用する観点からは危険且つ不便なので、発電所の中では一般の工場と同じように低い電圧に降圧する。降圧後は所内回路と呼び、6900V,4160Vなどの所内高圧回路、480V,220Vなどの所内低圧回路がある。

いずれも3相交流だが、3本の線を回路図に書き込むと煩雑なので、1本に省略して表したものを単線(結線)図と呼ぶ。

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d-book 火力発電所・所内回路と付属変電所』P6より青字加筆。奈井江火力は建設時期から上図に準じた構成と推測される。

起動(始動)変圧器とは、発電開始前に外部電源を受電して、所内の様々な機器を動かすためのもの。その他、発電所が停止した際に外部電源を受電するためにも使われる。普通は、ボイラーや原子炉とは別の場所(屋外の場合も)に設置されている。

遮断器とは電気回路の入り切りをするための機器である。奈井江で制御不能となったものは(恐らく)特別高圧用。盤に収納するようなサイズではなく、屋外に設置されたがいしの化け物のような形をしたものをイメージすれば良い。これに対して、女川で壊れたものは所内高圧回路で使用するもので、盤内に収納されている。いずれも入り切りする回路の電圧は高いが、操作用に低圧の直流電源などを使用する。

なお各機器を表す図記号はJISで決まっているが、国際的なIEC規格と同じものを使う方向で2000年頃大きく変わっている。

母線とは、上記d-bookの単線図で横に渡っている線を指す。所内高圧回路や所内低圧回路の特に動力用に使用される導体(銅などでできた平板)。配電盤の奥に設けてあり、それ以外の部分もバスダクトという形で保護されているので、一見では分からない。建屋の外にある主母線になると、交流1相ずつ丸型の配管に収めてあり、相分離母線と呼ばれる。

詳しくは参考文献欄のd-book 火力発電所・所内回路と付属変電所』などを参照してほしい。

ボイラーを原子炉に置き換えれば、原子力安全の分野でよく知られている、ブラウンズフェリー1号機火災事故(1975年)と同様の問題と見ることができる。その原因がブラウンズフェリー事故の原因となったロウソクの炎が燃え移ったことでもなく、女川のような地震とも異なり、水害という所に特徴がある。しかもブラウンズフェリーと異なり、2階の電気室、3階の中央操作室も全焼していた。影響は大きい。

Karyokugensiryokuhokkaido2000no43_2 よって奈井江の事例は津波対策、HEAFの両方の視点から大きな意義を持つ。

【1980年代前半にとられた対策】

電力業界も無策ではなく、福島第一は1970年代末より順次ケーブルに延焼防止剤を塗布しており、6号機に至って全面的に難燃ケーブルを採用して建設された。

当然のことだが、奈井江火力復旧に当たっても、延焼防止剤の塗布や敷地、建屋への浸水防止策が講じられた。

また、奈井江の教訓を水平展開したのか、1983年に発行された『JEAG-3605 火力発電所耐震設計指針』の10章では、盤据え付け位置が配管破壊で冠水、浸水しないことが明記された。

Jeag36051983_p257_2 「10.3.2 屋内開閉装置」『JEAG-3605 火力発電所耐震設計指針』(1983年)
クリックで拡大可

更に、津波想定をしておきそれよりも高い位置に電気室を設けることも明記された。原発の場合は敷地全体を建設時の津波想定より上にする、ドライサイト原則があるが、火力の場合は重要な電気室だけは守るということであろう。

なお同指針は火力発電所の電気室が2階に設置されることが多いので2階に設置するとも述べている。地震の揺れを警戒して地下室に設定される傾向が大きい原発とは異なっている。ただし、原発でも電気室を2階に配置している事例は敦賀1号機などがある。

【外部電源が生きていたまま津波で浸水した場合、福島第一でも火災が発生した可能性がある】

以上、只の昔話ではないことが分かったと思うが、今日的な問題提起としては2つある。

一つ目は福島原発事故分析の盲点。2016年頃までホットな話題だったのは、大津波の想定は確実だったのか、という予見可能性の問題だった。民事・刑事裁判が進んでから言及されるようになってきたのは、「想定できたとして、対策は間に合ったのか」という回避可能性の問題である。訴訟では、回避可能性も後知恵抜きで証明する必要がある(個人的には、原告側にそこまで完全な証明を求めることは酷だと感じているが)。

さて、有名な2008年の15.7m試算だが、その前提条件は福島沖で明治三陸地震と同規模の津波地震が発生することである。津波地震とは、陸上での揺れはそれほど大きくないが、津波の規模が大きな地震を指し、明治三陸の場合、沿岸での震度は最大でも4に過ぎなかったとされている。したがって、この試算では揺れは問題となっていない。

実際の福島事故ではまず震度6強の地震動で外部電源がすべて破壊されたが、もし外部電源が生きていたまま津波が襲っていたら、奈井江と全く同じ環境条件が成立し、電気室、中央制御室等で電気火災の危険が大きかった。これは、後述のように他の被災原発と条件が異なるからである。

福島事故は地震動による電気設備の破壊と津波による施設全体の破壊などが重畳した複合災害である。そのことが却って、それぞれが個別に起きていた場合のリスクを見えにくくしている。このことは、得られる教訓も自ら絞ってしまうことにもなる。

とはいえ、複合災害に誤ったアプローチをしている人もいる。よく地震の影響を強調するあまり「津波は原因ではない。」と口走る研究家がいるが、津波災害に対し、大変傲岸不遜な態度だと思う。申し訳ないが、人間性すら疑わざるを得ない。事故分析はわかっていることから順番にやるしかないのである。

【15.7m想定を公式に採用していたら、福島第一は消防法令不適合となった】

ここからは、回避可能性の議論に戻る。「15.7m想定をもし採用していたら、どうなったか」という「もしも」を考えるということである。

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「壊すために作るんだよ!」――なつかしの工作番組「できるかな」のノッポさんが79歳にして大暴走。(ねとラボ)より

原子力施設も消防法令の規制は受ける。例えば、「発電用原子力設備の技術基準を定める省令」の4条の2には昔から火災による損傷の防止規定があり、その消火設備および警報装置の設備は消防法の規定を準用すると解説にある。

蓄電池(直流電源)は原発にとって最後の砦的な性格の電源だが、消防法施行規則12条では設置場所は雨水が侵入しない場所であることを定めている。

また、消防法を頂点とする法体系の下層には基礎自治体による火災予防条例があり、ここでは直流電源に加えて非常用発電機についても、水が入らない場所に設置するように定めている。

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消防法体系(能美防災株式会社HPより)

こういったことは以前より専門書で注意喚起もなされているものである。

  • 『工場電気設備建設マニュアル』電気学会,1981年 P437-438
  • 『実務に役立つ非常電源設備の知識』2005年8月、P165

なお条例は法律・省令では無いが、ハードロー(法律、省令)と実質同格に機能しているソフトロー(条例、企業憲章等)の代表例である。

なお、実際の例として、中越沖地震の際、柏崎市が柏崎刈羽原発に停止命令を出した。この時は、変圧器火災を早期に鎮圧できず、所内の危険物管理に問題があるとされた。停止直後、安倍首相や甘利経済産業大臣が発電所を視察し、東電会長だった勝俣以下、当時の首脳陣もメディア対応に当たった。結局原子力安全保安院は消火栓の整備や化学消防車の配備を決定し、消火栓は福島事故で注水に使用された。15.7m評価が東電内で揉まれる、前年のことである。

従って、15.7m対策を取る方針に転換した状況下で運転を継続するには、これら設置場所の水密化(水密扉への交換、ケーブル貫通穴のシール等)を完了させるまで、運転を停止する必要があった。消防法施行規則を無視するという選択肢は絶対にありえない。

奈井江で得た知見は15.7m想定を知らされた技術者や規制側の態度をダメ押し的に硬化させる効果を持ったと考えられる。保安院やJNESの溢水勉強会関係者にとっても、上述の民間規格JEAG3605や東電変電部門の「水害対策設計基準」等(後述)は、規制上参考になり得ただろう。

火力原子力発電技術協会で取り上げられた以上、知見の入手は容易であったし、日立と東芝により建設・災害復旧された発電所のため、メーカー経由でのノウハウ入手も可能であった。

また、『東電労組史』各巻の記録によると原子力開発初期に火力部門から多数を転籍させていた。また『電気情報』1993年3月号の池上亮元東電副社長インタビューによると、福島第一は他の原発と技術交流する以前より、東電の鹿島火力発電所とも技術交流していた。こうした事情から、福島第一は少し古い火発に詳しい者が多かったのである。

要するに、15.7m想定を採用した場合、福島第一は津波対策を終わらせて再稼働していたか、停止したままかの二択しかなく、回避可能性は十分に成立する。

  • 対策が終わっていた場合:過酷事故は起こらない。
  • 津波対策工事未了で停止していた場合:①調達に期間を要さない車両類、緊急資機材程度は高台に保管となっていたと思われる。②また、核燃料は十分冷却されており、電源復旧の対処時間には日単位での余裕が生じる。③更に、炉内圧力は大気圧に近いため、注水が極めて容易である。よって過酷事故には至らない。

だから、東電や国は賠償責任を取らなければならない。東電は法廷で、運転を継続しながらの津波対策を2008年から始めても間に合わなかった、という前提で主張しているが、そういうやり方は想定津波が主要な建屋の敷地より低い場合のみ(福島第一では10m以下)許されることだったのである。

Yomiuri20120219 『読売新聞』2012年2月19日より(『福島第一原発事故・津波被害に関するサイト』管理人撮影のものを引用)。

読売新聞が作った比較図を見ると違いが良くわかる。福島第一に記載してある6.1mは東電の正式な想定だが、捨てられた15.7m評価は他サイトと異なり、建屋の敷地高より上なのである。女川や東海第二は敷地高より津波想定が下なので、原子炉建屋の水密化は法令上も、また物理的にも必須では無かったのだ。

【再稼働の安全審査にも影響】

二つ目は、再稼働原発の安全審査にて、水害(津波,高潮,洪水,溢水等)或いは雪害,塩害,果ては工事用車両やヘリ、ドローン等の接触によるケーブル接地からの波及事故にどう対応するのか、ということ。

私もメーカー資料や工認図面を読める立場にないので、公開資料の範疇での議論となるが、規制委員会も電事連も、そのような観点でHEAFを扱っていないようだ。

Fupc_heaf_kangaekata2_20170613 2.電源系統設計を踏まえたHEAF火災対策の考え方『HEAF火災規制化(新知見)に対する事業者の取組み状況および今後の対応について』電気事業連合会

上図を見ると、起動変圧器や予備変圧器の上にある遮断器(長方形の図記号)でのトラブルについて何も設計上の見解を示していない。資料を読んでいくと、外部電源を受電中に所内高圧回路が故障した場合や、外部電源を喪失した場合のHEAFは想定しているが、水害等により外部電源そのものが悪さをし、HEAFに波及する可能性は考慮していないように思われる。

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【参考7】規制側質問回答補足(D/G受電遮断器の追加または移設を行う場合の課題)『HEAF火災規制化(新知見)に対する事業者の取組み状況および今後の対応について』電気事業連合会

もっとも、東海第二のように、元々電気室が狭いと建設記録にまで書かれているプラントで、遮断器を収めた電源盤の増設が出来るのかは疑問だ。電事連が資料にここまではっきり書くということは、日本原電の対応に困惑している証拠。

しかし今後は水害による地絡リスクそのものを減らす対策も必要だろう。

電気技術者の中には、HEAFの事例を見て、自家用電気設備内のトラブルが、地域の配電線全体を停電に追い込む「波及事故」を思い起こされる方もいるだろう。波及事故でも高圧電源の短絡はありふれており、浸水による制御電源の喪失も報告されているからである。つまり、それだけノウハウの蓄積はあるということも言える。

以下の観点から課題のみ示す。

【シーケンス制御的アプローチ】

制御電源(直流電源)の設計を見直すこと。例えば『受変電設備をシーケンス制御する』(電気書院,1981年6月)「5.4 制御電源」には、制御電源は運用パターンを考慮し、範囲を区切って分割しているのだという。また、保護の観点より見た地絡、電源喪失時の検出技術(64Dと呼ばれる地絡検出継電器による監視など)も確立していた。

ただし、同書刊行直後に発災した奈井江の例を見ると、検出だけでは十分ではない。制御電源の分散配置などによる回復や、遠方監視ではなく現場での手動を含む操作について考慮が払われていないといけない。例えば、全てを一か所から給電するのではなく水密化された電気室にパッケージ化された直流電源盤を設けることも検討に値するだろう。

柏崎刈羽などは蓄電池を多重化しているようだが、直流地絡対策としてどういう考え方をしているのか、資料を読んでも文章では明記されていない。一方で正興C&Eの資料などを見ると、地絡保護技術も年々進歩はしているようである。

遮断器側の検討も必要だ。「シーケンス図読み方のポイント」『産業技術者のためのシーケンス制御ガイドブック』(電気書院,1974年)には、「電源喪失時の動作は安全側か」という段落があり、対象機器の特性をよく検討しておく旨が記載されている。なお、雑誌記事をまとめた同書には遮断器、断路器の制御も詳しく記載されており、主回路に通電したまま操作出来ない断路器の場合は、インターロックが充実しているという。遮断器の場合も、水害を想定して安全側の動作をするようにインターロックを追加することも考えられる。

電事連の資料では非常用ディーゼル発電機は運転継続のため保護をパスするなどの設計思想があると述べているが、外部電源の場合は現行の規制での位置付け上、そこまでの運転継続性は求められていないと思われる。そういう点でもインターロックによる水害影響阻止の思想は受け入れやすい。

なお、制御電源に低圧交流を採用したり、古い設備では圧縮空気を使用しているケースもあるが、設計目標に厳しい水災害を考慮すべきという点では同じである。

【建築設備的アプローチ】

これは、建屋の内外で分けて考えるべきだと思う。

現状特に注意が必要と思われるのは建屋の外部である。開閉所等の屋外機器に配線されているケーブルなどだ。収容しているトラフやダクトの水密化、耐水ケーブル化が達成されているか、改めて検証する必要がある。

何故なら、規制庁や電事連の資料を見ても、原因に老朽化や施工不良は挙げているが、水害(災害)への言及は無いからである。なお、奈井江火力は被災時に運転開始10年程しか経過しておらず、老朽化が原因ではなかった。

東電が編纂した『変電技術史』(1995年)第11章を読むと、幸いなことに1977年「水害対策設計基準」を制定し、建屋外部の防護策についても色々定めていた。Tepcohendengijutsup563

「第11章第1節 変電所の設計」『変電技術史』東京電力(1995年)P563

また、同書P564によると1989年以降、周辺環境の変化等を踏まえ毎年各変電所の対策をチェックするように定めた。こうした事実は東電や規制委員会等の公開資料で触れていないので、発電所構内の変電設備に展開出来ているか(部門別に蛸壺となっていないか)を確認すべきである。

一方、建屋内部は福島事故後水密化工事済みであり、水災害リスクは根本的に除去されつつあるが、接地(地絡)防止処置については注意が必要だろう。

建物を水密化するには二重の防護策が取られている。第一が建屋外部への出入り口の水密化。第二が、出入口を開放しっぱなしで被災する等、建屋の中に水が入ってきた時に、重要な電気設備が置かれている部屋への浸水を食い止めるための、各部屋への出入り口の水密化である。

つまり、建屋の出入り口から水が入ってきて、各部屋の防水扉が最後の盾となっている時に、浸水した通路等に布設されているケーブルが接地して、事故を貰わないようにするにはどうするか。これを考えなければならない。

HEAF対策は、さほど大きな金額を投じなくても実施出来、作業員の被ばくリスクも基本的には存在しない。破局噴火など人類の科学水準では不可能なレベルの災害とは性格を異にする。しかしきちんと対処しておかなければ、また、どうでもいいようなトラブルが発展して大事故に至る。逆に言えば、水害型HEAFのような低いハードルは、電力と規制関係者の倫理水準がどの程度なのかを推し量る一つの材料ともなるのである。

【参考文献・Webサイト】

19/1/22:炉内圧力、および地絡について柏崎刈羽・正興C&Eへの言及追加。

19/1/23:中越沖地震で柏崎刈羽が消防法に基づき停止命令を出された件を追加。

2018年12月30日 (日)

「その筋の権威な広河さん」を知らなくても社会運動は出来る

フォトジャーナリストの広河隆一がDAYSJAPAN編集部に出入りしていた女性達に性的暴行を働いたというスクープが週刊文春から出た。

反反原発は勢いづき、リベラル左翼陣営でも多くは広河を批判している。ともかく今のところ、被害者叩きの流れになっていないのはまだしもである。

そういえば、旧DaysJapanの版元だった講談社の漫画にこんなセリフがあった。

You_are_under_arrest_file31

藤島康介『逮捕しちゃうぞ』(講談社)2巻より

日頃から歴史修正の常習犯に事実を突きつけてきた論客、外教氏の指摘は的確だ。

しかし、Twitterを観察していた所、極一部に、党派性を剥き出しにして被害者そっちのけで反反原発の広河批判の揚げ足を取ろうとしている者がいた。著名な論客ではないので具体的な引用はしないが、止めておいた方が無難だろう。この件に関して一義に悪いのは広河、次に(権威主義的な)黙認者達だからである。

また、反反原発な人達や一部カメラマンによると、知らぬ存ぜぬを貫こうとしている人がいたようだ。

確かに、Twitterで言えば、社虫太郎氏のように四六時中ネトウヨの性規範を馬鹿にしてきた人にはばつの悪そうな話ではある。私もオタクを輩出してきた理工系出身だが、ネトウヨでも、性的なことに興味が無い、又は二次元ゲームの消費等に留まっている者は、ああいう物言いは言いがかりと取る。だから、暴行魔がリベラルから出ると容赦ない批判に繋がるのである。

一方で、自分のことを考えてみたが、右にも左にも彼のことを運動の司令塔であるかのように権威として評価してきた人達がいるようだが、「広河隆一って誰?知らんわ」という感じだったので、「知らぬ存ぜぬ」だったのは私だということになる。

そう、私は広河隆一の本を読んだことが無い。DAYSJAPANも買ったことが無い。

勿論情報を求めて本屋や図書館には通っている。だから、広河の著作は原発関係や国際紛争の棚で背表紙を見てはいたものの、後述の理由からノーマークだった。

ここで言いたいのは血統の良さを自慢する類の行為ではない。広河の影響など受けなくても、というか広河に限らず、その筋の権威をいちいち持ち出さなくても、社会運動も研究も出来るということだ。

311前に私が居た推進陣営でも似たような違和感を感じることはあった。あちらはあちらで特定の「先生」を祀り上げる信者達がいた。東電のへぼ担当だけがやっていた訳ではないのである。しかし、原発の構造を学ぶのに、その先生とやらの名前を印籠のように持ち出すことが必要だろうか?この違和感が後に専門家不信につながっていった。

原発の問題一つとっても、個別具体的な課題となると相応の勉強も必要だ。1人でカバーできる権威などいない。Twitterでは原発関係の問題なら何でも流暢に語っている人が多くいるが、ウォッチ歴が長いからそう出来ているか、ニュースを次々論評しているかが大半だ。自分で調べ物や取材をしながら「広汎に渡って」語ると言うのは、普通は出来ないことである。

ある原発関係の懇親会で、Twitterで人権・情報公開について立派なことを述べている著名な方が居た。私は当時、偶々その人が過去に手掛けた案件に近い問題を扱っていたので話を振ってみたが「ふーん。」で終わり。けんもほろろな対応を取られたことがある。まぁ、無名だからしょうがないけどね、と納得した物だった。Twilogで言行を確認したところ、広河やパフォーマンスに秀でた著名人達を持ち上げ続けた末、スクープ後に態度を急変させていた。正直自業自得ではないかと思う。

私の場合、広河に関心を持たなかったのは、彼がやっていることがこのブログで問題提起してきた領域と殆ど被っていないことにある。事故前の津波の問題や、再稼動の問題で、広河の言が役に立つ場面は殆ど無いと思われる。

もう一つ、このブログを書くにあたって、只の報道のコピーは避けていることもある。例えば被曝。私は個人としては20mSv帰還反対論に立ち、菊地誠等の言行には批判的だが、そのジャンルでの独自研究はしていないし、裏取りにリソースを要する分野なので、特に新規性の強い記事は書いていない。プラントの安全性の問題についても本業は原発設計者ではないので、格納容器内部の問題は、教科書的知識と対抗専門家の主張を確認・紹介するにとどめている。

更に辛辣なことを言うと、広河の主張自体も、誰かの拝借・後追いがかなりあると反原発側の一部には見なされていたように思われる。例えば、ある著名なジャーナリストの過去のネット書き込みを確認してみたが、広河への言及はゼロ。また、元プラント技術者で原子力市民委員会の筒井哲郎氏は、Amazonで公害、原発関係書を膨大な量レビューしており、中には広河と被る、福島やチェルノブイリの住民避難の問題や被曝の問題に触れた作品も多い。しかし、広河の著作のレビューは全く見つからない。過去に目にした記憶も無い。

広河は7人も被害者を出し、証言から常習性が高い。反被曝についても言行不一致の様だ。となると、70年代のイスラエルのキブツ時代から全部検証しなければいけないとすら思う。

おしどりマコ氏などの追記を読むと、仕事上の付き合いがある女性全般に声掛けしていたようだ。資生堂が『ダルちゃん』というマンガを自社ページに掲載していたが、その時の違和感に近い。何で、仕事上の付き合いしかない相手といちいち性的関係を持たねばならないのだろうか。職場恋愛を否定するものではないが、今回はそれですらなく、意味が分からない。

そして、未だに分かって無い者が左右に散見されるが、性犯罪は党派を選ばない。

縁起でもないツイートだが、広河と違って、普段よく参考にしている方がそういったトラブルを起こした場合のことは、一種の予防的思考として考えたことはある。上記の添田氏が当事者となったケースを想定すると、得意分野は情報開示なので、開示された文書自体は躊躇なく利用し続けるだろう。ただし、コメントを無批判に引用し続けるかと言えば、当然一言断るだろうし、代替性のある一般的コメントの場合は引用はしなくなるだろうね。

今回は、その筋の権威を知らなくても、元来それぞれが持っているカラーを維持したまま運動は出来ることを述べた。勿論、既に誰かが言っていることを自分が最初に思いついたように装って書いたり、無勉上等路線を奨励している訳ではないことは付け加えておく。

2018年11月10日 (土)

【おしどりマコ氏に加え】東電下請あさくら氏が晒したマンスプレイニング【あの妹まで】

あさくらめひかり氏(Twitterアカウント@arthurclaris氏、以下あさくら氏)は何故ネット上でPA(パブリックアクセプタンス、要は宣伝)に励むのだろうか。

Arthurclaris_1059097150036959232 ツイートURL:https://twitter.com/arthurclaris/status/1059097150036959232

冒頭で上記のようなツイートを固定する程の熱の入れようである。東電のかなり上位(一次位)の下請で働いているようだが、これほどの態度は関係者でもあまり一般的ではない。

【デマバスターとしてはセコい】

最近は2018年9月に立憲民主党から出馬を表明したおしどりマコ氏とその擁護者に反応して、日々上から目線でバトルを繰り広げている。

 

冒頭画像はその一例だが、下記のようなことも書いてる。

これらの反論ツイート、元を辿れば私のブログ記事「福島第一排気筒問題で一部作業員、偽科学関係者が振りまいた安全神話」という、おしどり氏の問題提起をフォローする目的で書いた記事にリンクしている。つまり、私のブログを確実に認知した筈なのに攻撃してこないのは、以前、私に社内資料自慢を晒されて恥ずかしいと思ってるとか、碌でもない理由なのだろう。

後、私のサイトも「放射線脆化で排気筒倒壊」とは書いてないのだが、ブログを紹介してくれる方やbotには多少言葉が拙くても感謝してるので、あさくら氏のやってることはその意味でも迷惑。

なお、「放射線劣化」と「マコ」を外して書き直したツイートには執筆時点で直の返信は無し。

妹様には感謝申し上げます。

【あのへぼ担当すら二の足を踏む筋悪な東電擁護】

論争から2年半経過したが、私の評価は基本的に変わらず、東電信者を信用していない。一例としては、あさくら氏は東電の目視検査を盲信し、何の懸念も表明しなかったが、1年後、東京新聞が新たな破断個所を報道した件について、沈黙していることがある。

正確には、この件以外を材料に非難ツイートするようになった。その前に礼の一つも述べたらどうか。

その後東電は、目視検査にドローンを投入し、破断個所が増えても耐震性は変わらないとの主張にシフトしたが、これも当てにならないと見るべきだろう。

何故なら、ドローンを使用したところで目視検査には限界があるからである。

煙突のエンジニアリング企業であるツカサテックのウェブサイトを改めて見てみる。

 

【鋼板製煙突】リンク

検査のランクはA~C型の3コースに分かれており、診断結果に確実性が持てるのは、厚さ計など各種検査機器を使用するC型だけとなっている。

【鉄塔支持型煙突】リンク

簡単な一次点検、詳細な二次点検に分かれ、一次点検では板厚は梯子、プラットホームを使用して、超音波板厚計により計測し、煙突内部のライニングも撮影する。一次点検で異常が見つかった場合は二次点検を実施。ゴンドラに人を乗せて板厚計、レンチ等の治具を用いる、となっている。

しかし、福島第一の排気筒は下部を中心に高線量部があるため、こういった検査は不可能だ。

原発の地震想定、基準地震動についての説明も同様で、「倒壊の危険があるから解体」と書いていないのも当然である。上記の事情を汲んだ霞が関文学と同種の、当たりさわりない表現に過ぎない。

強い言葉で否定して後から言い訳。これである。

なお、実は、一連の論争にて、お仲間から師匠格と目されているへぼ担当(アイコンはこちら)は、あさくら氏の主張を全く紹介していないし、自ら排気筒の件で弁明もしていない。

へぼ担当は腐っても技術者である。当然だろう。それだけあさくら氏の主張は筋が悪いのだ。

【排気筒問題は誰が議論してきたのか】

そんなことよりあさくら氏と排気筒の経緯を見ていて気付いたことがある。それは、相手が女性だとより攻撃的になるということ。いわゆる、マンスプレイニングである。

マンスプレイニングという単語は原子力や理工系で使用される語では無い。Wikipediaの説明をそのまま引くと、男を意味する「man」(マン)と解説を意味する「explain」(エクスプレイン)をかけ合わせたかばん語。一般的には「男性が、女性を見下ろすあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」という意味である。

実は、排気筒の問題が議論されるようになったのは、おしどり氏の東洋経済記事が切っ掛けではない。以前から他の人達によって問題提起されていたことである。

著名な原発産業関係者・(元)技術者が排気筒問題に何時から参戦したのかを追ってみよう。

【2013年】

東電発表時に、ハッピー氏がこの問題に言及したのが嚆矢だろう。

そこにオノデキタこと小野俊一氏(元東電原子力部門技術社員)が続いた。

当時、ハッピー氏は福島第一で働く最も有名な原発作業員であり、小野氏もネット上では多くの耳目を集める存在だったから、あさくら氏が知らない筈はないのだが、彼が直接言及したツイートを発見することは出来なかった。(小野氏のツイートは拙いが、職歴等から判断すれば、セシウムのため人によるメンテが不可能という趣旨だと考える。)

【2014年】

 

化学プラント設計者の集まりである「プラント技術者の会」にて筒井哲郎氏がこの問題に対する技術提案を公開した。

IRID技術提案その1 1&2号機スタック転倒防止

筒井氏はTwitter上での知名度は低いかもしれないが、プラント技術者として半世紀にわたる経験を持っているばかりでなく、大変な勉強家でもあったため、311後の脱原子力運動で、技術問題を提起する中心人物の一人として活躍されている方である。

別に論争を煽るつもりは無いが、原発推進派の技術者にとって、反対派の技術者の方が論敵としての重要性は高いと考えるのが普通の相場観だと思う。しかし、この時もまた、あさくら氏は何ら言及も反論もしなかった。

なお、現在は東電がロボットとクレーンを用いた解体計画を策定したので、誰でも手軽にその内容を読み上げることができるが、当時、そのような便利な『台本』はPA師に与えられていなかった。

【2015年】

赤旗がこの問題を取り上げた。

福島第1原発 排気筒 耐用基準超えか専門家 腐食進み「危険な状態」倒壊なら放射性物質飛散も」『しんぶん赤旗』2015年2月20日(金)

この記事は直接は技術者の手になる訳ではないが、一般論として、日本共産党の情報収集力に一定の評価が与えられることも多いため、取り上げる。

 

上記のように、あさくら氏は赤旗を購読する家庭に育ち、現在も投票先は共産党と称している。後者は疑問だが、前者は人格形成上「親の思想に反発するというパターン」に合致するため、信頼性は高いと考える。そういう人は、赤旗電子版などの記事に目を通すものだ。

しかし、この時も彼は赤旗の排気筒記事に批判は加えなかった。

 

2018年11月に入ってからの言い訳。ブロックなどTwitter外から見ればどうということもない。何より、赤旗は政党機関紙ですがね。

【2016年】

おしどり氏が採り上げるとあさくら氏等は大騒ぎを始め、何かにつけて粘着するようになった。数が多いのでまとめのみ紹介する。

イチエフ排気筒の話 - Togetter

いや、2年半後の次のツイートだけは取り上げる。

支離滅裂。「悪くはなかった」なら今までの「おしどり氏に対する」誹謗は何だったんだろうね。

なお、東洋経済の記事を読むと、おしどり氏は広瀬隆氏からこの話を振られているのだが、解説をフォローした広瀬氏への批判はほぼ皆無だったことも付け加えておく。かつては社会現象までなった人物で、311後も活動されている方なのに。

また、Twitter上ではコロラド先生こと、工学博士で40年来の原子力業界ウォッチャーである牧田寛氏も参戦したが、あさくら氏は牧田氏にはあまり関心を示さず、おしどり氏への粘着を継続した。

おしどり氏への粘着の仕方も独特であった。彼女は複数の現場関係者の情報提供を受けていることは度々公言しており、それ故に公安も関心を示した。また、竜田一人を含めて、原発ライターや作業員の手記を見ても、東電の方針に反発する者の存在は何度も示されているが、あさくら氏はそうした支援者達には目もくれず、おしどり氏に異様な熱意を見せた。

なお2016年から2018年8月末まで2年半続いたバッシングは、全て彼女の政界進出宣言の前の出来事である。

この間、上杉隆が都知事選(2016年7月31日開票)に立候補したが、あさくら氏は上杉批判には、おしどり氏に対する程の労力を投じていないようだ。上杉氏に対する批判は立候補を表明する以前のツイートが目に付く(なお、私は上杉氏の活動には疑問を多く感じることを付け加えておく)。

「政治の場に上げるべきではない」は、後付の理由に過ぎなかった、という事も明白だろう。

【2018年】

11月、ネトウヨ兄のデマを正す妹bot (@demauyo_tadaimo) というTwitterアカウントがこの問題をテンプレート化して発信すると、真っ先に反応した。現在は、冒頭で紹介したように彼女への反論をツイートトップに固定している。なお、言うまでも無い事だが、ネトウヨ兄のデマを正す妹とはbotなのであり、作者が女性とは断定できない、筈である。にも拘らず反応した、という点に注目したい。

なお、原発問題全般において、彼が自発的に長期間攻撃している対象は、「反〇〇」(〇〇時事問題で変わる)といった大きな括りを除くと、あさくら氏に直接批判している人を除いて、余り数は多くない。

これを、マンスプレイニングと言わずして何と言うのだろう。

まとめると、あさくら氏はハッピー、小野俊一、筒井哲郎、牧田寛の各氏(それと私)のような男性技術者や原発作業員、赤旗の様な性別を感じさせないメディアの批判はスルーするが、おしどり氏や女性を模したbotには、技術者でなくても強い関心を示す人物である、ということだ。むしろ、技術者というハードルが無い相手だからこそ、お得意の東電エンブレムチューンで威圧出来ると考えたのだろう。

でも本物のエンブレムチューンがそうだったように、そういう態度はダサいよね。

【黙って廃炉作業してれば由】

以上が、この2年半で付け加わったあさくら氏の失敗だが、彼は最近、言動の横柄さで反感を買い、nagaya2013氏他数名のTwitterアカウントから猛烈な反撃を受ける結果となった。確かに馬鹿な奴だと思うが、東電の中枢や稼動中の原発で重要な職務に就いてる訳でもないので、私は勤務先や実名暴きまでしようとは思わない。なお、私は毎日新聞日野記者による復興庁参事官暴言ツイート暴露事件は、全面的に支持している。

ただ、あさくら氏が今後も突っ走り続けるのであれば、新たな攻撃者を呼び寄せることになり、以下のへぼ担当が辿ったものと全く同じ道を歩むだろうと警告しておく。

 

 

 

 

その時、東電は貴方を守るのだろうか。

18/12/7:牧田氏の指摘を反映し「30年」を「40年」とした(ちなみに、私自身は浜岡と電気の史料館、三菱重工みなとみらい技術館、港湾技研の津波実験見学、国会図書館初入館、電験初受験がいずれも2005年から2006年で、それ以前はウォッチと言える程のことは何もしていないからまだ13年である)。

2018年9月26日 (水)

【竜田一人】東電が決めたフクイチという愛称を穢れと罵る推進派【井上リサ】

最近福島第一原発の呼び方に関して、おかしな発言をみかけた。

「イチエフ」だってカタカナでは?

調べてみると前からそんなことを言っている。

井上リサさんは私設原発応援団として各地の原発周辺の小旅行を企画運営されているプロのPA師。今アカウント名を「— 井上リサ☆10.6柏崎刈羽紀行」にしてるみたいだけど、どうせならへぼ担当に事の顛末聞いてみたらどうだろうか?彼の最初の配属先は福島第二で、時期からすれば、後で紹介する小野俊一氏とは違い、リアルタイムに見聞していた筈なのでね。

こういった発言で思い当たる人物と言えば、竜田一人。代表作『イチエフ』の冒頭シーンのセリフ「1Fをフクイチなんて言う奴はまずまずここにはいない」である。まぁ後述のようにただのでまかせなのだが。

彼のツイートを読み進めていくと、フクイチという言葉が偉く気に食わないらしい。

彼等の様な怒れるPA屋(パブリックアクセプタンス、要は宣伝屋)達ばかりでなく、現役・元関係者にも変な固定観念が蔓延している。

・今日は俺たちの職場、"1F"に皆様をご案内しよう
・1Fは「いちえふ」と読む
・現場の人間 地元住民 皆がそう呼ぶ 1Fをフクイチなんて言う奴はまずまずここにはいない

 まさしくこのとおり。以前「フクイチ最高幹部の独白」と言った書物が出ましたが、現場の人間が自分たちのことを「フクイチ」と言うはずがないのです。一体なぜ、このような題名にしたのか(書かれている内容をよめば、確かに現場取材したことはわかりますが)私には理解できません。「いちえふ」「にえふ」と呼ぶのが、東電・地元の習わしです。この単語を間違って使っている人間は、100%現場の経験がないと断言してよろしい。

小野俊一「モーニング掲載「いちえふ」-元原発技術者としての目から」『院長の独り言』2013年10月22日

だそうである。

東京人が使うんだそうだ。

ところが、(残念ながら?)彼等の主張は誤りである。特に井上さん、「穢れ」とか安易に使うような話じゃない。

何故なら、「フクイチ」とは東電が1990年代から2000年代にかけて、地元向けPRで盛んに使用していた愛称だからである。

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論より証拠と言う感じでしょ。そのまんまのタイトルな広報誌があった。本店の社報ではここまで強調していないから、東京の言葉とは言いかねる。

次の画像も興味深い。

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『共進と共生 福島第一原子力発電所45年のあゆみ』P29

このように、地元住民への広報誌の他、1997年以降、毎年10月には発電所で『ふくいちふれあい感謝デー』なるお祭りもやっていた。ずっと住んでいる古株なら知っていると思うのだが、彼等は何をしていたのだろうか。

1993年には本店勤務となった小野俊一氏が1996年5月に初開催された『ふくいちふれあい感謝デー』を知らないのは無理もないことだ。

しかし、@mikunyoさんの場合は悪いが、ご尊父様の話をちゃんと聞いてたの?と言いたい。何せ、次の『政経東北』PR記事の最後の段を読むと、毎年4000人も来いてたそうだ。かなりの地元民が知っていることになる。

 

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『政経東北』1999年5月号

ちなみに2001年には物揚場で「ふくいちふれあいフィッシング」も開催している。参加者は以前ブログで採り上げた剥き出し海水ポンプを背にして悠々と釣りを楽しんだに違いない。

これは、浜通りの方らしさを感じるコメントですね。

どうしてこの方の印象に残らなかったのかということについては、発信する側の問題もあったと思う。上記のイベントは2002年に東電が例のトラブル隠しの不祥事を起こして社長引責辞任、全プラントが検査で停止したのをきっかけに何年か自粛された。他に2001年に911テロもあったが、その年の10月13日にはふれあい感謝デーを開催しており、警備強化は最大の理由とは思われない。ふれあい感謝デーは2007年10月に再開された。

なお、2010年には「ふくにファミリーデイ」なる職場参観も存在した。

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「ワーク・ライフ・バランス」を考えるきっかけづくり”家族の職場参観”『電気情報』2010年4月

今思い返せば、中越沖地震対応とバックチェックで東電全体としては多忙だったと思われる時期に、よく開けたとある意味感心する。また、「ふくにファミリーデイ」が企画されたのは311後賠償問題で矢面に立ち、女性問題で辞任した石崎芳行氏が所長だった時だ。元々優秀なPAを打てる人物として、ある意味評価もしていたが、職場参観などを見ていても、ネットでのリンチを伴った恫喝的なPAよりは健全で好感も持てる。

 

 

どちらの呼び方も正当性がある以上、何を選ぶかは好みの問題。職場としていた方には「イチエフ」が愛着があるのは分かる。

 

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ただ、自業自得で親しみを込めた「ふくいち」(「ふくに」)のPRがしぼみ、311でトドメを刺された一方、業務でしか使わない「イチエフ」(「ニエフ」)という無味乾燥な言葉だけが生き残ったとは言える。これはある意味、地域社会との関係を表象している。311以来、原発周辺は文字通り仕事関係の人ばかりで、暢気に祭りなど出来る風景は無い。

 

「フクイチ」批判者にはそれが見えていない。見えていないばかりでなく悪意の無い関係者・元関係者まで地域の記憶を改ざんしかかっているのは、とても興味深い現象だと思う。

私は、発電所の呼称に拘って現場感を演出しても仕方がないと思っている。そもそも、「イチエフ」という呼び方も、1974年以降に生まれたものである。何故なら、その年まで福島には原子力発電所は1ヶ所しかなく、今の福島第一原子力発電所は単に「福島原子力発電所」と呼ばれていたから。古い文献ではその名前で載ってるから、CINIIで試してみるといい。

それが福島第二の建設準備が本格化し、建設事務所を開くことになって第一、第二という名称に変更されたのである。以前の略号は、号機単位では「NF-1」(福島1号機)、「NF-2」(同2号機)という塩梅だった。1号機を建設していた頃まで戻ると原子炉建屋を指して「TEPCO-1」などとも呼ばれていた。地元紙が「大熊原発」と名付けてみたこともある。まぁ、どれも定着はしなかったが、人に歴史ありならぬ、原発に歴史ありである。

コロラド先生こと牧田寛氏が言及していた「原子力村」の件と言い、どうしてPA屋は自分等の業界で発明した単語を憎悪するのか。リニアに邁進する葛西敬之氏ですら、「国電と言う言葉を使う人の話は信用しません」なんて言ってるのを見たことが無い。

それにしても、たかだか言葉1つに思い込みで憎悪をたぎらせてる井上リサと竜田一人には「バーカw」と言っておきたい。特に竜田氏。代表作のマンガで最初のコマから間違えちゃって赤っ恥ですなぁ。今更直しようもないと思うけど、公益性の観点から批判した次第。

2018年7月30日 (月)

【規制庁も原電も】東海第二のケーブルは大量の傷がついていた【把握せず】

運転開始から40年を迎える東海第二原発の再稼働問題だが、2018年5月2日、市民団体(再稼働阻止全国ネットワーク)の申し入れにより、参議院会館にて第二回規制庁ヒアリングが行われた。

その際、市民団体側から明らかにされた重要な事実がある。東海第二原発は建設時にケーブルに大量の傷がついた、という指摘である。311後に限っても、日本原電が規制庁や茨城県に提出した資料は膨大なので遺漏はあるかも知れないが、この問題について自ら言及した文書は見かけた記憶が無い。

この件について更に調べたので取り上げる。

【1】ケーブル問題の分類

東海第二の問題に、ケーブルが挙げられているのは、関心を持っている方ならご存知のことかと思う。大きく分けると次のようになる。

  1. ケーブルの寿命は一般的には30年、特殊な個所に使用する原子力用でも40年であり、建設時のものは全て寿命が来ている。
  2. 建設時のケーブルは非難燃性(可燃性)であり、ケーブル火災や貰い火には脆弱である(同時期に難燃性ケーブルを採用可能だったのに、何もしなかった)。
  3. ケーブル布設時に大量の傷が付いている。
  4. 原電は再稼働に当たって立てた計画で、古いケーブルの交換は一部のみに留め、残りはケーブルトレイに防火シートを巻くだけの計画としている。

今回取り上げるのは、この内、建設時の布設に問題があり、大量の傷が付いているという話である。

【2】日立内部の記念資料に語られた布設時の失敗

傷の件はこれまで大っぴらには議論されてこなかった。古い資料に埋もれていたと言って良い。そこで、何時もなら古い『原子力学会誌』や『原子力工業』などをめくることになるが、そういったものは原稿の分量が少なく、中でもケーブルについて言及したものは今のところ見つけられなかった。

ところで、東海第二発電所の建設史・工事誌は原電が編纂したものと日立製作所が編纂したものの、少なくとも2種類が存在している。

このうち、ケーブルの傷が付いた過程について詳細に触れているのは、日立の編纂した『東海第二発電所建設記録』である。

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(改ページ) Nt2construction_record_no4p433 「第13章 電気計装」『東海第二発電所建設記録』P432-433

しかも、『東海第二発電所建設記録』に記録された傷の数でさえ、過少申告の可能性があるのだ。

日立OBが回顧談を持ちよって2009年に『日立原子力 創成期の仲間たち』という記念誌を頒布した。その中のあるOBが東海第二のケーブル布設について語っており、傷の数は3000ヶ所と書かれているのである。

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日立工事(現日立プラント建設)金田弘一「日立原子力 創成期の思い出」
『日立原子力 創成期の仲間たち』P463

【3】真の損傷個所は3000ヶ所以上の可能性も

私の推測では、真の傷の数は3000ヶ所でも済まないかも知れない。何故なら、上記の金田氏も述べているように、ケーブルトレイに布設後に破損個所を発見するのは難しいからだ。それに、補修せずにそのまま延焼防止剤を塗布してしまえば、傷を隠してしまうことは物理的には可能だろう。

『東海第二発電所建設記録』を読むと当時、設計のまずさから延焼防止剤を塗布した後にケーブル布設をやり直すことがよくあったことが分かる。そういう部位は、特に問題だろう。経年を経た物ではないとは言え、一度剥がした個所もあり、布設したケーブルの中には、そのままのルートで良しとされたり、別のトレイに載せ替えただけのものもあったのではないだろうか。その場合、剥離による損傷は容易に隠蔽出来る。

工期に余裕の無い中で、損傷個所を隠蔽する動機も生まれやすかったと思われる。現に、東海第二と福島第一6号機の建設工事にも参加した菊地洋一氏の『原発をつくった私が、原発に反対する理由』を読むと、配管工の間では不良施工や見えないリスクの隠蔽が横行していた。電設技術者は例外と言えるのだろうか。

なお、昭和電線の場合、関西電力との共同研究を経て経年固化した延焼防止剤の剥離剤を製品化したのは2001年のことである(「新製品紹介 延焼防止剤用剥離剤「ショウピールα」」『昭和電線レビュー』2002年No.1)。つまり、建設当時はそういう便利なものは無かった。

【4】発注者に黙って編纂?日立の記録を把握していない日本原電

なお、この話には余談がある。日立が建設記録の編纂を終えて発行したのは1978年11月だが、原電は当時、本社および発電所に設けた資料室(図書室)に収録していないのである。どうしてそれが分かるかと言うと、1970年代後半より社報に「資料室だより」というコーナーが設けられており、毎月の受入図書が掲載されていたからである。

なお、『日本原子力発電五十年史』(2008年10月)は社内外の広汎な文献を調査していることが巻末の参考文献一覧から分かるが、ここにも載っていない。

そのため、上記2図書の内容について原電にメールで問い合わせた際には、下記のように、情報提供への謝辞という形でしか返信が無かった。

送信日時: 2017年10月10日

岩見様

お問い合わせいただき、ありがとうございます。

関連書籍に関する情報をいただきまして、ありがとうございます。
貴重なご意見として承ります。

                                           日本原子力発電株式会社
                                                      地域共生・広報室

日本原電に限ったことではないが、電力会社はある意味親切でもあり、質問を投げると「~のように検討しています。」と自信を持って返信してくるのが通例である。このような返信は見たことが無い。

実務をやっていく上ではキングファイル等にまとめた設備管理の帳簿などを元にするだろうから、当時の原電担当者がそれらにきちんと記録をしていれば、日立の建設記録がなくても問題は無いが、反応を見ている限りでは、どうも把握すらしていないようである。

【5】当時の施工技術でも防止出来た

さて、当時の施工技術で布設時の傷を回避することは出来なかったのだろうか。次の理由から、可能だったと考えている。

  1. 『東海第二発電所建設記録』に前回サイトでの経験を反映できなかったと書かれている。つまり、ノウハウは存在しており、その水平展開に失敗した。また、『日立創成期 原子力の仲間たち』にも一旦ケーブル布設を中断して補修した後は、養生を厳重にするなどして傷がつかないようにした旨書かれている。
  2. 当時すでに延線工具の一部や入線潤滑剤が商品化されていた。つまり、工事業者にこれら設備を使用するように指示したり、社内で規定を採番・マニュアル化するべきだった。

1については、金田氏はその後の技術開発を自讃しているが、中味をよく読むと分離延線工法の成果は手間を減らしたことにあり、同工法以前に傷を付けずに布設出来なかった訳ではない。原子力プラントにおけるケーブルの布設は、分量こそ多いとはいえ、一般の建築物と同種の工事であり、担当する業者は原子力と兼業でやっている例が多く、慣れている筈だからである。

一方で原子力関係の技術書でケーブル布設に関する資料は限られており、過去のブログ記事で参照した『原子力発電所の計画設計・建設工事』(1979年)等にも傷を付けないためのノウハウの記載は無かった。

では、この程度のことも出来ていなかったのだろうか?勿論そんなことは無い。当時業者が用いていた手順書にも書いてあったが、やらなかっただけが真相だろう。

『東海第二発電所建設記録』の記述は上記の通りだが、『日立創成期 原子力の仲間たち』によれば、布設工事の再開後は養生したと書いているが、当たり前の予防措置に過ぎない。

なお、『日立プラント建設株式会社史1』(1979年)P224には火力発電所の3倍のケーブル布設量であり、工事計画や施工管理の上で、従来の経験では対応出来ない問題が多かったなどと書かれている。本当にそうなのかは疑問が残る。原発の建設は既に初体験ではないので何の説明にもなっていない。

東電子会社の関東電気工事が残した文献を読むと、上記の私の推測をある程度裏書することができる。

関電工は電設業者向け専門誌の『電気と工事』に度々技術記事を投稿していた。特に1976年は何回もケーブル布設に係わる投稿があり、特に11月号の「ケーブル延線作業の合理化と実務ポイント」は東海第二のケーブル布設最盛期に投稿された。ケーブルに傷を付けないための延線器具の使用法の他、布設時の注意点として「外観に損傷が無いか」「ケーブル相互の間隔は良いか」と明記しており、これを事前にコピーして現場に配布するだけでも以後の布設における損傷は防止できた筈である。

『関電工50年史』巻末の「主要実績工事」によれば同社は東海第二の電気設備電線管・ケーブル布設工事を日立プラント建設より11億4000万円で受注し、1973年11月から1978年8月まで従事したとなっている(運開と同時に電気メンテナンス工事も受注)。つまり、ケーブル布設の当事者である。

なお、関電工に先立ち中部電力も『電気と工事』1974年6月号に「金属管工事の基本作業」(電線管布設の記事)を投稿し、「電線は同時に入線すること」などと書いていた。電線を同時に入線しないと相互に擦れて傷が付くことが、現場のノウハウとして存在していたと思われる。

仮にそのようなノウハウを東海第二のケーブル布設に関わった全ての電設業者が知らなかったという、あり得ない仮定をしても、関電工の記事に書かれている通り、破損が無いか逐次確認していれば、3000ヶ所もの傷を作る前に、初期の布設時点で自分達のやり方に問題のあることに気づいた筈である。

筒井哲郎氏も自サイト『筒井新聞』の「原子力工学の対象範囲」で書いておられたが、原発建設工事の大半は一般産業施設の技術の範疇であり、それは先程書いたようにケーブル布設も同様である。原子力工学の参考書では頁数の制限もあり、省かれているのだろう。ダメ押しに化学プラントの仕様書の書式集なども調べたところ、1981年に発行された『プラント建設工事における標準仕様書』(IPC編)で例示すると、電気設備・工事の仕様だけで60ページ以上あり、布設時に傷を付けないようにするため、どのような設計・工事の配慮が必要なのか、一通りのことは書かれている。

例えば電線管については「金属管およびその付属品の内面および端口はなめらかにし、電線の被覆を損傷する恐れの無いものでなければならない。」「金属管内の電線は容易に引替えることが出来るように施設しなければならない。」などとある(同書P407)。

2は、特に分かり易い例として、入線潤滑剤を取り上げる。東海第二のケーブル布設工事には全く登場しないので、使用せずに布設されたと思われる。一方、『電気と工事』には電設業者向けの広告枠が毎号数十ページ確保されており、現代のネット通販サイトやメーカーカタログと同じような役割を果たしていた。これらを調べていくと、現在も使用されている延線工具の多くは1970年代末までに誕生していることが分かる。入線潤滑剤を日本で最初に発売したのはデンサン(商品名:デンサンウェット)で、同社Webサイトを見ると、1974年発売と書かれている。『電気と工事』をチェックしていくと広告は1976年まで登場しないが、当初の2年は一般には販売せず、大手業者限定だったのかも知れない。

1974年発売なら余裕だし、1976年からだったとしても、ケーブル布設の最盛期には間に合う計算である。

入線潤滑剤の特徴は可燃性ではないことなので、使用することによる副作用は考えにくいが、例えば布設後の延焼防止剤塗布工程に邪魔だったとしても、拭き取ってから延焼防止剤を塗布すれば良いだけだろう。ケーブルピットへ導入していく際の特定の角部と擦れないようにする等、使用箇所を限定しても効果は得られたはずである。なお、先ほど紹介した『プラント建設工事における標準仕様書』P407には入線潤滑剤の材質に関する制限規定が設けてあり、使用することが前提となっていたことが読み取れる。

【6】傷のついたケーブルを放置するとどうなるか。

最後に、ケーブルに傷が付くことによるリスクについて、電設業界や原子力業界がどのように認識しているかを、電気設備に代表的に使われているCVケーブルを例に示す。

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「電気設備のトラブル事例と劣化診断について」『電気技術者』2016年1月P24

上記第6表によると、ケーブル内部への水分の侵入など、他の劣化を促進する要因とされている。また、同第9図から分かるように、地絡火災等を助長する要因として認識されている。

また、この表には記載されていないが、損傷個所を補修したテープとケーブルシースは異なる材質であり、40年間の間に固形劣化などで隙間が生じている可能性を考えないといけないだろう。『東海第二発電所建設記録』に登場するハイボンテープとはブチルゴムを加硫せず自己融着テープとした商品名で、かつて日立化成からも発売されていた。他社の同等品の説明によれば、耐候性に優れ、40年以上の使用が可能とされるが、それでは限界は何年であるかの説明はないので、保証出来るのは40年までと解さざるを得ない。

原子力業界でも損傷したケーブルの問題は311前から承知済みで、一足先に劣化した海外のプラントを対象にした研究では次のように解説している。

元来の施工が悪く,発熱や周囲との摩擦等により劣化加速されたような施工不良が26件(28%)と多い.
原子力発電所におけるケーブル故障の傾向分析」『INSS JOURNAL』2007年P312

これらは、防火シートを巻くことでは解決出来ない問題である。『INSS JOURNAL』では劣化診断を海外よりまめに行うことで、未然防止していると分析しているが、いわゆる故障率曲線で寿命末期に現れる摩耗故障は、件数が急激に伸長するとされているし、劣化診断随時行って一部のケーブルのみ補修するやり方では結局つぎはぎだらけとなり、計画的な保全の考えには適さない。

また、以前から何度もブログで言及しているように、東海第二の電気室は1ヶ所に集約されており、2001年の台湾馬鞍山での電源喪失トラブルのように、一ヶ所でも発煙火災を起こすと部屋全体に煙が充満して人による操作などは全く不可能となるし、難燃化されていないケーブルは難燃化の後に普及したハロゲンフリー化(有害な煙を出さない)もされていないので、健全な電気機器の接点なども発煙によるススが付着して不良となってしまう恐れがある。

【7】まとめ

高浜1,2号機などもケーブルの寿命や非難燃性では同じ問題を抱えている。一般的な技術論文に加えて、三菱系の灰色文献(『MAPIの想い出』他数種類)をチェックしたが、今のところ布設時の稚拙な施工により大量の傷が生じたという記録は発見出来ていない。よって、ケーブルの傷問題は、現在廃炉となっていないプラントの中では、東海第二特有のリスクと言えるだろう。このリスクが規制庁に提出された各種評価に織り込まれているとは、とても思えない。やはり早急な廃炉しかないだろう。

【参考】

本文に記載した以外を含め、下記を参考にした。

※2018年8月26日、【参考】節追加。

2018年6月12日 (火)

東電柏崎刈羽原発技術職員へぼ担当が立場を明らかにせず呟いてきたこと

前回記事【世間に謝罪せず】「機微情報」を垂れ流した東電柏崎刈羽原発職員へぼ担当氏【問題発言連発】が衝撃的な内容だったためか、逆にリアリティが無いと思われているのか、余り関心は持たれていないようである。

しかし、へぼ担当なる社員が自分の立場を傍目に明らかにせず何を呟いていたかは、東電原発技術者の類型的な内心を探る(証明する)のにとても都合が良い。更生も期待出来ず、これ以上庇う理由も特に見当たらないためだ。

また、電力各社原子力部門の一般社員に、身近な事例として知って貰う意図もある。東電の旧経営陣3名は刑事裁判で責任を問われているが、一般社員は、雲上界の他人事だと思っていないだろうか。

今回の記事は、前回の概要分析で収録し切れなかった彼のツイートの中から、職位に照らし公益性上問題が大きいと思われるものを列挙した記録記事である。

もちろん、匿名での発言の自由はあるが、それはどちらかと言えば密室内の問題を明るみにするなど、権威勾配から個人を守るためにあるのであって、ステルスマーケティングのためではない。

それから、花角次期知事に投票した新潟県民に一言言いたいことがある。当ブログの記事で示した様な人物が、柏崎刈羽原発の運営、取分け技術分野の中核に関わっていたことが、最大の安全リスクと言えるだろう。貴方達は原発は利益を生むと考えたのかも知れないが、都合の悪いことは何でも隠し、匿名でさしたる根拠も無く仲間まで中傷するような職員を放置しておくのは、とてもリスキーなことである。

※池田候補に一票を入れた県民の方々は、お疲れさまでした。このような結果になり、とても残念ですが、貴方達の選択は正しかったと思っています。

以下、随時追加し更新する。

【人物像】

バブル景気は1991年2月までとされているので、実質1990年春の入学と思われる。

 

 

 

2012年9月のツイートは113番目の元素のニュース。上記から、学部時代の進学先が名古屋大であり、指導教官は仁科芳雄の息子である仁科浩二郎と分かる(『原子力がひらく世紀』編集に係わる。同書刊行は1998年だが、執筆に時間がかかって遅れた)。

 

 

上記から、大学院時代の指導教官も、理研コンツエルン草創期に縁の深い人物の息子である。柏崎市は理研グループの事業所が多い。

ガンダムWの放送期間は1995年4月から1年間であり、1996年春に大学院を修了、入社したと思われる(ずれても前後1年程度だろう)。オノデキタ氏の早期退職が1995年。彼は帳簿上はその補充要員とも言える。従って、前回提示の社内報は入社後の発行である。

20代で原子炉主任技術者を取得。従って下記の東電・東芝が作成した所員向け教育ビデオに大きな影響を受けた。リンクを辿って是非見て欲しい。

下記のツイートから分かる通り、中越沖地震を経験している。

 

再稼働に向け「頑張る」と抱負。

この記述からも、彼の自宅が刈羽村や周辺の自治体では無く、柏崎市と分かる(2015年5月に市役所の移転計画を表明)。

上級管理職では無い。東電で平社員を意味する「担当」の可能性もある。

【情報公開の否定】

情報公開を求められる側の陰口として記録。

【タウンミーティングで挑発してやる】

 

元々意図的な炎上の体質がある(もっとも、この点についてはTPO次第とも言えるが、好戦的な性格を示すものとして記録)。

更にその好戦性を見込まれ、敵対者を論破するように軍事板常見問題管理人の消印所沢から依頼を受けている。余談だが、私も色々な方とメールでやり取りはするが、「〇〇を論破してください」などと依頼するなど、思いもつかなかった。消印所沢って結構無責任だね。

【自称市民は信用しません】

 

当時すでに流行っていた「プロ市民」という単語が前提にあるのだろうが、市民に自称も他称も無いのは少し考えれば分かることだ。強いて言えば、選挙や納税の不正などで既に死亡した人を登録したり、他人に成りすましたりする事例は自称市民と言えるかもしれない。

もし気に入らない意見があれば「貴方達の意見には賛同しかねる」と返せばよい。それを拗らせて「選民」しているのはへぼ担当なのである。

そもそも文法とか言語学的に言えば「プロ市民」という単語でさえ、相手が「市民の一部」であることを前提とした概念である(自民党支持者辺りにとっては「煩わしい市民」ということだが、煩わしくても市民ではある)。へぼ担当の「自称市民」呼ばわりはそれより酷い。

【原発ジプシーの抹殺】

 

結局、311後に身元の管理が出来ないことも、ピンハネ福利厚生その他の問題も否定出来なくなった。ちなみに70年代に黒人の水中作業員が目立ったのは、米国においても職種と人種の偏在が完全には解消されていなかったことによると思われる。解消されていれば、水中作業員の成り手が黒人に集中することはありえない。また、へぼ担当は知らないだろうが、コダック、ベルサウス、コカコーラ、テスラ等、黒人差別の従業員集団訴訟は21世紀に入っても(性差別訴訟同様に)頻発している。それが米国社会である。

【平井憲夫氏は人権侵害】

「原発がどんなものか知って欲しい」の平井憲夫氏も完全に風説扱い。

 

 

 

当該は聞き書きのため、やや不正確な表現もあったが、311後、当人の手になる文書が再び世に出た際に、オーソドックスな原発批判以外の何物でもなかったことが判明した。また、多くの現場作業員により様々な形で問題行為が公にされたことで、平井氏の正しさを裏書きする結果となった。

2月24日は、更に会話を続けて失言している。

 

 

批判されているのは『白竜(原子力マフィア編)』。311後、『ヤクザと原発』その他により暴力団が入り込んでいること、身元確認が不十分なことが改めて証明される。そもそも、発電所で土方を見ていれば、筋者との境界があいまいなこと位察しが付くであろうに、よくもぬけぬけとヤクザへの蔑視を呟けたものだ。また、フクシマ50に代表されるように、彼等も修羅場で貢献したのだという、プラスの視点もありえるだろうに。

【被爆地反核団体への侮辱】

 

1960年代に一部の左翼議員が口にした「ソ連の核は良い核」を半世紀経っても全ての被爆者の主張として一般化している。むしろ、右派系の反核団体「核禁会議」を旧民社党経由で支えていた東電労組は民社党同様に「アメリカの核だけが良い核」であるかのように活動し、追随してきた。旧民社党がCIA工作の恩恵で誕生した経緯からすれば当然ではあるが。

【公害被害者への侮辱】

過去、あらゆる反公害運動が「補償金ビジネス」と中傷を浴びてきたが、へぼ担当は企業側の実践者として「歴史に学んでいる」1人である。もちろん、最初から公害を引き起こさなければそのような問題が発生しない(=ビジネスという理屈は成立しない)という、根本的な矛盾は理解の埒外にある。

霞ヶ関の人から頼み込まれて口裏合わせまがいのことも行ったことがあります】

 

この人の言うことは大体肝心なところでアウトである。特に311前の証言はそれが非常に多く、既に機微情報を流した以上、情報のやり取り、人脈形成、交渉方法の適切さに関する信頼は無い。本当にそれは「まがい」だったのか。

【騙される有権者も有権者】(東京電力柏崎刈羽原発社員談)

 

愚民主義はリベラル・左翼勢力にもいるだろうが、という指摘が聞こえてきそうである。それはその通り。だが生憎、著名なリベラル・左翼人士で愚民観を示している人達は、フリーの立場から発言している方も多い。会社の代弁者ではない。

【鳩山由紀夫批判】

 

311前、鳩山はCO2対策のため原発依存には自民党より積極的だった。「クズ」と批判しているのは普天間移設問題で自分が思い描く先軍政治に反し、県外移設を主張したから。twilogをチェックすると民主党、鳩山、菅への私怨のオンパレードだが、鳩山相手だとloopyという単語がとてもお気に入りだったようだ。身分隠して財界の代弁ご苦労様。

もっとも、彼のTLが民主社民共産への罵詈雑言に溢れているからと言って、これ以上政治家に対する批判ツイートを掘ることはしない。原子力政策など直接的関連の高い内容に限定する。

【受注者を顎でこき使う】

完全に居酒屋モードで気持ち良く本音を呟く。

普段どんな仕事の依頼の仕方をしているのか、労基に見て貰ったらいいのではないかな。

【子供手当は要らない→手当て+小児科寄越せ】

先の「タウンミーディング」にかける妄想でも言及していたが、彼は、子供が嫌いなのではないか。

ちなみに当時は独身。後年、経済DVとパートナーから批判される男の言葉である。所属先がどれ程の国富を費消したかは言うまでもない。そして少子化・貧困対策の結果も。

311後に給与3割減、私生活で結婚となった途端このザマである。よくいる、自分の世代、自分の階級しか見ようとしない臣民の一形態だな。

【知恵を付けるようなつもりは一切ありません。意見交換も一切意味がない】(東電社員談)

 

市民運動家の小林アツシ氏を前にしての発言。これ程愚かなコメントは無い。

自分から知恵を付けたら困る事実が存在する、と宣言しているようなものだからである。極端なことを言えば、この時点でへぼ担当が福島の津波対策延期について、情報を得ていてもおかしくないとすら推測出来る。

言い換えれば彼の天敵による次のコメントにも通じる。

【可哀想な教師ですね】

安全神話に疑問を呈す教師は「可哀想」。完全な組織防衛の論理。

【311直前の被曝観】

 

現在は、年20mSV以下という、311前なら建屋内での作業に従事する一部の労働者のみ係わりのあった線量を基準にして帰還政策が進められている。当時の推進派の姿勢と比べると隔世の感がある。また、被曝安全論に主張者自らが絡め取られていったことは巷間推測されているが、彼はその証明となり得るだろう。

【311後、節電に絡めてテレビ局を揶揄】

 

24時間テレビの偽善性は左派を含めて指摘され続けているが、原発プロパガンダに年数百億も消費した挙句、事故を起こしたために夏の節電要求が厳しくなったのである。民放にケチをつける資格があるとはとても思えない。本当に不思議だが、私が東電社員なら、身分を隠してもこんなことをツイートしようとは思わない。例え匿名であっても「番組への批判は承知していますが、節電のPRは正しいと思います」位のことは言うだろう。彼の心の闇は深い。

【311後、都民に代わって火力発電所を要求】

 

 

 

311直後のエネルギー論議では、脱原発による電源の穴埋めを火力発電の増設に頼ろうという流れが存在した。上記はその頃の書き込み。政策論としては理解できるが、事故を起こした当事者が身分を隠して「提言」することではない。もしどうしても必要を感じていても、「わが社には投資する余力が無いので都の助力をお願いします」と言うべきだろう。

それにしても東電社員が「都が他県にお願いすべき」とよくもぬけぬけ言えたものである。被災者から消費地の責任を追及する場面での発言ならいざ知らず、「お願いすべきか検討する」のは都民や知事であってお前等ではない。

【国会事故調は読む価値なし】

311の後、幾つかの事故調が立ち上がったのはまだ記憶に新しいが、彼は自社の事故調と政府事故調のヨイショをRTしつつ、次のようにコメントしている。

 

比較的知名度の劣る学会事故調をPRしているのは、自分がロビー活動をしているからである。添田孝史『原発と大津波』(岩波新書)で指摘された、「専門家は電力と学会の顔を使い分けているのではないか」という疑惑への一つの回答がこれである。

なお、津波への備えに関する最も有益な情報を発掘したのが国会事故調の調査員だった添田孝史氏であり、各種訴訟で東電は全敗に近い結果となっていること、訴訟提出資料と証言により、政府事故調は多くの重要情報が委員に上げられていなかったと判明したこと、原子力学会事故調は重要な証言は関係者に迷惑がかかるとして非公表とされたことを付記しておく。

【「ブーメランだ!」】

 

朝日新聞は原発事故を起こしていないので、上記の理屈は無理がある。また、「わが社」ではなく、他人事のように「東電」と呟かなければならない辺り、彼の溜飲が下がる日は来ないであろう。

このような発言こそブーメランでは?311後、ことに2014年以降、この人が東電社内で何の課題を解決したのか聞いてみたい。

【九州電力やらせメール事件の反省なし】

この人物は、九州電力がやらせ動員を行って謝罪に追い込まれた事実を上記のように認知している。

なお、言うまでも無く原発推進の意見を言う自由はあるべきだが、それは他者の批判を受けないことを意味する物ではない。一つ、情報を追加すると、例の経済DV騒動の際に公開されたツイートによれば、家族からのお願いを「中傷だ」と訴えた実績があるとされる。

【すり寄ってくる共産党女性議員が気持ち悪い】

 

発端はこれのRT。体力のある若者なのだから、思想信条を抜きにすれば「素晴らしい人材」であるだろうよ。大体、私が自民党側にいた頃から「人殺しの訓練」であることは世界の軍隊共通の了解事項だったのだが、冷戦終結から四半世紀も経って何が気に入らないのか分からない。現在のテロ対策でも「警察は犯人逮捕のため生け捕りを考慮するが、自衛隊は射殺前提」と指摘されるではないか。

しかし、そこはへぼ担当、アクロバティックな反応に至る。

 

だったら、「思い付きと打算で派兵することにしたからあとは適当に野たれ死ね」とでも言えばいいのだろうか。それに近いことをしたのは戦闘地域を非戦闘地域だと詭弁を弄した小泉政権だけどね。

【難民受け入れ「必死だな」】

シリア難民問題が顕在化した頃、次のような暴言を吐いていた。

日本がそれなりの数の難民を受け入れているのであれば、まだ理解も出来る。しかし、実際は極めて消極的であり、加えて入管職員が人種差別者集団であることは抗議者達の粘り強い活動によって近年知られつつある。それにしても、「必死だな」とはね。何様?と言ってやりたくなる。まぁ勤め先に相応しい、殿様の態度だな。

もし本当に自信があるなら、欧州の原発関係者との会合の機会か、海外から日本に関心を持って来日してきた人達(マライメントさんとか)に是非「貴国の難民政策は必死ですねw」と揶揄ってみてほしい。親ナチを秘めている者なら賛同してくれるだろう。

【新入社員をネットで誹謗】

それが新人だろ。つくづく馬鹿だね。しかもネットでよく書けるものだ。

そして時が経ち・・・

新人君も結局育てられず、使い潰していたっということ。それにしても発電所の仕事で「修士論文の意義」なんか聞いてどうするんだ?

【学歴への固執+職場の高学歴同僚を誹謗】

へぼ担当を観察していて笑いが止まらないのが学歴への異常な執着である。

なるほど。東電にはそんな高学歴のクズがいるのですか。そう言えば私も1人思い当たる節がありましてねぇ。何と同僚の学歴に執着してネットで誹謗を重ねているんですよ。

ゆとり世代が嫌いな様だ(カリキュラムのためであり、当人の責任ではない筈だが)。

 

真面目なコメントに戻ると、東電大卒幹部の体質を知るのに貴重な証言。

私ならそんな職場の話を無闇にネットでしないけど。ま、選民意識の方は有権者も有権者だから仕方ないかもね(笑)。非常勤君は晒し者にされて御愁傷様。

更に、自分自身が、過去指導教官からも学歴偏重を指導されていたことが分かる。

そもそも、「学歴自慢を慎め」などと指導教官に「徹底」される学生は少ないのではないだろうか。何故なら、まともな感覚の持ち主ならそんな小中学生レベルの忠告をする必要が無いからである。私の場合も、東大程目立つ偏差値の大学ではないが、指導された記憶は無い。

既にお察しの方もおられるかと思うが、へぼ担当のtwilogを「学歴」で検索すると非常に多くのツイートがヒットする。当人が学歴を気にしている何よりの証明である。

 

本心では学歴に囚われていることを無意識に告白。東大だろうがIBリーグだろうが学歴マウンティングは恥ずかしいだけ。

その癖の背景を考えてみた。相手も高学歴だと、自分の学歴でマウントは出来ないね。これ以上は書かないが、お仲間や元妻からも自身の学歴自慢を指摘されていることは示しておく。

【「馬鹿は黙ってろ」事件を黙殺し被害者振る】

お仲間の軍事ブロガー(Yahoo記事オーサー)JSFによる「馬鹿は黙ってろ」事件についてコメントするのが先であろう。

【瀬戸内寂聴に対して「クズはクズ」】

 

 

幾ら気に入らなくてもこの時点で様々な所業を重ねているモラハラオヤジが「クズはクズ」とは何の冗談だろうか。しかも、日弁連は謝罪している。

【失敗したものは触れない方が良い】

原子力どころかサンシャイン計画(1980年代の新エネルギー計画。)一つまともに直視できない。

ちなみに天敵は日常的に言及している。次に失敗したくなければこれは普通の姿勢。

 

一事が万事だろうな。

【人脈と情報ルート】

そのNHK記者がTwitterの件を知ったら記事にしてくれるのだろうか。君と同じ姓の人?

恩師達は、Twitterの件を知ってるのだろうか。『混相流』にでも先輩の声投稿したら?学会事故調で熱流動部会長だった片岡勲氏とか、これ知ったらどうなるんだろうね。後、気液二相流がへぼ担当の研究分野だった訳だが、その大家である有富正憲氏も「爆破弁」発言の1人。気液二相流の解析すると何か祟りでもあるのだろうか。

家族を通じた非公式の機微情報ルートとして記録。

「旧知の共産党員」がいる。どうやってお友達になったのだろう。

【民主党代議士を通じてレイシズム批判の足を引っ張る】

また、以下の「旧知の民主党代議士」を通じてロビー活動をしている。一口に旧民主党と言っても、色々な立場の代議士が居る。へぼ担当の立場に最も近いのはゼンセン系労組が推薦する組織内候補。選挙の際は労働組合を回り、街宣は申し訳程度で終わらせる人達である。彼が支援するのがそういう候補かは分からないが、言行を見ているだけでも「ああ、そういうことですか」という感じ。

 

 

レイシストをしばき隊関係者と親密な関係にあった有田議員についても「苦言を呈した」そうです。民主党の動きが時々鈍かった理由が良く分かりますね。当時極右達が暴れていたのは新宿や川崎など大都市であり、現地に住んでもいない者が、彼等を間接的に支援していたことになる。

 

なお、彼の会話の相手であるCol_AYABE、通称アヤベ大佐は、成人式でナチのコスプレをして顰蹙を買ったり、海兵隊の広報の仕事を請け負いながら、共産党が入手した米軍の作戦計画をネット上で赤旗記者にねだって提供して貰ったりと色々な話題に絶えない方です。

事業仕分けを憎んでいるそうです。民社協会かね。今なら国民民主党かな?

【投資目的のフォローは「うっかりインサイダー」防止のため原則×】

へぼ担当のTwitterトップには長年次の文言がある。

 

Hebotanto_20180613top

 

「投資目的のフォローは「うっかりインサイダー」防止のため原則×。」とのこと。

それでは次のツイートを見てみよう。

 

Yahooニュースオーサーで星海社から新書を出しているdragoner氏とへぼ担当は旧知の間柄。立教大は赤っ恥だなぁ。

 

 

 

 

 

先行者自慢をした後に先行者利益について語ったり、投資家としての判断に言及したり。他にも専門従事者としての知識を元に警告してきたり迂闊なことを過去には言っていたようである。そういうのを「インサイダー」っていうんじゃね?見えない所で何の情報交換してるの君たち。

【不祥事への感想】

冷静で中立的と言うより、自覚が無いだけなのではないかと思わせるのが、このタイプの出来事を認識していること。口調が慇懃でありさえすれば事足れりというものではない。

 

まぁ私から見ればこの人はぱよちん久保田の比ではない「逸材」だけどな。俺?いやぁ、とてもじゃないけどこの人には及びませんよ。

 

知事選を目前に、園児に特定の政治家の似顔絵を描かせた保育士の処分。もちろん間違った行為だが、へぼ担当は自分の勤務先を明記していただろうか。他人の不祥事にはコバンザメのように食いつく姿勢はつくづく呆れてしまう。

【守秘義務無視して暴露本執筆中】

まぁどうせ「日本の電力マンは頑張ってるんだ」みたいな叫びを打ち明け話で装飾しただけだろうが。

 

鍵もかかってないTwitterは万人が閲覧出来てるけどな。後、しれっと他人に重責負わすあたりが突き抜けてる。とっても。一つ言っておきたいのは、暴露本てのは、出版してから暴露するもんなんだぞ。天敵のツイート通りのボケをかましてどうする。

ずーっと一覧してきて思ったのだが、真面目にこの人、福島原発事故の原因を作っているのでは。そう思わざるを得ない。

※2019.4.3ココログリニューアルに伴う改行調整、一部修文。

2018年6月 2日 (土)

【世間に謝罪せず】「機微情報」を垂れ流した東電柏崎刈羽原発職員へぼ担当氏【問題発言連発】

前の米山知事が不祥事を起こして辞任したため、新潟県知事選挙が行われている。争点は柏崎刈羽原発の再稼動ということで、与野党の決戦場と位置付けされている。

そこで思い出したことがある。ハンドルネーム、へぼ担当と名乗っている原発業界人のことだ。現在は主にツイッターにhebotantoで登録し、活動している。

彼は、どういう人物かというと、原発業界で仕事をしていて、反原発を嫌ってきた。それにとどまらず、「正しい原発の知識とはどういうものか」を啓蒙するため、ネットで活動していたのである。まぁ、今では珍しくも無い他人の揚げ足を取って喜んでいる「お理工」とか「軍事クラスタ」とかもっと直截に「ネット右翼」と呼ばれるような人である。

苦々しく思っているのは私だけではないようで、311後、何か横柄なツイートを繰り返すたびに突っ込みを受けている。代表的なのは軍事ライター文谷数重氏のブログ「隅田金属日誌」だろう。

この件が心底どうしようもないのは、彼が90年代にある大学の(京都大学は誤りでした)大学院を修了後、東京電力に技術系幹部社員候補として入社し、長年にわたって柏崎刈羽原発で勤務し、原子炉運転の資格を取って運転員としての勤務経験を有し、ボイラ・タービン主任技術者(一言で言えば発電所位しか使い道が無いが難しい資格)を取得した、ある意味王道を行く原子力業界人であること、そして一連の書き込みを会社に一切知られることが無く、或いは職場の黙認の上で行ってきたことだろう。

何も私が興信所の人を雇って調べたことではなく、以前から仄めかしていたことである。

熊取=熊取実験所であり各大学の原子力工学科位しか関わりが無い。

次もその一例。

保有資格も公開(BT=ボイラ・タービン主任技術者)。

 

もっとも、本物のPh.Dからは次のようにコメントされている。下記の事故は、彼の所掌だったのだろうか。

これから述べていく理由から、現在は影響力も低下してきたが、過去、その言動はツイッターの原発推進派を煽り立て、宣伝活動として機能していた。彼は、重電・インフラ系の技術者やマニアの内心まで浸透したネット史上有数のステルスマーケティング師(PA師)でもある。また当人の原子力への執着も信仰と言えるレベルに達していた。一連の言動を見直して思ったが、利益相反という言葉すら生易しいものに思える。

批判者達から「柏崎刈羽君」などと揶揄される中、敢えて直球のブログ記事を書いて来なかったが、今回は、彼の原発問題での言動で公益性の観点から見て致命的と思われる点を挙げることにした。内容を要約すると記事タイトルの通りとなる。

【1】安全神話を宣伝する。

彼がああなってしまった原因は東電にもある。入社前後の頃、東電は会社として次のような活動を推進していた。

今から見ればこれは「忘れられた誓い」のようなものである(関連まとめはこちら)。

 

Toden199607pa

社内報記事を読むと分かるのだが、「知識が無くても自分の言葉で原発を推進しよう」と東電は煽ったのである。へぼ担当以前、ネット時代の初期に柏崎刈羽原発に勤務する職員が私的に「EYEFIE原子力発電所」という宣伝サイトをつくったことがあったが、これも会社としての態度が根幹にあった。

結果、彼はお気に入りの軍事評論家ブログへの出入り、mixiでの情報発信などを経て宣伝活動に勤しみ、311前に次のような安全神話を公言した。

ぶっちゃけたお話し,陸上にある原子力発電所(PWR)の場合,大洪水でも起こらない限り,浸水の恐れは無視できますが(ただし,地震による津波影響など評価して問題ないことは確認済み)

 

軍事板常見問題より

もう一つ挙げよう。

幾ら実務的に細かな知識を喋っても、根本がダメという典型的な例だろう。実際に海水を注入した時点では、全てが後手に回り、大量の未帰還区域を生み出したからである。

原発作業員の問題も彼の前では反原発のタカり行為として無かったことに・・・

原爆被災者も次のように侮辱している。

火の出る玩具や原発を御神体にしている人間が良く言えるものだ。

ただ、ある意味では業界が宣伝用に準備する「偉い人」達と違って、忌憚の無い本音を呟いているとは思うが、それが宣伝と性悪な軍事マニアや自称リアリストの主張をコピーしたものでしかないというのは、驚くべきことである。

なお、Yahooニュースに登録している軍事ブロガーJSFが311の晩に福島第一の状態を危惧する人達へ「馬鹿は黙っていろ」と罵声を吐いたことはネット論壇では知られているが、へぼ担当は長年彼の技術アドバイザー的ポジションにいたことを付記しておく。

【2】311後、7年まともに世間へ謝罪していない

よく、ネットで一度投稿した発言を削除して炎上することがある。しかし、へぼ担当の場合、福島事故の数日後、被災者に「ご高配を」とツイートした程度で、過去の自身の原発推進の言動に一切の責任を取っていない。実際、記事を書く前にtwilogで再確認したが、やはりそういった発言を見つけることは出来なかった。先の「馬鹿は黙ってろ事件」も存在自体を黙殺した。

その一方で、大は原子力政策から小事は日用品の出来栄えに至るまで、あらゆる物事に注文を付け続けた。

一度投稿した情報は是非はともかくとして、消すことは出来る。しかし、謝罪していないのだから、これを捏造することは出来ない。

それどころか、彼が2011年頃まで出入りしていた軍事マニア達のインナーサークル「軍事板常見問題」のmixiコミュニティでは「自分だってすべてを知っている訳ではありません」と言い訳していたのだ。東電本体に技術系幹部になることを期待して雇用された実務家の言う事ではない。なお、へぼ担当はmixiに存在した原子力コミュニティでも中越沖地震の頃は「冷静で中立的な啓蒙活動」をしていたが、311後、同じようなことをしていた日立の原発技術者等と共に、一斉に姿を消した。

311後にへぼ担当の陥った最大の失敗である。

東電の失敗を糊塗するために、彼は同業他社への「擁護」を手掛けるようになったことがわかる(私が関電の原子力部門社員だったら、まず東電社員に謝罪を要求すると思うが、そういう思考から目を逸らさせるのがミソ)。

その割に民主党、朝日新聞への謝罪要求などは目ざとく行っている。

自分は責任を取るつもりはないが、蓮舫(ツイート中のR4=レンフォー)には責任を取れと言う。

もちろん思想偏見に加え、ちゃっかり組織防衛するためである。こんなこと東電社員が書いても逆効果でしかないけどね。

 

 

 

実は、これは批判対象の朝日ばかりでなく東電にも言える。よく謝罪会見などを行うが、賠償金の支払いや法的責任を拒否して訴訟になっている問題と、彼の姿勢は軌を一にする。

東電ではジャーナリストはあしらって口封じするものらしい。2015年になって良く言えるなという感想を持つのと同時に、貴重な証言でもあると思う。本音としてはありふれてるが、思っている当人が表立って書くことではないからだ。

これが例えば池田信夫だったら私はここまでは書かない。彼が如何なる言説を弄そうとも、実務担当者ではないからだ。間接的な責任はあっても直接的な責任は無い。

余りに壮絶だったため、ネット右翼の多い技術者や軍事マニアですら、311以降の姿勢で彼に関しては距離を置くスタンスに変わった者達が続出した程だ。勿論、軍事ブロガーJSFや「軍事板常見問題」管理人の消印所沢のように、庇い建てて口を閉ざしている者もいる。また、彼の知識を目当てに積極的にRTしている推進派の著名人もいる。

へぼ担当は世間に対し、東電原子力社員として、謝罪するべきだろう。ああそうだ、彼が大好きな日本政府の当時の代表にも「この度は当社の事故で御手を煩わせることとなり、大変申し訳ありませんでした。」とでも詫びてはどうかな。

以上のように、彼にとって民主党(政権)、菅直人、鳩山由紀夫などは日頃から憎悪の対象でしかないが、大衆もまた同様である。311直後の数年、エネルギー政策のパブリックコメントを集めた時には下記の通り。

ゴミノイズだそうである。人種・性差別を問うコメントではない筈だが・・・
※最近問題になったが、もしパブコメに「外国人を殺せ」という『ご意見』が1000人から届いたとしたら、人権思想を理解しないゴミノイズと見なされるが、上記は違うということだ。

更に言えば、自身のプロファイルについても原発業界に詳しい人間だけにわかるような仄めかししかしておらず、それでいて原発にはしがみついているのだから、無様だなとしか言いようも無い物である。

【3】パートナーにより素性をバラされてもTwitterは平常進行

なお、上述のように自身を目立たぬようにする労力も、彼が事故後に始めた結婚生活が破たんする過程で、パートナーが告発したことで、無駄となった。

Hebowifetwitterstatus91663045734470(現在は削除済み)
Hebowifetwitterstatus91663141569703(現在は削除済み。)

その後、別居が当事者から宣言されており、その過程の詳細情報も存在したが、ここでは触れない。ただ、告発内容を読む限り、外形的にはかなり問題があると受け取れ、信憑性は高いと考える。また、原発やミリタリーの『お仲間達』は表立っては咎める姿勢を見せなかったことだけ書いておく。

※2019-04-05:なお、根拠だが、「この記事」メール中にある「奥様の~言及」魚拓背景を見るとパートナーからどのように評価されていたかの一端を知ることが出来る。実際にはこの他にも多数の書き込みが存在していた。

この件について当人からは何の説明も無く、それまでと変わらぬ技術談義を平常進行した。

【4】機微情報をツイートする

正直、【1】【2】【3】だけなら、今時のどうしようもないクズ技術者だなという感想しかないのだが、へぼ担当は驚くべき行動に出ていた。

原発業界で社内・セキュリティ上の機密に属する内容を機微情報という。

私は、日本の原発業界に批判的だが、情報公開についてはアメリカに次ぐか部分的にはそれ以上に公開している面もあることを高く評価している。OBやOGでTVタレント的に活動していない人達も積極的に発言しているのは一面の事実である。特に大雑把でよい概要的な情報についてはそうだ。この事をある原子力ウォッチャーに話したところ「アメリカは訴訟社会でNDA(秘密保持契約)が厳密だから無理ですよ」と即答していたのを思い出す。

さて、2010年秋から冬にかけて、へぼ担当は盛んに機微情報の取り扱いについてツイートしていた。要は、「僕ちんは啓蒙活動も活き活きした内情も伝えていくけど、テロリストが喜ぶから出すなと言われてるヤバい情報は出しません」という宣言だ。

しかし、彼はその後、やらかしていた。

311で自尊心をへし折られ、鬱屈していたからかもしれない。

原発がどれだけの航空機衝突に耐えられるか、日本の電力会社も規制庁も、公表はしていない。私も以前ブログで話題にしたが、それは公表している国があり、その情報から個人的に推定した物だ。

80年代は日本の原発もF-1戦闘機を想定して解析をしていたことを仄めかすばかりでなく、F-2の解析はその結果に言及している。なおF-1は国産機であり、他国のデータは流用出来ない。結果を知っているのだから、彼の妄想ではなく、東電の社内情報を参照したものである。「バカは黙ってろ」で悪名を轟かせたJSFを引用しての吐露であるところがどうしようもない。他の東電社員からすれば「バカは黙ってろ」と言いたいところだろう。

さて、東電に裏を取っても彼のアカウントを黙って停止させるだけでお茶を濁されると困るので、日本原電に質問した。へぼ担当はJAPC(日本原電の英称)の研修にも参加した旨、以前ツイートしていたからである。

日本原子力発電
広報ご担当者様

岩見と申します。

最近、同業他社の原発に勤務していると称する方が「航空自衛隊が保有する特定の機種の戦闘機が建屋に衝突した場合の評価は既に行っている。近年F-2戦闘機についても追加評価を行った」という趣旨のコメントをネット上に書き込んでいるのを見かけました。

その種の評価は、御社のサイトでなされているとは聞いたことが無いので、新規性基準に移行してから、また規制制度が変わったのかと一旦は驚いたものです。

念のため、規制庁の審査会合のHPを再度見てみましたが、従来各サイトで行われている通り、建屋近隣に墜落した際に燃料が火災を起こした時の評価に留まっていました。

現状では、そのような情報は下記の様に、JAEA等が研究のため特定のサイトを模擬しない形で行った公開研究しかないと思いますが、その認識で間違いはありませんでしょうか。
http://csed.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2016/09/PL2L04.pdf

2017年10月2日

本件について少し、補足します。

先のツイート事例は某電力会社に勤務する社員ですが、御社グループやその親会社の場合、特定の機種の航空機が建屋に衝突した場合の解析評価は結果をツイートしても御咎めは無い程度の機微情報なのでしょうか。

2017年10月2日 12:45

岩見 様

いつもお問い合わせいただきありがとございます。

「航空自衛隊が保有する特定の機種の戦闘機が建屋に衝突した場合の評価」のお問い合わせについては、核物質防護の観点から評価の有無に関してもお答えは控えさせていただきます。

ご了承願います。

日本原子力発電株式会社
地域共生・広報室

2017年11月2日 12:28

2017年秋当時、航空技術者の平岡公夫氏は、出しても良いのに秘密されているスペックについて疑問をツイートしていた。そういう考え方はあると思う。個人的に機微情報が表に出されても仕方ないと思われる事例は、例えば談合・データの書き換え・内部での問題提起の握り潰しなどの不正行為であるとか、青山繫晴のように、今更表に出回っている情報を重大な機密呼ばわりする間抜けな行為などであろう。

では、今回のへぼ担当の行為はそれらに当て嵌まるだろうかと言えば、当て嵌まらない。ただの知識自慢に過ぎない。

業界ではこういう人物はインサイダーと言い、主に入社後原発へのスタンスを変更した人物が想定されているようだが、実際にはうっかり日米会談の機密を喋った元防衛大臣のように、推進者が自滅するパターンを良く見かける。ある意味では、火を付けて存在意義をアピールする消防署員や点数稼ぎに犯罪をでっち上げてばれる警察官と似たようなものだ。竜田一人の『イチエフ』でも「うっかりマンガに商業機密を描かれると困る」と苦情があったそうだが、これも類似パターンであろう。モリカケの役人もそうだ。

【5】 「TLでは流せない話」をするため上京を計画し、311直後に実行する。

へぼ担当の場合、以前から守秘義務違反の兆候はあったようだ。

まず、一つ言えることは、彼ほど日頃から技術の詳細をツイートする人物に取って、「TLでは話せない情報」など無意味な定義に過ぎないということである。大抵のことは話しまくっているのだから、顔を突き合わせたところで、それ以上の秘匿性の高い話が許される訳では無い。従って、「TLでは流せない話=守秘義務のかかっている話」しか残っていないと判断出来る。

※TL:タイムライン。ここではツイッター用語でツイートによる会話全体を指す。要するに表立って話せること=TLに放流出来る話である。

311は金曜日だったので、ツイートの翌週に開催を計画していたとしても中止になったはずである。もし311が無ければ、この時点で小泉悠、石川潤一等に機微情報が流出した可能性もある。また、へぼ担当と軍事クラスタ系ライターの特徴から、メールなどのルートも疑わざるを得ない。

実際、311でいったん計画は中断したものの、11年6月には「秘密会合」が実現している。

「秘密会合」と呟く愚かさはともかく(『遥かなる星』へのオマージュ?)、上記のツイートから都内での宿泊場所に戻るまで半日かかっている。貸会議室でも使えば大抵のことが出来る。

へぼ担当は「情報はギブアンドテイク」との信条がある。この面子であれば、交換した情報は原発事故対応を土産話に、ロシア関連の軍事情勢、核査察ネタだろうか。もう1人原子力関係者が参加しており、さぞ盛り上がったことだろう。

この方の区分けで行けば、ネット上でミリタリーマニアや科学オタクが集まって形成された軍事クラスタは、全て趣味の対象にしているし、日常的な言行がすでにそれである。秘密会合も正に(3)そのものだろう。

技術談義の中心にいたので、ネット上の付き合いも似たような人物が多い。311の時英語で安全神話を垂れ流したf_Zebra、へぼ担当と同じく業界人の森雪、Shimpei、電気新聞で紹介された原子力魔法少女今井智大、軍事マニア繋がりでヤフーニュースオーサーのJSF、dragoner、憑かれた隠棲等である。上記の会話もそうだが、第3者からは読めないDMやメールで何の情報を渡していたのかは分からない。彼らと交友関係を持つ事にはリスクがあるので、近づこうとは思わなかった。

仮に私がへぼ担当と同じ立場・思想でネット活動をしていたら、さほど重要でもない「内部情報」を餌に彼等を釣り上げ、会社の目から見て来歴のはっきりしないオタクの個人情報を収集した上、会社の意に反する態度を示した時点で、これまで与えた情報の重さを強調するなど、DMで恫喝となだめを繰り返してコントロール下に置く、だろうか。まぁ、dragonerの方も本名を知っていれば別の意味で機微情報を取得したことにはなるが。

自衛隊に勤務している彼の弟についても、同様である。2010年の時点でへぼ担当に宿営地周辺の戦闘について情報を与えており、その結果のツイートであろう。何せ「実体験」と堂々と書いている。思えばこれは、日報問題の機微情報垂れ流しも同然であった(弟は弟で、日報の隠蔽にも加担していても不思議ではない)。

上記のように「部下を生きて返す」というツイートを彼は繰り返しているのを見ても当時の心情がよく分かる。意地の悪い読みをすれば、武人の家系である彼の一族は旧軍スタイルそのままに「部下以外の命は保証の限りではない」のだろう(戦争中期以降は味方も大量に見殺しにしたが)。一般論として、自己の功名心に向き合うこともせず、命に関して奇妙な結束を示す人間が国家に寄生すると、戦地で問題を引き起こす遠因になりそうだ(米国でヒットした『ローン・サバイバー』という映画は、正にこうした問題の実話がベース)。

そして弟は、バーターとして核関連の機微情報、それも幕僚監部辺りからの照会では定形文で返答されるような「内情」「特定の政策要求を通すためのキーマンに関する情報」などを入手していても全く不思議はない、と解することが出来る。マスコミ嫌い、人脈好きの真意もそこにあるように思える。また、うっかり踏み込んだ内情を暴露ということもあるだろう。

今思えば、こういった連中が、日本人による原潜・核保有を問題提起した『沈黙の艦隊』にリアリティを付与するかのような議論をしていたのは、危険な兆候である。

一時期、私のことを彼との直接的な関係が無いのに批判していると「軍事板常見問題」管理人の消印所沢などが問題視していたが、無意味な機微情報の共有なら御免蒙るといったところだ。そういう話は映画や小説の中だけで御腹一杯だからである。

表面的には場の空気を支配したくて溜まらない「冷静で中立的な人物」の書き込みだが、元海保職員の右翼、sengoku38氏とおなじですよね、この人がやろうとしていること。

実は東電の社員はKEDOに出向している。従って内輪向けの技報などにレポートが載れば彼の立場では読めるし、場合によっては直接会話も交わせるだろう。

以前、そういうポジションをいいことに、ある大学の化学研究者で原子力ウォッチャーをしていた人(当時は推進派であった)に、核実験や査察の技術詳細で「原発専門誌に書いてある情報をチェックしている程度で調子に乗るな」的な暴言を吐いていた。専門誌にも載っていないのなら、どうやって同じ土俵で議論するのかは示そうとしなかった。表に出せない内部情報を笠に着た最低の態度であると同時に、何か東電に不都合な失態でもあったのかという疑念も沸く。

【最後に】

技術的には色々と細かい話は出来るだろうし、私も普段のブログはそう言った内容である。しかし、原発を実際に動かす人間の本性についても目を向けてから、再稼動の是非を決めることも、大切ではないだろうか。

私は、彼のような人物を放任してきた東京電力の姿を見て、一層信用が出来なくなった。現在は、休職中とのことで、そういう人物を復職させて原子炉の運転に就けるのは制度上は可能だが、明らかに抜け穴だろう。彼は自信家の割には抜けが見られ、自分の失敗には向き合おうとせず、そのエゴイズムのために心身不調となった。「車の運転に向いてない人」というのはいるものだが、彼は「原子炉の運転に全く向いてない人」だと思う。

肝心な事故対応時に重要なスイッチを押し忘れ、しかも嘘で塗り固める位のことは残念だが想定せざるを得ない。さらに言ってしまえば車ならまだしも相手は原子炉。ストレンジ博士的なリスクも考慮しなければならない。

それをやって滅ぶのは柏崎市のそれも金亡者達だけにして欲しいと思っている。また、彼のような極右的偏見は既に社会病理のレベルに達しているとも言われる。彼以外にも、本音が金目であるとか、何時まで経っても上から目線が抜けないなどの原発所員は(2011年の豚骨ベース事件などからも)地元で働いていれば勘付くものだろうし、その行き着く先も想像がつくというものだ。

※2018年6月7日、KEDO、中東派遣関連で追記。

※2018年7月1日、秘密会合を証明するツイートが見つかったので、【4】の後半を【5】に分割。

※2019年4月3~5日:牧田寛氏の指摘を参考に【3】を修文、タイトル変更。

2018年4月29日 (日)

女川原発安全神話を守るため嘘をつく東北電力、再稼働の資格はあるのか

2014年8月に「-東北電力の企業文化は特別か-日本海中部地震津波では能代火力造成地で多数の犠牲者」という記事を書いた。

ネットで反反原発と揶揄されている、只の原発推進な方々が飛びつきまくり、ある種の界隈では飽きるほど流されているにもかかわらず、さも「マスコミには流れない真実の話」として、次のようなものがある。

東電福島原発が想定外の津波で事故を起こしたからと言って、原発そのものを全否定するべきだろうか。お隣の東北電力は女川原発を建設する時に、平井弥之助という重鎮が、古代から津波災害の伝承が被災地の神社に残っていることを知っており、言い伝えを元に敷地の高さを15mにするよう主張した。そのため東日本大震災で津波が襲った時も、間一髪で女川原発は助かった。平井弥之助のような精神が息づく東北電力のような企業文化なら、原発を再稼働しても良いのではないだろうか。

いい話だとは思うが、寓話臭が強く、その前提は正しいのか疑問を持っていた。そこで先のブログ記事で過去の事実を色々並べてみた訳だが、企業文化ではなく、平井氏個人のリーダーシップによるところが大きいと結論した。

それから4年近くの月日が流れ、勝俣恒久ら事故前の経営幹部3名を相手取って行われている刑事裁判で、驚くべき資料と証言が飛び出した。

福島事故前に、女川原発を対象に東北電力が行った津波シミュレーションには、同原発を水没させる15m以上の大津波を起こすとの計算結果が含まれていたのである。ここ数日、各社のトーンは異なるが、マスコミでもニュースで流れ始めたので、ご存知の方もいるかも知れない。以下、裁判を傍聴した添田氏のツイートから、当記事に関連する部分のみ抜粋する。

(中略。なお耐震BCとは耐震バックチェックの略。古い原発を後の知見で見直すこと)

しかし、そこは結果を出した東北電力のこと。脱原発派でも、「事故前にそんなシミュレーションをしているなんて誰も思いもしなかったのだし、聞かれなかったら東北電力だって答えないでしょ。今更裁判の証言で分かったからといって、責めることは出来ないよね」と思われる方もいるだろうと思う。

甘い。そういう忖度は止めよう。女川原発の神話を聞かされた時点で、完全に術中に嵌ってる。特に一般的なジャーナリズム関係者。すぐ脊髄反射的に話題逸らししたり、だから駄目なのだ。

【ただの情報隠しではなく、嘘】

この件は東北電力に取り、単なる情報隠しではない。嘘である。提示した資料が改ざんでされているのでなければ。

そこまで書くのは、2014年4月に下記の質問の回答を東北電力から得ていたからである。以下、本件に関する分抜粋する。回答文の着色部に注目して欲しい。

日付: 2014年4月10日 18:41
件名: 【東北電力】弊社HPへのお問い合わせへのご回答について

岩見 浩造 さま

3/16(日)にいただきました岩見さまからのご質問につきまして,それぞれ下記のとおりご回答いたします。

【問】東京電力は東日本大震災前に津波に対する社内外からの厳しい想定を複数回指摘されていたにも関わらず,様々な理由により津波対策を遅らせ事故に至った旨,各方面より指摘されています。御社において類似の経緯で不採用とした津波想定・対策がありましたらご回答願います。

※老婆心から申し上げますが,再稼動を目標とする立場から見たとしても,類似例があれば早期に公表して膿を出すことが,危機回避には有効かと思います。

⇒ 当社においては,類似の経緯で不採用とした津波想定・対策はございません。
以下のとおり,適宜,最新知見を反映した津波評価及び必要な対策を採用してきております。
・ 当社原子力発電所では,建設時に既往津波に関する文献調査,学識経験者の議論等を踏まえ,十分な敷地高さに発電所施設を設置するとともに,その時点での最新知見を踏まえ,都度,津波に対する安全性を確認しております。
・ 例えば,女川においては,1号機設置許可申請(1970年代)時に津波高さ3m(文献と聞き取り調査)としていた評価を,2・3号設置許可申請(1980年代ならびに1990年代)には津波高9.1m(数値シミュレーション)とし,津波への耐性を高めるため法面防護工を設置しております。
・  また,2002年に出版された土木学会手法により津波高さを13.6mと評価し,その後,潮位計にバックアップ装置を設置しておりますが,これにより,東北地方太平洋沖地震でも潮位を観測できております。津波監視に対する面でも対策が生かされたものと考えております。
・ これら検討,対策により,女川,東通原子力発電所ともに,東北地方太平洋沖地震により発生した津波においても,津波高さは,重要施設が設定された敷地高さ(女川:沈下後13.8m,東通:13.0m)を超えず,発電所※は安全に停止し,過酷事故の回避に繋がったものと考えております。
※東通原子力発電所については,地震発生時は第4回定期検査中だったため,運転を停止しておりました。
・  なお,東北地方太平洋沖地震後も,津波に対する更なる安全性対策として,防潮堤,防潮壁を設置しております。
・  以上,これまでの津波評価と対策の経緯をご説明しましたが,今後も最新知見を取り入れた評価,対策を実施し,発電所の安全に万全を期す所存であります。

【問】東日本大震災前後,再稼動に向け海抜29mまで防潮堤を作るそうですが,想定津波を大きくした理由を回答願います。

⇒当社はこれまでも(中略)回答に示しますとおり,その時点での最新知見を踏まえ,都度,津波に対する安全性を確認してきております。
・東北地方太平洋沖地震後も同様に検討を進め,東北地方太平洋沖地震等の最新の科学的・技術的知見や新規制基準に対する議論の動向を踏まえながら,安全最優先の観点から極めて厳しい条件(※)の下で津波高さを評価したところ,防潮堤に到達する津波の最大遡上水位が23mとなったものです。
・この評価により現在の防潮堤を上回ることとなりましたので,発電所の安全性をより一層高め,地域のみなさまにご安心いただくため,防潮堤の更なるかさ上げ工事を実施しているところであります。

・なお,現時点において,万が一,この規模の津波が発生したとしても,東北地方太平洋沖地震後に実施した緊急安全対策により発電所の安全性を損なうものではないと評価しております。
※東日本大震災などの知見をふまえ,複数の地震津波を想定し,局所的な大きな滑りがいずれの場所でも発生すると仮定するなど,極めて厳しい条件のもとで複数の数値シミュレーションを実施しています。

【問】質問というより要望となりますが,今後の事故対策リリースでは対策に際して不採用の提案を比較表を交え掲載頂きたく御願いします(そのようなリリースを実施済みであればご紹介下さい)。

⇒東京電力福島第一原子力発電所の事故につきましては,福島にお住まいのお客さまをはじめ,多方面に大きな影響を与えることとなり,当社といたしましても,同じ電気事業者として極めて深刻な事態と受け止めております。
今後の原子力発電の活用にあたりましては,これまで以上に安全確保を徹底していくことが,なによりも重要であるとの考えのもと,安全対策に取り組んでおります。
事故対策については,これまでもご説明してまいりましたとおり,新規制基準への対応など世界最高水準の安全を目指し,さまざまな対策を実施・検討しております。
対策の内容や実施状況については,地域のみなさまにわかりやすい情報提供が必要と考えており,ホームページでも公開しております。
こちらについては,発電所ごとに一覧表の形でお知らせをしております。


参考:女川原子力発電所安全対策実施状況
http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/safety/plan_onagawa.html


岩見さまからいただいた件につきましては,貴重なご意見として承り,
社内の関係各所で共有化させていただきたいと考えております。


以上

---------------
東北電力株式会社
広報・地域交流部

「当社においては,類似の経緯で不採用とした津波想定・対策はございません。」と東北電力は嘘をついた。私がこういう質問をしているのは、メディアがしないからである。今まで女川について書かれた記事を、全てではないがそれなりに見てきたけれども、このような質問の形跡があったものは、記憶にない。

なお、18m,22mといった計算結果は専門誌『電力土木』2012年11月号「女川原子力発電所における津波の評価および対策」などにおいても(当然だが)一言も触れられていなかった。

それどころか震災を乗り切ったことで、次のような文言さえみられた。

女川原子力発電所では、1号機計画時から、津波に対する安全性について種々検討し、余裕のある敷地高さとするなどの対策を講じ、2号機以降においても、時々の最新の知見を反映した調査・検討や必要な対策を講じてきた。

菅野剛(※1),大内一男(※2),平田一穂(※3)「女川原子力発電所における津波の評価および対策」『電力土木』2012年11月P20
※1:東北電力土木建築部 火力原子力土木グループ
※2:日本原燃(前 東北電力土木建築部 火力原子力土木グループ)
※3:東北電力土木建築部 副長

もう一つ挙げる。

女川原子力発電所が冷温停止に至った主な原因としては、第一に、敷地が津波最大高さよりも高かったこと、第二に、非常用ディーゼル発電機(DG)と外部電源が使用可能であったことである。前記に加え、適切な準備(例えば、耐震裕度向上工事、津波高さ予測評価の適宜実施、および火災や外部電源喪失に対する継続的な訓練等)が功を奏したと考えている。

渡部孝男(※1),小保内秋芳(※2)「地震・津波被災を乗り越えた女川原子力発電所」『エネルギーレビュー』2013年1月P7
※1:東北電力株式会社取締役原子力部長(前女川原子力発電所長)
※2:東北電力株式会社原子力部副部長(前女川原子力発電所 原子炉主任技術者)

これらの文章はいずれも、最新の知見を反映して対策をしたとなっている。だが18mや22mの津波では、敷地高を超える津波への対策が必要となるが、それをしていない。だから嘘だということになる。それも上は原発所長経験のある取締役から下は広報部社員まで一丸となっての所業である。

これだけ原発と大津波が問題になっている中でついて良い「些細な嘘」とは到底言えない。誰なのか、東北電力は嘘をつくように指示した責任者の名を明らかにする義務がある。

【敷地高を超えたら、海水ポンプは全滅し、非常用発電機は止まっていた】

実際は回答文の通り、対策をして安全が確保されたと認めたのは震災後であった。震災前、水密扉などの浸水対策は一部にしか行われていなかった。だからこそ、主要建屋の水密化工事が対策目標となったのである(『エネルギーレビュー』2013年1月号P8~9等)。

なお、上記とは別の機会に実施した質問への回答で、海水ポンプ類もまた、浸水対策をしていなかったことを知った。

日付: 2014年2月24日 21:48
件名: 【東北電力】弊社HPへのお問い合わせへのご回答について

岩見 浩造さま

東北電力でございます。

弊社ホームページにお問い合わせいただきましたご質問について,
添付しております資料により,ご回答させていただきます。
(データ容量の関係上,PDFにて送付いたします。)

弊社からの返信がこのような遅い時間となってしまい,申し訳ございませんでした。

(中略)

【問】「女川1号機運開後~東日本大震災発生」の間において、追加した津波対策があれば御教示下さい。例えば2000年代に原子力発電所の津波評価を見直し、想定津波は13.6mに引き上げられています。敷地高以下とは言え、標高高でのマージンは削られる結果となった筈です。

⇒(中略)

■海水ポンプ室のピット化
 女川原子力発電所では、除熱に用いる海水をくみ上げるポンプを、海面に近い港湾部に設置するのではなく、14.8mの敷地に海水ポンプ室(1,2号機)あるいは海水熱交換器建屋(3号機)と呼ばれる構造物を構築しており、
津波が敷地高を乗り越えないと水が入り込まない構造にしています。このため、東日本大震災では、13mの津波が来襲しましたが、敷地高を乗り越えて海水ポンプが冠水することはありませんでした。(後略)

以上

---------------
東北電力株式会社
広報・地域交流部

つまり、津波が敷地高を乗り越えると水が入り込む構造だった。

原発推進派によれば、平井弥之助は防災上の結果責任を重視し、そのためには法で規定された以上の対策を厭わない信念があったとされている。それが事実であるとしても、現代の東北電力に継承する者はいないということが、問い合わせ回答からも良く分かる。

常々指摘されているように、原発事故のリスクは津波だけではない。航空機衝突のように震災後も放置されたままの課題もある。対応可能なリスクでさえも対応しない行動パターンは反原発運動からよく指摘されるが、その信ぴょう性はいよいよ高まったと言える。

東北電力のような会社が原子力発電所を再稼働する資格があるのか?、とてもあるとは言えないだろう。私の差し伸べた手すら払うような人達なのだから。

【新たな疑問:平井氏は本当に最もリスクを高く見ていたのか】

今回の事態を受けて思い至ったことがある。平井氏自身はどこまで信用出来るのだろうか。会社組織として同じパターンで行動してきたならば、15mと決まった時点でそれ以上の高さの案は隠す筈だからである。工事誌の類が存在していても、不誠実な者が書けばその部分は省略される。

勿論彼は東電福島第一の敷地高を決めた小林健三郎などよりは信頼のおける人物である。しかし、小林氏の論文(過去記事参照)を見れば分かるが、15m程度の敷地高は70年当時循環水ポンプの経済設計が可能だった限界の高さでもあり、製作限界に合わせ込んで決定しているようにも見える。小林論文以外にも当時のポンプ関係の文献はかなり調査したが、ほぼ同様の感触を抱いた。

女川1号機は、原子力としても、専用港湾の建設としても当社初であった。また、敷地高さについては、社内での比較検討で15m程度を最適と考えていたが、発電所が立地する三陸沿岸は、古くから大きな津波による被害を受けてきた地域であることから、津波に対する安全性等について専門家の意見が必要であると考え「海岸施設研究委員会」を設置した。委員会の構成は、本間仁東洋大学教授・東京大学名誉教授を委員長として、土木工学や地球物理学等の専門家により構成(計9名)した(設置期間:1968.7~1980.8)。「明治三陸津波や昭和三陸津波よりも震源が南にある地震、例えば貞観や慶長等の地震による津波の波高はもっと大きくなることもあろう」といった議論のほか、当時の津波高さの経験式や、当時の研究論文などについても議論された結果、「敷地高によって津波対策とする」こと、「敷地高さは15m程度でよい」と集約され、この結果を踏まえ、主要建屋1階の高さと屋外重要土木構造物の地上高さを15.0m、敷地高さを14.8mと社内決定した。

菅野剛,大内一男,平田一穂「女川原子力発電所における津波の評価および対策」『電力土木』2012年11月P16

上記の文言は「集約」となっている。15mより低い値もあれば、より高い値を提示した者がいたのではないだろうか。

当然と言うべきか、この種の社内委員会の議事資料を東北電力は公開していない。町田徹『電力と震災』P251には、広報・地域交流部長相澤敏也の応対を受けた際、「議事録など確かな資料は残っていない」と書かれている。官界を上回る原子力業界の文書への執着を知る私にとって、その説明自体が非常に疑わしいが。

なお町田氏は平井氏について「処遇は恵まれなかった」と書いているが、すぐに裏は取れなかったそうである。当たり前だろう。部長止まりで関連会社に出向ならともかく、平井氏は只見川開発および新潟火力建設で多大な貢献が認められ、副社長として退任した人物である。町田氏は無意識に社長や経団連の重鎮クラスに収まる事を「処遇」の最低ラインに引いているのだろうが、成功者と見做すのが普通の感覚である。社内での技術論では、大きな権威を持っていたと考える方が自然なのだ。

むしろ、ここから見えてくる彼の隠れた欠陥は「大事なことを文書に残さない傾向にある人」、と言う姿だ。これは同じ種類の仕事を担当して失敗した小林健三郎が、文書を残すという点については別格に高く評価出来ることとの対比で明瞭になる。勿論、平井氏の後進が文書隠しに走ったために、そう見えている影響は考えなければならないが。

もし平井氏の主張、15mより厳しい津波を想定した人物がいたとすれば、それは社内の非主流派に属していたり、社外の識者なのだろう。今後検証が待たれる。

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