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2025年7月22日 (火)

日本で接種することが出来ないワクチンについての一考察

当記事は「ワクチン接種に明け暮れた1年」の続きである。

欧米とのワクチンギャップ(任意・定期接種化されたワクチンの少なさ)をほぼ解消したとされる日本だが、潜在的なワクチンギャップは、まだ存在するのではないだろうか。

今後、日本で接種可能な(外国製)ワクチンは増やしておくべきだと考える。

理由は、南北に長い国土と多彩な四季が、様々な感染症の元になっている風土に加え、温暖化影響が加わっていること。国際化の進展により、人流が飛躍的に増え、コロナ禍で伝播性の高さを実証したこと。各国の食習慣が持ち込まれたりジビエ食振興で複雑多様化したこと。予防接種の発展によって医療費の抑制を図る段階にきていること、などからである。ジビエを食してE型肝炎となり、1~6週間入院するといった事態は、今後許容されなくなっていくだろう。また、安全保障上の問題もある。

国は、厚生労働省に審議会を設け予防接種施策について随時を検討を進めているほか(一例として2025年3月のスライド)、重点感染症をピックアップし、三菱総研など民間シンクタンクに依頼し「国内外の感染症治療薬開発動向等調査」をまとめるなどして開発中のワクチンについては把握に努めているが、既に上市されて年数の経ったワクチンについては、あまり関心を持っていないように見える。また、この調査を見ると当時P3治験に進んでいたワクチンは、承認済みの他社製品が存在するものばかりで、当該の感染症で新規に開発中のものはP1,P2治験が大半であった。2020年12月、m3に「ウイルス感染症ワクチンの開発成功率は10%」というニュースが流れており、P1に多数の治験が並んでいても、上手くいかなければ製薬メーカーの開発パイプラインから消えていくことが、統計的にも示されている。

なお、この調査後2025年、長崎大はmRNA技術を用いてSFTSワクチン開発着手を表明するなど(リンク)、新たな開発計画も出てきている他、国立医薬品食品衛生研究所では「臨床開発中もしくは既承認のmRNA医薬」の一覧を随時更新している。それぞれがピックアップしたワクチンは重複もあるが、被っていないものもあることに注意。

一方で、医療従事者用の感染症に関する専門書籍は多々あるのだが、高額なものを除くと網羅性はやや欠けており、渡航時の接種についても、あくまで日本の医療体制が及ぶ渡航前接種がアナウンスの中心となっているように感じる。

ネットを見ると、外務省は「世界の医療事情 地域別 ワクチン接種施設」にて、各国の医療情報を提供しているが、渡航先の各国で直近数年に認可されたワクチンは十分情報更新できていない様に思われる。典型例が認可の増えている手足口病エンテロウイルスA71用とデング熱であろう(これについては、各国の法制度を熟知した上で掲載していない可能性もあるが)。また、遺伝子組み換え技術を用いたワクチンについては、カルタヘナ法によりトラベルクリニックが常用する個人輸入も規制されている。

上記のような背景を示した上で、以下に、厚労省検疫所が案内している「海外渡航のためのワクチン(予防接種)」を列挙してみた。

  • 黄熱
  • A型肝炎
  • B型肝炎
  • ポリオ
  • 狂犬病
  • 日本脳炎
  • 髄膜炎菌
  • 麻しん
  • 風しん
  • 破傷風
  • インフルエンザ
  • ダニ媒介脳炎
  • 腸チフス

種類は限られており、日本国内で定期・任意接種となっているものが大半である。また、地域別と言っても、第三世界であれば腸チフスを追加する、或いは、南米とアフリカ中部であれば黄熱を追加する、という程度の変化に限られているし、多様な感染症への対応が出来ているとは言い難い。

更に酷いのは網羅性の不足で、日本および世界各国で接種可能なワクチンとして10種類が抜け落ちている。代表的な民間クリニックであるトラベルクリニック東京の一覧と比較すれば、その差は一目瞭然である。

  • ジフテリア
  • おたふくかぜ
  • コレラ
  • Hib:2008年日本で承認
  • 肺炎球菌:2010年代以降普及
  • ロタ(幼児用):2010年日本で承認
  • 帯状疱疹:2018年日本で承認
  • HPV:2010年代以降普及(接種控え時期あり)
  • コロナ:2021年以降
  • RS:2023年以降

しかし、これで全てではなく、世界を見る、他にも一般に接種されているワクチンが複数ある。

そこで以下に、上市済みのものから、ハイリスク者への勧奨や渡航前接種を可能にすべきと思われるワクチンを示す。これらはトラベルクリニックでも接種は不可能であり、特定国でのみ接種されている、或いは過去に接種されていたものである。なお、モダリティ(不活等、ワクチンの種類)については特に考慮していない。

  • デング熱:4血清型に対応する遺伝子組み換え弱毒生ワクチン、Qdengaを武田薬品が開発。20か国以上で認可。2014年に代々木公園でアウトブレイクして以降、温暖化で定着が危険視されている。第4類感染症。
  • 手足口病(AV71orEV71):2016年に中国で認可。任意接種(リンク)。その後タイでも認可。2023年には台湾でも認可(リンク)。エンテロウイルスは他にD68などの亜種もあり、全タイプに対応している訳ではない。日本でも流行はあるが、中国・東南アジアでは度々流行し、重症化傾向のあるEV71については幼児向けとしてワクチン開発に至った。第5類感染症。
  • プール熱(アデノウイルス):血清型は多数あるが、4型と7型についてはワクチン開発され米軍で接種している(リンク)。第5類感染症
  • E型肝炎:動物由来。2010年に中国でヘリコン認可。有効性8.5年とされる(リンク)。中国以外ではパキスタンで認可したのみ。他、2022年の南スーダンを皮切りに、国境なき医師団により紛争地域での接種例あり(リンクリンク)。ジビエ等でも警戒される。第4類感染症。2014~2021年の報告例によると、近年日本でも増加傾向(リンクリンク)。
  • Q熱:動物由来。オーストラリアでは畜産業従事者をハイリスク層として接種(リンク)。第4類感染症。
  • 野兎病:動物由来。病原体はBSL2施設を要す。1950年頃、ソ連にて年間1000万人に弱毒生ワクチンを接種し現在はその改良株がある。現在も米露で一部ハイリスク者に接種(リンク)。第4類感染症。本邦での発生はほぼ無くなっているが(リンク)海外の北緯30度圏ではある。
  • レプトスピラ症(ワイル病):動物由来。ヒト用は、かつて農業従事者に接種(リンク)。2009年の厚労省資料のPDF15枚目には、まだ掲載していた。第4類感染症。
  • 腎候性出血熱(ハンタウイルス,HFRS):4類感染症。東アジアを中心にユーラシア・北米・南米でも発生。ネズミを通じて媒介(リンク)。日本では長らく発生していないが、港湾のドブネズミからはウイルスを検出(リンク)。中国・韓国ではワクチン開発済。近隣国との人流の太さを考慮すると、黄熱の様に、渡航用として三大都市圏の一部医療機関で扱う程度はあってもよいのではないか。1990年代に米軍がワクチン開発したこともあり、その着想の方向性に倣うのであれば、自衛隊関連での扱いも検討すべきだろう(リンク)。日本では、北海道大で2001年から2003年に遺伝子組み換えワクチンが研究された。(リンク
  • 天然痘/mpox:1976年までは日本でも天然痘ワクチンを定期接種していたが、世界的撲滅により以降はなくなった。天然痘は第1類感染症であり、それゆえバイオテロのリスクを指摘されている。現状承認されているワクチンはいずれもmpoxと交差免疫あり。三菱総研の調査に記載されている品目の他、2022年にロシアも天然痘/mpox用ワクチンを開発・承認している(リンク)。mpoxは第4類感染症だが、流行国は多いので渡航前接種可能にする意味はあり、性感染症として国内でのアウトブレイクが発生した場合も、トラベルクリニックで接種可能なら対応力は高まる。

    現在はmpox用ワクチンが米加で接種。米国の場合、第二次トランプ政権前の話だが、CDCが17歳以降の接種スケジュールに、性感染症対策として記載していた(リンク)。KMバイオロジクスはLC16をmpox対応用として2022年厚労省より効能追加の承認を受け(リンク)、2024年、コンゴに提供したことがある(リンク)。一時期、一部トラベルクリニックで接種受付の旨記載されていたが、現時点では特定の医療機関で研究の一環で接種をしているという、予防的には残念な状況にある(国立成育医療センター、リンク)。研究とは、MSMへの接種を通じて安全性を確認することと、参加しているクリニックの説明にある(リンク)。生ワクチンのLC16は有効性が高く見込まれるが、海外製の輸入と並行しない姿勢には、疑問の声もある(リンク)。
  • エボラ出血熱:ザイール株に対応したワクチンのみ上市。他にスーダン株などあるがワクチンは未開発である。第1類感染症である以上、アフリカ中部への渡航前に、接種出来る体制が適切と考える。後述の様に、アフリカへの経済進出等を強化している中国は、エボラワクチンを自国開発済み。駐在員・移民・現地民への提供用と思われる。

比較的著名なものはワクチン上市の根拠リンクを貼っていないので、各自調査のこと。

なお、上記のリストからも除外したワクチンがある。

  • マラリア:GSKにより2021年にワクチンが上市されているが、有効性が低いので除外。短期滞在であればこれまで通り、マラロン等の予防服薬になるだろう。今後の後発品による成果が待たれる。
  • チクングニア熱:2025年に米欧でVLPワクチンが承認(リンク)。米国立衛生研究所に勤務していた赤畑渉氏の技術を元に、デンマークのババリアン・ノルディック社が製品化(リンク)。リアルワールドでの実績はこれからであり、まだデング熱・マラリアほどは蔓延していないため今のところは除外。良好であれば2020年代後半には本邦でも輸入について検討すべきだろう、と思っていたが、2025年6月末より、トラベルクリニック東京では早くも取り扱いを開始した(リンク)。よって、課題は今後の輸入ではなく、日本の厚労省による承認にシフトした。
  • 南米出血熱:1979年、アルゼンチン政府と米陸軍により弱毒生ワクチンが開発済み。アルゼンチン国内で26万人に接種実績あり。2012年、厚生科学審議会感染症分科会にて病原体管理規制から本ワクチン株を除外する旨の審議が為された(リンク)。1類感染症でもあり、国立病院機構等、黄熱以下の限られた場所にて、渡航者向けに接種可能なように準備はしてよいかも知れない。
  • 東部、西部、ベネズエラウマ脳炎:ワクチン開発済みだが、北米・南米でも研究者向け以外の接種はなく、除外(リンク)。
  • リフトバレー熱:アラビア半島からマダガスカル、サハラ以南のアフリカにて流行。4類感染症。不活ワクチンが開発されているが、承認も市販もされていない。ハイリスクな獣医師等に試験的に接種(リンク)。日本はアフリカとの関りが他地域に比べ希薄でもあり、除外。
  • ペスト:生物兵器対処用であり、防衛の観点からの備蓄・法整備に係るもので、日常接種としては除外。1994年に米国で導入されたことがあるが(リンクPDF17枚目)、有効性に疑問符を持たれたことも理由(リンク)。厚生労働省のバイオテロ研究班によると、既存の感染研製ホルマリン不活化全菌体ワクチンは腺ペストには有効であるが、肺ペストにはほとんど効果が認められないとのこと(リンク)。新規ワクチン開発後、バイオテロ用に備蓄する方向性が良いと考える。
  • 炭疽菌:生物兵器対処用であり、防衛の観点からの備蓄・法整備に係るもので、日常接種としては除外。

また、安全保障の観点からは今後も自衛隊は農村・田園・山林地帯での作戦行動は重要なため、動物由来感染症対策として必要なものを再度選定し、接種できる体制の構築が望ましいと考える。PKOの派遣実績が出来、また地下鉄サリン事件があった直後の1995年5月、「陸上自衛隊予防接種等実施規則」が定められ、以来数年おきに改訂されているが、第3条の予防接種等を行う疾病は、1990年代の水準のままである。第4条では定期予防接種として全隊員に破傷風、医療従事者にB型肝炎が定められている。

現状認可されているワクチンだけを取っても、打っておくべきものは色々ある。普通科隊員などは、道具類の一部を自弁する習慣があるようだが、衛生面においても、プライマリケア学会のキャッチアップスケジュールなどを参考に、(出来れば入隊前に)自主的に追加することが、当人の将来にはプラスだろう。もっとも、近年の若年層隊員は多数の接種を幼児期に行っているので、入隊後の負担は少ないかも知れない。なお、自衛隊員は体力のある男性の集まりでもあり、実態として風俗利用に関する証言(悪評)も聞くが、性感染症ワクチンにおいても同様である)。

このような意識は意外にも、血液製剤による薬害エイズ事件の被害者にして著名な反ワクチン論者である、川田龍平氏の方が、議員としては先んじていたようである。川田氏は災害時の備えとして、一般隊員へのB型肝炎ワクチン、防衛大でアウトブレイクを起こした髄膜炎菌のワクチン接種について質問したことがあるが改正には至らなかったようだ。2025年参院選は落選し、反ワクチンの弊害が目立っていたので同情もしないが、触れておく。

現状、日本で打てないワクチンについては尚更である。防衛省は2002年「生物兵器対処に係る基本的考え方について」を明らかにし、その中で「予防」という節でバイオテロまで見据えてワクチンの確保の重要性を認識している。天然痘ワクチンについては、この時点で所要量を確保したが、mpox蔓延時に短期間でハイリスク層に集団接種可能か、正規軍の都市攻撃に対して十分な量かなどの見直しは必要だろう。なお、防衛省の資料を読むと炭疽菌、ペスト用ワクチンなど当時、日本では認可されていなかったことも分かる。2009年に厚労省は「国内でのテロ事件発生に備えた対応について」という資料をまとめており、先の天然痘の一類感染症指定、医療機関への各種研修、都道府県の行動計画作成、医薬品の備蓄などを措置してきた。このように一定の進展はあるものの、ペスト、炭疽については20年以上経過した現在でもワクチンは未認可のままなど、課題もある(JIHS感染症情報提供サイト、ペスト炭疽は共に2025年5月更新)。

生物兵器対処能力の獲得だけでなく、野戦環境への適応も同様である。私は昔ミリタリーマニアだったものの、軍事の実務知識は持っていない。だが、環境省が狩猟者向けに作成した「動物由来感染症について」という注意書きには、8種類の感染症が列挙されている。山林で活動する陸上自衛隊員にも感染リスクはそのまま当てはまる。一方で現在日本で使用可能なワクチンでは、8種類の感染症を一つもカバーすることが出来ない。

しかし、上記に列挙したワクチンが使用可能であるならば、E型肝炎、野兎病、レプトスピラ症、Q熱の4種類は防ぐことが出来る。実戦は演習よりも作戦期間が長期化し、疲労による免疫力全般の低下と不衛生から感染リスクは上がり、予防接種の重要性は増すだろう。近年は海外での共同演習も増加しており、米・豪など、先進国レベルの医療水準を持つ国に渡航した部隊には、日本国内での未認可ワクチンを接種することも、弥縫策として検討に値するだろう。

仮想敵たる人民解放軍の場合、人命を濫費する姿勢は過去のものとなりつつあるが、軍とワクチンについても例外ではなく、中国のアフリカへの経済進出に際し、エボラワクチンの開発に関わり、2017年に承認されたという(出典は人民網Bloomberg)。有効性や質の問題はあるかも知れないが。このほか、森林・山岳戦の特殊部隊などには、世界的に普及しているB型肝炎などの他、ハンタ、E型肝炎や旧ソ連圏の技術である野兎病、労働党政権時代に友好関係にあったオーストラリアからQ熱ワクチン程度は入手の上、接種しているのではないかと推定する。創薬技術の関わりについては2021年の「中国のCROも注目するオーストラリアの臨床開発環境」という記事が示唆している。

なお、松田健輔事務所は、2025年6月に公布された中国人民解放軍実施「中華人民共和国薬品管理法」弁法の翻訳を載せているが(リンク)、そこには戦備医薬品備蓄制度についての記載があり、定期接種対象は不明だが、ワクチンの調達に関しても、相応の準備をしていることが分かる。主要政党に少数とは言え反ワクチン論者を抱え、党がまるごと反ワクチンの参政党が跋扈する日本とは、対照的にさえ思える。

と、ここまで色々紹介したが、私の独断によるリストアップなので、今後追加・修正はあるが、参考までに。

定番の反論として考えられるのは「流行していない(清浄国)なので不要」というものだが、先にも述べたように今後清浄国であり続ける保証はどこにもない上、狂犬病ワクチンのように清浄国でも接種されている例はある。また、手足口病、E型肝炎、プール熱、Q熱、レプトスピラ症などは(少数のものもあるとはいえ)毎年発生している。そして繰り返すが、ハイリスク層の存在を意識しているから、このような提言を行っている。

当然だが、「知らないワクチンだから開発中の品だ」と勝手に決めつけるのは論外。他、よく議論の的になるのは、ワクチンを接種しない自由だが、反対にワクチンを接種する自由については、標準医療を支持する人達も、無条件に種々の大して意義もない限定をしてしまっているのではないかと思う。

2025.7.23:全般的に追記

2025.8.5:チクングニア熱ワクチンの輸入開始を追記

2025年6月30日 (月)

ワクチン接種に明け暮れた1年

昨年7月に手足口病にかかって会社を1週間休んだ。

大人向けの治療をしてくれるクリニックは少なく、苦労した。また、仕事に1週間の穴が開いたのを埋めるのはかなり苦労した。

手足口病は症状が消えてもウイルスの排出は2~3週間続くので、実質1ヵ月ほどは遊び目的の各種催し、イベントも取りやめた。

こうして、成人の感染症の面倒くささを実感したので、手足口病は日本でワクチンが打てる病気では無いが、以来、衛生対策を見直すきっかけとなった。

まず、簡単に出来ることは手指衛生で、コロナ禍以来アルコール消毒に頼ることが多かったが、手足口病やノロウイルスの様に、アルコールが効かないものもある。そのため、酸性アルコールを常備したほか、仕事や外出の際も、石鹸での手洗いが可能な時はそうするようにした。

次に切り替えたのはワクチンの積極的な接種である。

それまでもコロナワクチンの公費接種は7回の機会のうち6回は打っていたが、ご存じの通り2024年4月以降は自費。

年1回の接種程度は継続することにした。その後調べを進めたところ、株の選定はほぼ毎年1回の割で更新しており、2024年、2025年はいずれも10月からの新製品発売となっていた。最初はこれを知らず、2024年9月に打ってしまったが、多少支出になってしまったものの、1年有効性が持続するコスタイベを2025年1月に接種し、以降は新株切り替えに合わせることにした。

大きく変えたのは、他のワクチンも順次接種することにしたこと。

ワクチンなんて子供の頃に打ったから大丈夫だろうと思っていたが、ポリオ生ワクチン以外、ほぼすべての有効性は切れていたことを知り、プライマリケア学会のウェブサイトを頼りに、成人が打つべきものを順次選定し、打っていった。

母子手帳も確認した。BCG、ポリオ、ジフテリア、日本脳炎、麻疹など最低限必要なものは打っていたが、1980年代に打てたものの内、風疹とおたふくかぜについては義務ではなかったので、親がパスしていたことも確認した。

政治も考慮することになった。2024年10月上旬、アメリカ大統領選ではトランプが勝利し、反ワクチンが隆盛することが確定。2025年以降、徐々にアメリカが感染症輸出国になると想定された。実際に年が明けてからアメリカは麻疹が流行し、そのようになりつつある。

2024年秋から冬にかけては、冬コミと初詣に参加したかったので、その頃に免疫誘導出来ているようにするため、割とハイペースに次の通り。

  • 9月中旬:コロナワクチン(ファイザー)
  • 10月上旬:インフルエンザワクチン1回目
  • 11月初頭:MRワクチン(武田)
  • 12月初頭:5種混合ワクチン
    ※幼児向けをクリニックと交渉の末、接種。主としてHibの成人接種1回をクリアするため
  • 12月10日頃:肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
  • 12月20日頃:おたふくかぜワクチン
  • 12月30日:インフルエンザワクチン2回目(ブースト用)

この間、ウェブサイトの一般向け解説(まともな標準医療のもの)を確認し、少しずつ知恵を付けて行った。接種間隔は不活なら狭められることも知ったが、12月に多数打って肌荒れしたことから、以降は月1回、多くても2回に制限した。

今している仕事は海外出張の機会はあるが、日頃から接種しておけば、急場で多数打つ必要もない。

2025年以降は、コスタイベの接種場所が限られていたことから、かかりつけ医以外も利用することにした。また、接種すべきワクチンも、成人が打てるものは全てに切り替えた。医療費の削減傾向は政策論議から見えてきており、例え一時的に撤回や譲歩を勝ち取ったとしても、後半生のQOL維持にはワクチンが必要と判断したためである。

これは、各地のクリニックを知るいい機会ともなった。

その内、MRワクチンやおたふくかぜワクチンの出荷が一時停止し、一方で、2025年の年明けから(ある意味予想通り)麻疹や百日咳が流行してきた。先回りして接種したのは、既に感染防止上メリットを生み出してる可能性がある。

  • 1月中旬:コロナワクチン(コスタイベ)
  • 2月下旬:帯状疱疹ワクチン(シングリックス1回目)
    ※50歳以上対象だが、水疱瘡経験者であり近年の低年齢化+痴呆、可能性としての抗ガン治療対策を先回りするため接種
  • 3月下旬:MMRワクチン(MSD社M-M-R-II)
  • 4月下旬:帯状疱疹ワクチン(シングリックス2回目)
  • 5月中旬:B型肝炎ワクチン(ヘプタバックス1回目)
  • 5月末:RSウイルスワクチン(アレックスビー)
    ※アレックスビーは50歳以上の基礎疾患リスク持ちに適用だが、医師に相談して接種。
     高齢の両親に感染させない、肥満気味(BMI25前後)、が理由だが、風邪でスケジュール狂わされたくないのもある。
  • 6月中旬:A型肝炎ワクチン(エイムゲン1回目)
  • 6月末:B型肝炎ワクチン(ヘプタバックス2回目)

こうして、2025年前半は8回の接種を行った。この間、専門医の執筆した家庭医学書、ブルーバックスなどで病原体、感染症、予防接種知識の吸収に努め、一部は医療従事者向けのものにも手を出した。ワクチンと異なり直接的な効果は無いが、知識は身を助ける。

色々学習し、クリニックの様子を見て感じたのは、人から貰っても重症化させない(or発症防止)の他、自分からうつさないことへの再認識だった。職場には子育て世代が多数いる。彼等から感染させられるリスクの他、こちらからうつしてしまい、場合によっては一生の恨みを買うことになるのは避けたかったのだ。

7月以降は次のように検討している。

  • 7月中旬:A型肝炎ワクチン(エイムゲン2回目)
  • 7月下旬:髄膜炎菌ワクチン
  • 8月:狂犬病ワクチン(ラピピュール)
  • 9月:HPVワクチン(9価1回目)、日本脳炎ワクチン
  • 10月:コロナワクチン(ヌバキゾビッド)、インフルエンザワクチン1回目
  • 11月:B型肝炎ワクチン3回目、HPVワクチン2回目
  • 12月:A型肝炎ワクチン3回目、肺炎球菌ワクチン(PCV20)、インフルエンザワクチン2回目

2026年以降へ持ち越すのは下記だが、渡航は、当該国に行く機会が出来たら実施...という程度で、絶対ではない。

  • HPVワクチン3回目
  • ダニ媒介脳炎ワクチン
  • 腸チフスワクチン
  • コレラワクチン
  • チクングニア熱ワクチン(VLP。2025年6月末より日本でも一部トラベルクリニックで扱いが始まり、一般接種可能となった)
  • 黄熱ワクチン(渡航可能性証明できれば)
  • mpox/天然痘ワクチン(一般接種可能となっていれば)
  • デング熱ワクチン(Qdenga。一般接種可能かタイで接種出来れば)
  • 手足口病ワクチン(一般接種可能かタイ・台湾で接種出来れば)
  • ハンタワクチン(韓国で接種出来れば)
  • Q熱ワクチン(オーストラリアで接種出来れば)
  • ノロワクチン(モデルナにて3相治験中。成功し承認されれば)

以上、暫くブログを更新していなかったが、ワクチン接種について個人記録と展望をまとめた。反ワクチンの活動が活発となっているが、実際に接種した姿を公表することで、そのような愚かな考えから縁を切る人が増えればと思っている。

【7月20日追記】

長くなったので「日本で接種することが出来ないワクチンについての一考察」に分割した。

2020年6月30日 (火)

マスクに執着するコロラド先生、その本当の姿

コロラド先生は2019年12月頃を境に、極論を弄び社会性を喪失しかねない程攻撃的となった。2019年の夏に原発キャラバンでツイキャスした際も相当なものだったが、現在は比べ物にならない。

原因が生物学的なものか、社会的なものかは分からないが、変化の生じた時期からして、コロナ禍による恐怖ではない。

私への中傷は杜撰な早合点によることを「瀬川深医師の新型コロナ見解は信頼できない」に示したが、黙殺している。フォロワーの前で大見得を切ったからだろう。しかしこれでは、神奈川県医師会が削除したコロナ通信の糾弾など説得力無いのでは。

最近よく呟いている「属人性が希薄だから」はまぁ世間の平均よりはそうだろうなと思っている。でも、昔なら事実関係を正しく確認した上で意見していたので、それだけ思考が浅くなっていることを示している。

ともあれ、私も非はあった。この2年程高密度で連絡を取っていたが、岩波書店『科学』への登場後も順調にいっていたように見えたので、コロナが無かったとしても、この春一杯で潮時と考え、スケジュールを伝えていた。その間に、なれ合い、節度が失われていたことは事実である。

知財の懸念があったようだが、当方にそういう目的は無い。原発研究はセカンドワークとするには不向きである。期待できる金銭的利益も小さいので、ゼロ円とした。公共目的は意識しているが、形態的には趣味、ということである。

一方で、先生が準備しているネタについて呟くのは、知財保護上、重大なリスクだろう。一日のツイートが200を超えるのはざら。売文業としては極めて珍しい。

「あなた変わったね」という感想を持つのは、傍観者や敵対者にもいるようである。内田川崎氏がまとめた以外のTogetterを非常に嫌っているようだが、表現こそきついものの、時期的な差分を見ているコメントは多い。

そこで今回は、コロラド先生のマスク問題への姿勢を中心に問題点を指摘する。

なお、冒頭に断っておくが、私はPCR検査拡大派。また、先生の犠牲者100万人予想が外れた件は、当時東アジアでの感染者抑制傾向が知り得ない情報だったことや、北海道大学西浦氏の42万人説など、無対策の場合に似た犠牲者数を予想する例があったことから、問題とは考えていない。コロラド先生の独自性を色付けるそれ以外の主張にこそ、問題が隠れていたと考えるものである。

【メッセージ発してない→ポスターに明記】

そんなコロラド先生、最近次のように呟いた。

完全なデマ。

サージカルマスクが不足していたのであって、感染第一波の元で他のマスクを含めて推奨は一貫していた。国は企業・学校・公共施設等の衛生担当者用にPDFのポスターを用意し(縦長、横長など)、無数に印刷できる。最も一般的なもの『感染症対策へのご協力をお願いします』のPDFは3月21日付けである。だが、インフルエンザシーズンには毎年同じようなポスターが掲示されているため、少し調べると過去のマスクポスターが出てくる(進撃の巨人のものなど)。学校や職場、公共施設に足を運んだ人なら、誰でも目にしている筈である。

なお、中国からの輸入急減に対応して菅官房長官がマスク調達について述べたのは2月中旬だったが、その時点では反安倍にも過剰在庫の積み上がりを懸念する声があった。

そもそも、他人と接触して働いていれば、自主的に着用する人の他に、権威をバックに命じないと着用しない人がいるのは直ぐに分かる。皆着用したということは、政府の呼びかけと無関係ではないのである。

中国からの輸出が途絶えたということは、中国の保健当局がマスクを重視したということなのだが、世界のニュースを目にしている筈のコロラド先生にはそのような観点が希薄だったようである。

デタラメ混じりになってしまったのがコロナ問題でのコロラド先生である。その典型がマスク。

【トランプを歓迎していた男】

期待していた政治家の当てが外れて落胆。よくある話だが、普通にしていれば問題のないことだ。私も311以前自民党を支持し、相当態度は悪かったから、原発事故後に考えを変え、態度を改めましたと答えている。

コロラド先生もコロナで同じ失敗をした。

マスク着用におかしな理屈をつけ、国の最高指導層が不要論に傾斜しているのはアメリカである。ところで、コロラド先生は2016年大統領選の時、外国人の立場でトランプを支持していた(開票日の様子)。「長年見てきたから」とのことだったが、大統領選当時から、トランプ批判など山のように存在していた。不安は的中した。トランプの政権運営は非科学的で、差別の塊だったのである。

そしてコロナが来ると、井伏鱒二の小説のように引き篭もり、アメリカや日本の惨状を「見物」などとうそぶいた。在米諸氏の言う通りだったことを認めた方が、好感が持てると思うのだが。最近のコロラド先生はリベラル冷笑主義と呼べるだろう。

もっと酷いなと感じたのは、130回目位の連載にて過去40年共和党は反科学の姿勢を強めてきたと記述していることである。今更そういう話を出すのか、と思った。

付言すれば、コロラド先生はアメリカに色々期待していたようだが、海外のコロナ優等生となったのはベトナム、ドイツ、韓国などであった。医療物資の輸出で世界に貢献したのも中国であった。アメリカはマスクの買い占めなど、自国中心主義が目に付いた。

長期間の海外ウォッチを誇る人物についても、どのような総括を著作で見せているのか、チェックするのが大切と言うことだ。

【元は不要論に加えて・・・】

本当のところ言うと、今回のコロナ禍初動から、コロラド先生の言動、公共的に悪影響なものが混じっており非常に迷惑した。私は技術者向け見本市(大規模)を警戒して2月18日にブログ記事を書き「せめてマスク着用義務化を」と説いたが、同時期にコロラド先生は次のように呟いていたのである。

一見してすぐ気づいた。重大な問題を抱えた主張である。何故か。

もし、本当にサージカルマスクが役に立たない物だったなら、輸出しても決して日本の利益になることは無いからである。むしろ、ゴミが挟まっていたアベノマスクのように、怨嗟の対象となる。「買い付け前に忠告する」が不要論者にとっての正解。

コロラド先生さんよ、日頃ヘイトスピーチの蔓延で社会が茹で上がってると悲憤して見せながら、何で中国人に向かって腹抱えて嘲笑してんだお前?

「お買い上げありがとう」って、マスク不要が前提なら随分アコギな商売だな。信頼感皆無の焼き畑商法。そんな商売勧奨して日本の産業盛り返すんか。スゲーびっくりだわ。

中古の自動車などが海外に輸出するのは、年式が古くても役に立つ(走る)からである。

あるツイッタラ―の書き込み。情報バラエティで引っ張りだことなった岡田晴恵氏は、最初期からマスク着用を呼びかけていた。

対するコロラド先生、2月の呟きから4か月半後(7月2日)に何と言ったかを見てみると、やはり、しっかりと歴史修正していた。

嘘つけ。

【高性能で海外を席巻→500億枚で揉み潰される】

なお、コロラド先生は2か月半後(4月30日)のHBOL連載で次のように述べた。

高性能不織布マスクの価格が上昇していると言うことは、極めて優秀な日本の不織布マスクの競争力が回復していると言うことです。日本におけるパンデミックを4-6週間も遅滞させた超高性能を謳い、Japan Maskが世界のPPE市場で大暴れできればと筆者は願います。

マスクプロパガンダにまつわる真っ赤な嘘と、日本製高性能不織布マスクの大きな商機

どうせ中国の事だから桁違いの生産量で「大暴れ」しており、日本の参入余地など乏しいだろうと思っていたら、案の定、中国が感染第一波の3か月程の間に500億枚ものマスクを生産していたことがニュースとなった。赤っ恥である。

ネトウヨでなくとも誰しも何かしら差別的な感情は持っているとはいえ、正に想定外な発想に驚き呆れた。松下政経塾出身者をよく「コッカシドーシャ」と馬鹿にしていたが、コロラド先生も同類だ。

その言葉、四国の山椒魚にそっくりお返ししよう。

【中国製でも99%を謳う製品多数】

後に配信したメルマガ第118回では中国製サージカルマスクを軽トラに例えて小馬鹿にしていたが、その根拠は特に示されず、訳が分からない(品質の悪いマスクがあるとのニュースは流れているが、区別する方法が分かる訳ではない)。頭が良いと自称して何をするのもいちいち馬鹿にかかるのは、往時の軍事マニアの犯した失敗である。それを熟知している割には悪用しか出来なくなり、日本製品を称賛する時でさえ、その手法を手放そうとしない。

中国は日本のJIS規格に相当するGB規格にマスクを制定して品質向上に励んでいる。GB /T 32610-2016 という名前だから、少なくとも4年前には制定されていた。規格値はPFEやVFE95%以上だが、自主基準で99%を謳う製品も多数存在する。

業界標準どまりの日本に比べて、ある意味進んでいる。もし日本でもJIS規格化していれば、この種の商品流通のパターンからして、性能表示無しの野良マスクは急速に淘汰され、100円ショップ以外から姿を消しただろう。規格制定委員会で扱うから、統一した技術見解も残る(論文中で参照文献リストや本採用した方法以外の考え方なども記述され、海外文献も追いやすくなる)。

4月から5月にかけて12種類程の5~10枚入りマスクを入手したが、日本製は2種類に過ぎなかった。どのみち、今の日本は中国製マスクに頼らざるを得ず小馬鹿にする余裕はない。

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私が購入したマスク。右端の2種類のみが日本製。上段の10枚入りと書かれている品以外は業界自主基準で99%カットを謳う。なお上段左から3枚目が後述するアイリスオーヤマのもの。やはり中国製である。

【日中合同生産を目指す日本最大手】

アイリスオーヤマは以前から中国でマスクを生産しているが、同じマスクを日本の角田市で製造するべく準備を進めている。メディアで報じられた中では日本最大の生産規模である。この一事をもってしても、中国を見下すことは出来ない。9000社近い新規参入組の品質に疑問があったのは事実だが、アイリスオーヤマのように元々海外生産していたケースでは、工場を指定し所定の品質を確保しているのが常識だ。

日中で同じ仕様のマスク、それをクリーンルームに据えた自動機械で製造するのに、コロラド先生は何故軽トラになぞらえたのだろうか。

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アイリス物語 第六話 一大決心~社名変更・角田工場建設」アイリスオーヤマHPより
※小高い森を切り開いて造られている。建屋への水害の心配は無いが・・・

そう言えば、アイリスオーヤマは菅野サロン出身である石垣のりこ議員の地元、宮城県の企業だ。また角田市は昨年の台風19号水害で被災している。報道発表時、血相変えてすぐ位置を確認したが、Web社史や工場祭りの様子から阿武隈川を望む高台の森を造成し、標高30m以上あることを知ってほっとしたものだ。しかし、物流網の被災や社宅、猿などの野生動物感染リスク等はある。

【不要警察を探すが、頻発していたのはマスクの奪い合い】

コロラド先生は4月からメルマガでコロナ特別編を開始し、数回はマスクが主題だったが、当初、自分自身がマスク不要と判断していたことを書かなかった。認めたのはメルマガに遅れてスタートしたHBOLでのコロナ連載である。その上で、主にネット上のマスク不要論者を攻撃した。何故無料のHBOLの方が話者の信頼性を諮るのに有益な情報が載っているのか、私には分からない。

新規契約した読者向けなのか、マスク情報の更新も配信され、第120回(メモランダム25)では米国の権威がマスク不要論を流していたことを紹介している。引用元の日付は2月29日で、コロラド先生は米英の不要論に影響される前から不要と見なしていたと思われる。なお、2月中旬頃までは米英一般も対岸の火事モードだった。幾らメディアが体制を敷いても自国内に感染者が殆どいなかったのだから、自ずとそうなる。

また、日本国内においてマスクを着用している人に外すように暴力を振るう事案を証明しようと、執着した。

しかしマスクを着用しているアジア人を感染者予備軍として暴力事件が相次いだのは、マスク不要論がまかり通っていた頃の欧米であり、不要論自体もトランプ支持層と結びつき、6月になっても再燃の兆しがある。

日本で起きていたことはその真逆。マスクを着用しないでくしゃみをした人間とのトラブルや、ドラッグストアでの殺伐としたマスク奪い合いの方が、恐らく圧倒的に多かった。ドラッグストア開店前の行列も『山椒魚』状態では実感できなかったろうが、ネットで動画も流れていた。なお、私も生活者としてこれらを概ね目撃している。

リベラル左翼的視点から評すれば、まずは限られた防疫用品を奪い合うことへの批判(分配公平化など)となった筈だし、そのような書き込みは幾つか目にした記憶がある。

コロラド先生を見ていると痴漢冤罪に執着するインセル(独身者男性のこと)の振る舞いを彷彿させる(例え話として挿入したがそのようなインセルは当然害悪である)。

【見えてきた法則】

瀬川深氏もそうだが、一連の言行を見て判ったのは、次のような法則である。

  1. 最初に自分がデマを撒く。
  2. その後、何処かで学習して意見を変える。
  3. デマを撒いたのは敵対者達だと宣伝する。

極めて悪質で、御両人ともコロナ禍での振る舞いは、理系研究者とはとても思えない。3で思い切り罵倒したいのなら、2の段階で明確な転向表明があるべきだろう。

コロナ関係はマスク以外にもあからさまな矛盾が垣間見える。

自分が間違いを指摘された時には「ありがとう」で済ませておきながら、人が間違えたと判断すると、鬼の首でも取ったように誹謗してきたのには驚いたが、上記の法則と照合するとしっくりくる。

メルマガの冒頭には毎号、邦文に信頼できる情報は無いと謳いながら、消毒液の有効性に関しては厚労省の文書を根拠にした。

また、WHOを邦文より信用出来るかのように謳いながら、最近の号ではWHOを罵るなど、連載のポリシーと連載内容にさえ大きな矛盾がある。

だが、疑うことを知らない新規顧客はコロナ特別編のメルマガを契約し、彼の『正論』に感激したのである。私から見れば、原発プロパガンダやヒロセタカシ現象(チェルノブイリ事故直後数年続いた反原発運動の盛り上がり)から「学んだ」結果にしか見えない。

まぁ、知己だった人物のメルマガでもあるから、論評の真偽を確かめたいのであれば契約してくださいというところだが、コロナに負けないために必須な情報とは思わない。

なお、彼が秘伝として公開しているオゾン発生器や殺菌灯は確かに消毒効果が高いが、安全設計をしないで個人で自作すると最悪死傷に至る(コロラド先生も痛い目に遭っている)。そもそも、装置を理解できない同居人(子供や認知症の高齢者)がいる場合は完全に不向きであるが、連載ではその観点は希薄。乗り物の改造や電子工作好きの独身者が自己責任で行うのが精々。また、アルコールは可燃物のため、備蓄量はよく検討すること。今後第2波が襲来しても、通商関係が不安定にならない限りは入手出来る。それが第1波との大きな違いだ。

なお、コロナ問題を全般的に見ていると、速報解説としては、オノデキタ氏のブログ(無料)の方が遥かに優秀な結果を残している。技術解説においても、PCR検査機の能力や製造元に関する情報の紹介、特異度デマの発見を早々に済ませ、問題のある専門家のリストアップも早い。

以下に示すのは現行の日本の医療体制を肯定する、私と立場は違うアカウントだが、技術的観点とは別の面からも批判をしている。

私は金銭は第一要因ではないと考えているが、上記のような評が出てくるのは仕方無い。なお、自己紹介がかなり変わっているが、要はデーモン小暮閣下のようなものだろう。ただし、危険な話で死傷者が出る可能性など、批判には傾注すべきものがある。前々回コロラド先生の盲信をしている信者の愚かさを説いたが、そのような信者を好んでRTするので、相変わらずと言う感じだ。

話を戻すと勿論、リベラル派はこんな人達ばかりではない。例えば、農水省が新型インフルの時に作成した万全一家の備蓄マニュアルを紹介してくれたおしどりマコ氏など、超絶有り難かったものだよ。あれ私も何十部もばら撒いたからね。

※7/3:歴史修正を行ったツイートを一つ追加。

※7/4:トランプ支持についての根拠を追加。

※2021/11/15:本記事執筆時点では、「風邪を治すワクチンは無い」という一般的な世間の評判を聞いていたので、ワクチンの威力については考慮外であり、PCR検査についても、それだけで抑え込むには必要な検査数が膨大になり過ぎること、コンタミや社会的対応(虚偽行為を含む)などの問題があり、私自身は2020年秋頃より徐々に評価を下げたことを付記しておく。なお、マスクのJIS規格化は2021年6月に実現した。

2020年6月20日 (土)

【検査必要ない】瀬川深医師の新型コロナ見解は信頼できない【三日寝て】

オノデキタ氏のブログでは、最近神奈川県医師会がコロナ通信という出鱈目な啓蒙ページを削除したことを取り上げている。その記事にPCR検査不要論者をリストアップしてあったので、数名追加し、瀬川深医師も実は信用できないと書いたところ、何故か第三者のコロラド先生がご立腹のようである。確かに、平日朝方書いたあの一文だけでは根拠が何もない。先方のコメント欄で話を引き伸ばすのは止めて、自分のブログで説明することにした。

まず、瀬川氏が最近根拠にしている5月4日付のnoteは、新型コロナが来て数ヵ月経ってから書かれたものである。既に、検査について派閥分けも完成した時期の作品。勉強と経験があれば、あのように要領よくまとめることは出来るだろう。

だが、以前は違っていた。そのことがこのnoteには一切出てこない。

【兆候】

瀬川氏については昨年も環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏の件で評したが、軽率で差別的と思っている。小国に感謝を強要して、周囲も当然視しているらしい。

他者に対しての印象を呟く時にも感覚最優先のようで、根拠に乏しいことがある。故に、リベラル左翼に耳障りの良い言葉を並べていても、それ程信用はしなくなっていった。私が取り上げたこと以外でも、成果を大きく見せたりする(例:dadaなる思想的に対立するアカウントの住所を発見したと吹聴した件)からだ。

また反反被曝で知られる菊池誠を難詰するため、何故か大阪に戦術核を落としたいと呟いてからツイ消ししたり、暴言が知り合いに突き刺さるのでツイ消ししたとのスクリーンショットも上がっている。既にしてここから、神奈川県医師会によく似てる。表現としては幼稚だが、消すほどの事でもないだろう(なお、アイマスというゲームに同じ名前のキャラがいることが元ネタらしい)。商業マンガ家の平野耕太はイギリス旅行の際に嫌な思いをして自作品でロンドンを破壊したそうだが、そのマンガが発禁・絶版となった話は聞かない。

そして今回。医療分野で黒(検査必要ない)と呟いた後、白(最初から検査派だったとする主張)であったかのように振舞い、嘲笑したということだ。

ともあれ、時系列順に私が信用に値しないと判断した契機となるツイートを紹介していくことにする。

【2月】

発端は、安倍内閣が検査を奨励するコメントを出したニュースのRT。

武漢の様子が日々伝えられ、PCR検査の解説が入り、DP号から感染者が帰宅する頃の話である。岡田晴恵氏が「どんどん検査させるために」生放送で半ギレしたのもこの頃だっただろうか。

NHKニュースの写しを読むと、先手の対応で検査拡大という表明自体は間違っていなかったことが分かる。勿論、安倍は掛け声だけという悲観的予想は流れていたが、その後に起こったことは医療界各所の消極性が原因していたようだ。この時点では知りようもない事実である。

要は、相手が安倍だからネガティブな意見を表明しているように見える。

また、瀬川氏がいわゆる抗体検査的な考えの持ち主であったこと、臨床医ではなく研究医としての目線で評価していたこと、いつものように社会のせいにして「三日間寝て待て」などという、後に検査否定派が常用する考えを持っていたことも分かる。抗体検査は感染者の炙り出しには役に立たないので、世界中でPCR検査が使われている。

連続するツイートを見てみよう。

この見解は現体制を是とする御用、ネトウヨの思考に酷似している。だが、制度は人が作るから、間違ってるかもしれないと考えは直ぐに出てくる。この時もそうだった。

いよいよただ事ではないと世間も認識し始め、安倍首相が全国の学校に休校要請を出した頃には次のように呟いている。

PCR検査をせよと断言することにためらいが感じられる。このことは注意しておこう。

【3月】

3月になっても後に見せる姿勢に比べると歯切れが悪いが、その中で致命的な本音を呟いた。

「無理に検査する必要が無い派」だそうです。しかも「臨床的に」。臨床的とは平たく言えば、研究者目線ではなく、開業医などの現場目線だと。でも、上記の「感染症のサーベイ」や2月の呟きにあった「疫学的調査」って研究医の目線じゃないですかね。

WHOのテドロス氏はパンデミックを宣言した際、「検査」を連呼していた。WHOも大国の意向に左右され患者に寄り添わないと批判されたが、それと比べても当時の瀬川氏のスタンスは明らかに違う。都の医師会が検査センターを設ける動きに出たのは3月末頃だったが、これも臨床医からの切実な要求に基づくこと。

なお5月4日のnoteでは検査不要論を「臨床的直感にも反する」と態度を転換している。

「必要無い」の翌日のツイート。何でインフルエンザの時と同じように検査受けたいだけなのに、嫌味言われなきゃならんのか。そういう流れを作ってきたのは医療界自身である。新型コロナ患者を「駄々っ子」呼ばわりした村中璃子と何が違うのかね。

しかし、3月中旬頃を転機に、PCR拡大派への地歩を固めて日頃の嘲笑芸に取り込んだようである。

瀬川氏も軽蔑している軍事ライターJSFが福島原発事故で呟いた「馬鹿は黙ってろ」から9年。これである。

御当人は良いこと言ったつもりなのだろう。「シロートの外野は座ってて!」という言葉が社会的に何を意味し、どれだけ忌み嫌われているかも理解していないことが良く分かる。まぁこういう類の発言を頭ごなしにする人はどこにでもいるが。

でもさ、コロナ問題でも、専門家風を吹かす人物は結局憎悪の的にしかならなかった。原発周りから参入した人達は、そのこと骨身に染みてると思うんだけど。だから私はなるべく使わないように注意している。『科学者に委ねてはいけないこと』位買えば。

大体、2月に見せた消極発言の舌の根も乾かぬ内に「検査して医療崩壊」をあざ笑う。「やめてけれ」つったのは誰だよ。

3月21日になると更に旗色を鮮明にした。

「風向きの変化を感じる」のはネトウヨの側だけでなく、瀬川氏であったことをよく示している。

それにしても、検査を嫌がり「三日間寝て待て」と呟いた人物が「家で寝てりゃ」を笑うのかね。瀬川氏の頭の中にある痛さが期待される人間像、自分自身なのでは。

以後、はだしのゲンの鮫島伝次郎を彷彿させる言動が続く。

【4月】

4月にはこんなことを言うようになった。

2月に何を呟いてましたかね。「コロナの検査をためらう理由」を並べてたのは貴方でしょ。

じゃあマイコプラズマの可能性があっても予防的にPCR検査すればいいだろ(笑)。

【5月】

GW中も舌好調。

初期に検査希望者を邪険にした辺り、自己言及にしかなっていない。職業病を論じるなら彼自身もその対象となる。医師免許に加えて研究職という属性があり、Twitter発信と言う自己顕示を行っているのだから、より業(執念)は深そうである。

GWが明けると次のような主張を披露した。

「一貫してPCRジャンジャンやれ」「宰相がどう言おうがどってことない」「変節漢」だそうである。2月17日、宰相の言葉をRTして何を呟いてたか。311のアレは何だった。

皆さんはこういう人をどう思いますか。

勿論、コロナ以前と変わらず方々に嘲笑的、冷笑的なツイートをたっぷり振りまいてますよ。

どの口が言うのだろうか。

【否定し、嘲笑し、馬鹿にすることのリスク】

私も部外の素人ながらPCR検査拡大派の一人だが、一連のツイートを読んでから5月4日のnoteを読み返すと「よく出来た作文ですね」という感想しか出てこない。本音はnoteの外にあったからである。

「今はPCR拡大論を分かりやすく解説しているのだから良いじゃないか」。そういう考えもありだとは思うよ。常々人の態度が変わる様を悪し様に罵ってる人を弁護するには説得力皆無だけど。

どなたか忘れたが、PCR拡大派に転じた際に「フェーズが変わった」とか「今更2週間前の話を」と言い訳する人がいたね。今考えると、しょうもないなりに、理由は作っていた。自分の過去に正直。対して瀬川さん、どうなんでしょうかね。

前に黒と呟いたことをある時からずっと白だったかのように呟いてしまうのは、まずネトウヨ(と彼が思っている大衆)を如何に嘲笑するかが先にあって、そこに自分の意見を合わせているからでは。

検査の要否、どちらの側に立っても信用に値しない、私はそう受け取る。

神奈川県医師会は極短期間とは言え、謝罪もしたそうだ。瀬川さんが、ポジションを変えると表明したのかは知らない。ネット全部見てる訳じゃないから。でも、第三者が比べてそんなに腹立てるかね。

コロラド先生の観察力が急激に衰えているのは既に指摘済み

残念かも知れないが、今回は、只のオタクコンテンツ叩きへの反発ではない。そりゃ少しは消費しているが、私は本業があるのでコロラド先生程テレビっ子ではない。瀬川氏に比べると、コミケの出展申請書いたことも無く、オタク文化度は低い。瀬川氏がPCR検査機の使用を含めた医療の専門家だから、という公共的な問題意識からの意見に過ぎない。

【ライター志望者じゃありませんけど】 

それと、次のツイートに関しても一言。

ぽかーん、て感じ。

私が学会誌、科学のような準論文誌、世界、月刊日本、AERAみたいな総合誌、果てはゲゼルシャフト通信等々へ投稿応募をして回りたいかのような誤解を受けると困る。以前私信でも述べたがそのようなことはしていないので、あしからず。参考にアクセス解析結果を述べると、岩波書店などが私のサイトを読みに来ることは年に数回程度。プライベートでの接続状況は分からないが、多分認知もしてないでしょう。ネットの運動家や趣味人が、誰も彼も同じ夢見てコンテンツ作ってると思ってるのだろうか。

 

上記のようなツイートで思うこと。この記事を読んで、私に投げつけた言葉と同じ強度の批判を瀬川氏に投げつければ、コロラド先生の言論の信頼性も回復するかもしれないね。検査に消極的な輩には「人殺しの大嘘つき」呼ばわりが習慣なのだから、本来は3月に済ませておくべきことだ。

2020/6/21:【兆候】に加筆。末尾にツイート引用一つ追加。

2022/9/1:この記事を書いてから2年以上経過した。その間、感染者数と社会的検査論の無駄について実感を学び、反ワクノーマスクなどの問題も周知された。その過程で私もいわゆる医クラとか、普通の人達と同じような価値観を共有するに至った。その意味では、瀬川氏についても最初は検査機も試薬も足りず、正しかったと思われるが、この記事は意見の転換に着目しているので若干の自戒を込め、残しておくことにした。なお、本題と無関係な第三者の名を削除した。

2020年3月 6日 (金)

【虫けらどもは】TrinityNYCさん、千の丘ラジオを放送して本性を晒す【ひねりつぶせ????】

原発研究の宿題消化中に、コロナ騒ぎと、忙しかったので、今日は閑話休題。心の毒なので、あまり政治宣伝にはなりません。

トランプ政権の先を占うスーパーチューズデー、その情勢分析を語っている在米アカウントは多い。

たかが民主国家内の政敵ごときに「ゴキブリ」か。殺虫剤の広告まで持ってきてご丁寧なこと。勿論魚拓はGETした。

権威勾配考慮しても、私はそれは禁句と考えている。ルワンダ虐殺の引き金を引いた千の丘ラジオの有名なプロパガンダが「ヒトだと思えば躊躇うこともあるが、ゴキブリだと思えば殺しても大したことないだろう」(大意)だったから。トランプ政権の後ろにはそれなりの支持層もいる。反安倍にも共通するが、指導者にその支持層を重ねて論じる、或いは敵からそう受け止められるのはよくあること。しかも殺虫剤。チクロンBの歴史的意味位知っとけよ。

維新が気にくわなくて大阪に原爆落とせと書き込んで逃亡したセレブ医者の瀬川深様や(他にも奇怪な言行多数)、コロナに過剰な期待して日本だか首都圏をエスニッククレンジングしたがってる匿名社会学教授の社虫太郎(鬱屈して駅前で刃物振り回してるおっさんにしか見えないです、ごめんね)並の社会観だな。Trinty婆さんを含めて今書いたような連中を知〇〇〇リベラルと言う。

これでは、百田とかと同じ土俵に落ちてしまった可哀相な人達である。なお私が右派著名人、著名アカウントの批判記事をあまり書かないのは、反安倍の諸氏が遥かにセンスの良い叩き記事を量産しているからで、別に心の底で百田等に同調しているからではない。後、ネトウヨに効くのは訴状、令状、暴露であって、話をする価値無いしね。

で、Trinityさん、実名で同じこと言って、アメリカ社会でそれ持つのかな???

私は反安倍で、その繋がりで他国のことながら反トランプということになるが、彼等のことをゴキブリに例えようとは思わない。「クズ」「無能」いった汎用性の高い表現が世の中にはあるからね。安倍の例で言うと過去の経緯から「森羅万象」とか変化球の表現もある。だがそこに批判はあってもいずれも差別とは縁が無いものである。

大体、敵を人間だと認識しておかないと、大変な目に遭うと思うけどね。まして安倍ではなくて狡猾さでは上のトランプでしょ。

それともう一つ分かったこと。

Trinityさんてやっぱり、劣等感の塊なんだろうな。めいろまよりは物は見えるけど、根本的には同じ箱。この無意味な攻撃性はそう考えないと説明が付かないね。

でなきゃ、こんなの思い付かん。中身も考えずに安易に人の言うことに同調する。「共感性」か知らんが実に痛々しい。ていうか、TLに流れてくる在米フェミニスト垢でもこんな酷いの見たことないので、主義思想由来でなく、個人の人格なんだろう。

元々、海外住みで日本の問題点をあれこれ言ってる人は一杯いる。馬鹿ウヨ以外には当たり前のことだけど、私はそれが悪いとは思わない。でも、Trinityさんみたいに、余計な邪念が混じってると思しき人って、やっぱ只の出羽守だと思う。

ま、もっと悪いのは、海外在住経験を売りにして、「普通の国になろう」と言わんばかりに右派言説を煽ってくる連中だけど。これは結構多い。私が出羽守が嫌いなのは、字義通りの言葉の定義に従うとそういう連中も入るからである。特に現代の米軍を手本にしたがる連中は、かなりの高確率でアレ。

そう言えば、元バンクアナリストがサンダースを嫌っている構図も実に分かり易い。私はアメリカ国民ではないが、やはり民主党の候補者ならサンダースがベストだろう。もしアメリカが彼の考えるような平等性の高い社会を作ることに集中してくれれば、いずれはショックドクトリンと新自由主義に毒されて世界中に戦火を振りまく悪癖も、影を潜めていくと考えるからだ。他の候補では、そこまでは難しいのでは。どこかで棍棒外交が顔を出す。

サンダース自身は最近女性に対する差別発言で味噌をつけたようだが、あの社会主義的思想自体は、フェミニズムが目指すものと被る部分はあるだろう。女性議員を含め、サンダース的な人士が増えていけば良いことと思う。まぁそれは、日本も同様なんだけど。

2019年5月 2日 (木)

性加害者をえこひいきするフェミニズム運動だとすれば、信用は全くない

私は元々、フェミニズムやme too運動は関わりが無い。過去記事の通り、是々非々で臨んでいる。よって、急激な運動の拡大に伴って種々の矛盾が生じていることは批判的に見ている。

有名な事案としては、昨秋の御茶ノ水女子大のトランスジェンダー受け入れ表明に伴うトイレを発端とした論争がある。これは、フェミニストを文字通り二分したらしいが、TERFと呼ばれる過激派がトランスの方に誹謗中傷を続けた結果、どちらに理があるのかははっきりしていると思う。

上記の件は運動内部でも様々な反省があったが、TERFを批判したフェミニスト達についても、ここ数年、幾つかの問題で明らかに頬を被っている人が多くみられる。

【運動には清濁がある】

以下、私が理があると考える事案とそうでない事案を数例ずつ挙げる。

【me too運動やネットフェミニスト全般に理があると考えられる案件】

  • 選択的夫婦別姓化、同性婚の容認に関わる運動全般
  • 刑法改正による非申告罪化の他、捜査手法の改善やケアの充実等を求める運動全般(伊藤詩織さん事件を含む)
  • 政治におけるクオーター制の採用等、差別的慣習を是正するための運動全般
  • 入試・就職活動における性差別の是正を求める運動全般
  • 日本軍が戦時中に犯した種々の性犯罪や外部業者をも含めた慰安婦問題の清算(像の設置から個別請求権の容認までを含む)

【me too運動やネットフェミニストに理が無いと考えられる案件】

  • 同一の法制度下にある日本国内での統計的有意差を何も示すことが出来ず、只の地域差別に終わった「九州男児」批判。
    ※他の性差別問題は多くが九州以外で発覚している。「日本の男性は問題が無い」という反論ではないことに注意。
  • ジェンダー法学会での不規則発言に代表される、問題解決能力の無さ。
  • 社民党のある女性市議の服装にまで細かな注文を付け続けて辞職に追い込んだ「古参活動家」の問題。
    ※当該の地域で真面目な人材を1人使い潰し、無能な候補者が生き残る結果となった。現実に響いている以上大問題。
  • 大した基準や事実確認も無しに一部の漫画・アニメ・ドラマ作品等を批判する「お気持ちヤクザ」
  • 他の社会問題で得られた知見への鈍感さ。一例としては薬害/公害問題で散々指摘されている肩書や専門家への過剰な依存。
    (田嶋陽子やその支持者に見られる)ネオリベ/極右的思想の肯定。

「毎日内部批判だけしていろ」と言うつもりはないが、上記の問題に向き合うことなく、自らに都合の良い「性差別案件のニュース」を賛意RTし続けていれば、信用が無くなるのは当然だろう。周辺の意識高い系全般に言えることだが、馬鹿な奴等だ。

世のあらゆる運動には付いて回る話であり、例えば脱原発運動も似たような問題は抱えているのだが、敵対者の書いたものを見て正すべき点は取り入れるのが良い。最近知ったが「女性の90%は名誉男性」という愚かな主張をしている「フェミニスト」もいるようである。井の頭沿線辺りで仕入れた古い文献で正当化したところで救いが全くない。

【ネットフェミニスト達に生じた疑惑】

前置きが長くなったが、最近あるネットフェミニストアカウントが性加害者としての過去を隠し、社会一般への批判を続けているのではないかという疑惑が持ち上がっている(関連まとめ)。その件についての検証作業も始まり、過去の書き込みの発掘など、種々の公開情報が集積され、一部の仲間は正体を知っていたのでは?とも言われている。情報の突合せをしているのは極少数だが、野次馬の中にはネット右翼も多数混じっている。

公益性の観点から言えば、当該は事実関係の是非にコメントすればケリがつくので余り関心が無い。再犯が発覚した訳ではないからだ。従って、本件についての問題は社会的モラルの範疇に留まる。その点から見て問題と思われるのは、当該と顔合わせもしてきた周囲の同調者達、更にその周囲に蝟集しているネットフェミニスト全般のことである(参考ツイート)。いずれも、エビマークを付けているから証拠能力が高いというような愚昧な考えの持ち主で、真面目な研究者、ライターなどと異なり信用していなかったが、案の定まともな反論がない。

一方でその間にも、過去の性犯罪被害者による告発証言に対し、無条件で恫喝や誹謗中傷している者がいる。

止めた方が良い。ネット上のme too運動を徹底的に傷付けることになるだろう。

残念だが、検証結果は具体的である。彼等を支持してきた側が行うべきことはただ一つ、疑惑が事実であるかを確かめること、もし事実なら、それを認めて(距離を置いた)別の形での贖罪に切り替えるよう促す事だろう。

前から思っていたことだが、広い意味での安倍政権支持者やネット右翼は基本フェミニズムに敵対的だが、彼等が直接的な性犯罪者である確率は一般人並に低いと思われる。何故なら、右翼的な考え方はこの国の主流であり、毎日女叩きに異様な熱意を見せる者から、FOXが作る社会派映画並に平等思想を受け入れる者まで性的な価値観にはかなりの濃淡が観察されるから。

そこにオピニオンリーダー達が「お前も社会構造を作ってる一員なのだ」と身内向けトークで甘やかしたところで、大したみそぎもせずに加害者を匿ってるなら、説得力はゼロである。

【理由もなく相手によって扱いを変えれば信用は無い】

ところで、仮に事実であったとして、違和感があるのは当該の周辺者達。要は菅野完のような他のケースとの扱いの差である。ここ数年、論壇人や著名政治家・ジャーナリストの性的不祥事が相次いだが、菅野の場合は事実関係と責任をすぐに認めている(同様の例として、一般的な認知度は極楽山本のような芸能人の方が高いだろうが、当ブログは政治系の話題の方が主なので菅野の例を挙げる。もっとも、訴訟では言論の自由の制限を要求されたこともあって揉めていたようだが)。

ある極左・脱被曝系アカウントが「性犯罪に軽重は無い」といった書き込みをしていたのを思い出すが、同根ではあっても現実社会では同列には扱われない。法的な問題の他、発覚前後で示した態度も世間的な評価の対象になるのは当然のことである。菅野完事件の発覚当時、それを報じたメディアの関係者が性犯罪被害者を鉄砲玉として使い潰した一件があったが、その時「黒幕や周辺者の嫉妬だろ」との声が聞かれた。今回の件は、それが正しいかどうかも問われるのである。

この件について周辺者達はあらゆる対話をブロックしているそうだが、さっさと問題を解決した方が自身のためだろう。虚偽ならそう示せば事は終わる。事実なら、理念と現実に生じた矛盾は解消すべきだ。菅野の件や詩織さん事件が好例だが、ネットフェミニストでも過激な発言で注目を浴びてきた者達は、右側の性的不祥事は正当化し、事態公表後の経過を無視する野次馬と変わりがない。

方向性や発言の過激度に違いはあるものの、社虫太郎やあららといった(男性)オピニオンリーダー達や、一部の極左系個人アカウントについも同様である。元号批判のような時事ネタも結構なことだが、本件からは目を逸らしているように思える。広河隆一と違って自らに近い存在だったのかも知れないが、大概にしておけと忠告しておく。

まぁ、大概にしておけと言うのは追及側も同じだが。

残念だが山本氏は政治家になる前に会っていたとしても違和感はない。で、彼以外の発言は貶める目的でツイートしてるのかね。

2019年1月19日 (土)

自分が標的になると立派な発言をする指原莉乃さん

松本人志については以前「差別吉本芸人への怒り」という記事を書いて批判したが、また、『ワイドナショー』にて打ち切り検討レベルの問題発言が発生した。

以前、メンバーによる教唆があったと被害者から告発されているNGT48暴行事件で、HKT48の指原莉乃が松本人志から受けた侮辱を公然と批判している。

30年以上前、破天荒な大御所芸人に「チンピラ」と本質を見抜かれていた松本に媚びへつらう。そんなことが如何に無意味かを、3万に達するRT数と17万の「いいね」が示している。

指原さん、立派である。何せ1週間前は同じ番組で彼女自身が移民の仕草を差別していたからである。

バカリズム、指原莉乃が外国人労働者問題で差別丸出し! 外国人の接客を嘲笑し“日本語がちゃんと喋れる人を”論(リテラ)

女性は人数比で社会の大体半分を占めるが、「移民」は1~2%しかいないからね。目の付け所が流石です。私など外国人店員にそんなことしようなんて思いもつかなかった。

人間、自分は博愛だと思ってる者でも(多少の)差別感覚はあるもので、秋元康に対して「半世紀前なら女衒ですよね」と嬉しそうにインタビューしたキングスマンな外国のテレビ局(48系グループに対する認識が松本と同じ)やme too運動に便乗してる野良犬にもその片鱗は観察できる。だが、こうも短期間での急変を見せつけられると、悪いが率直には応援できませんね。同じ思いをして間違いに気づいた例として、最近では小説家の王谷晶とか、ネオナチを辞めたドイツ女性のインタビューなどがあるが、そういう内省が皆無。

下記は高須クリニック医院長に対するものだが、一脈通じるので紹介する。

そもそも、『ワイドナショー』などという、地上波でも突き抜けて下劣なコンセプトの番組にかかわって社会問題に首突っ込むから脳天にアホ毛のごとくブーメランが突き刺さるんじゃないの。俺みたいにアイドル関心無しで議論してる人一杯いる世界ですよ。松本の発言は事実無根の誹謗中傷だしレイア姫やってた人みたいに自分でネタにして遊ぶことがしなやかな生き方とも思わないが、指原さんとアイドル応援団は「ニーメラーの警句」を学んで、長い物に迎合した発言が多い自らのおかしさに気づいてほしい。

2018年11月27日 (火)

【TrinityNYCさん】出典明記しない奴が悪いというだけの話【要出典】

百田尚樹の『日本国紀』で引用元を明記しないコピペが相次いでいると指摘されている問題について、方々から突っ込みが入れられている。

編集者がストップをかけるよりはマシであろうよ。ネトウヨ(特に中高年)は期待するだけ無駄だし。

そう思っていたら、次のように話を続ける人がおり、違和感を感じた。

ああ、TrinityNYCこと通称鳥姉さんの自分棚上げ適当日本人論か(めいろまに似てきましたね)。

何故違和感を感じたかといえば、20数年前中学校で何かの作文を書いていた時、教師から引用とは何かを教えられたからである。

そう思って調べてみたら、今は学習指導要領に書かれているようだ。10年近く前に、文科省に設けられた「教育の情報化に関する手引」作成検討会で当時の指導要領が紹介されている。

1.小学校における各教科での情報活用能力の指導

<国語>

 国語科の目標は,「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てること」に置かれている。各学年において「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」を通じて情報を得たり,知識や情報を関連づけていくこと位置づけられている。国語科では,言語を中心に取り組まれるが,小学校第3,4学年の読むことでは,実際に引用や要約をする際に,文章の表現や情報だけに限らず,図表やグラフ,絵や写真なども含むことに留意し,引用する部分をかぎ(「」)でくくり,出典を明示することや,引用部分が適切な量になることなどについても指導することが求められる。このことは,著作権を尊重し保護することになる。」とされ,言語以外の情報も読み取ることが求められ,情報モラルの指導に関わる内容もとりあげられている。

教育の情報化に関する手引」作成検討会(第4回) 配付資料 2009年1月29日(文部科学省)

下記の資料を見ると、学年ごとに教える内容が深度化しているので、何度も機会は与えられているのだろう。学校によっては多忙を理由に教えて貰えないかも知れないけどね。

資料1(新学習指導要領における著作権に関する指導事項の整理

要するにあれですよ。大半の人間は学校で習ったことなんて、全部覚えちゃいない。私だって中学での話は偶々覚えていただけ。その一方で、人のミスは気になると。百田の場合は1個2個間違えたのレベルでは無いので、普通なら回収レベルのワースト例とは思うが、根本的にはそれだけの話です。

ついでに言えば、「引用の際は出典を明記すること」程度のガイドはFラン大でも載せており、「引用の仕方」などで検索すれば山のように出てくる。従って、少なくともこの点を理由に海外に留学する意味は無い。むしろ、陰険な学歴ブランド自慢の類と思われて嫌われるのがオチ。

まぁ、時と場合によっては今のように根拠のない噂で世相が乱れることもあるから、問題は問題ですがね。TrinityNYCさんみたいのはあまり有効な論法とは思えんです。

百田に突っ込みを入れてるアカウントを見てても、通称松田すんすけさんなど、自身が歴史認識で批判されている人がいる。そんな脛傷者混じりとは言え、百田とその本に群がるバカ共に対してはまず国内勢から突っ込みが入っているのに、この人は今更何を言ってるのだろうかという感じです。

まぁ元々、リベラルとか意識高い系も光があれば影の部分もあり、こういう所はあまり信用していないのだけどね。学歴や居住地、場合によっては職業経験をブランドと勘違いして頭使わず棍棒で殴ってるだけの人も多いから(頭が悪そうに見えるから辞めた方がいいのに)。めいろまこと谷口真由美氏を見ていれば分かるように、段々暴走して「ああ、単なるネトウヨの類友ですか」みたいになってしまう者も良く見かける。また、殴られたネトウヨの中でも地頭のいい奴は、その辺の機微に感付いて付け込んでいるのは興味深い。

TrinityNYCさんがネトウヨになるとは思えないし、ニュースを紹介してくれるのはありがたくもあるが、ブースカちゃんと同じで口の軽さは思想信条では無く性格の問題だから、反面教師にしか見えんのよね。

2018年8月19日 (日)

古本屋は専門司書でも研究者でもない訳だが

高知県立大学が図書館改築に当たり、38000冊の蔵書を焼却処分していた問題。読書家や研究者の間では深刻な問題と認識されている。

住友氏の感想がごく普通だと思う。だが、次のような古書店主の意見が流れている。

高知県立大学蔵書の処分は適切だったのではないか(note,閻魔堂)

私は古書店を長く利用し、発見した灰色文献の一部は公的な図書館に寄贈もしてきた者だが、上記のnoteには色々と違和感を感じた。社会における役割の違いといった、重要な指摘は既になされているが、それ以外の問題点も挙げながら、今回の事件について少しばかり論じてみたい。

【某古書店主の問題点1 団体史への決定的無理解】

「高知短大の20年史」「高知短大の30年史」学校史などももちろん大事な資料となりえますがですが、インターネットで沿革が閲覧できる昨今その手の需要はかなり薄くなっています。

戦前の学校史などであれば資料性が高いと言えますが…(高知短期大学は1953年に設置)

(中略)勿論リスト外のものもあるでしょうが
ちゃんと考えて整理されてるように思われます。ダブった本からを処分、優先順もって分かった人によって残されてますよね?

これは既に複数の突っ込みが入っているが、書き手自身が「ちゃんと考えていない」証拠だろう。HPに載っている程度の沿革と団体史としての校史は情報の総量に格段の違いがある。

また、第一報の高知新聞報道によれば、複本が無く完全に失われたものが8000冊あり、古書店主が指摘するような代替性は持ちえない。仮に別の図書館で所蔵していても、県内(出来れば高知市内)でなければ、利便性は大幅に低下する。

【某古書店主の問題点2 ネット公開資料は消滅リスクが高い】

「平和の礎」は総務省がPDFで全文公開していますね。

数年前から原子力規制庁で問題となっているように、官庁も都合が悪くなれば公開資料を非公開にしたりする。また、組織替えやサイト刷新の際に引き継ぎが上手くいかない事例も多い。民間企業やNPOが公開している場合は運営資金が枯渇すればENDである。こういった理由から近年でも、「公開から数年で閲覧不能になっている公的なリンク」が半分近くに達するといった報道もあった。

そのために国会図書館がWARPというネット上の公開資料保存事業を行っているが、網羅性は完全ではない。

【某古書店主の問題点3 研究者とは価値判断の基準も違う】

紙を処分するとなるとリサイクルでちり紙やダンボールにするか焼却くらいしかないでしょう。

この言葉には別の側面がある。

研究者との違いだが、そもそも、老舗であっても別に深い学問的知見が必要な商売ではない。中には、「ウチはね、19世紀の××学について現代の視点で議論したいような研究者を相手にしてるのですよ」などと言っている場合もあり、その見識には敬意を払う。

だが、古書店主は専門司書ではない。信州自由古書園のようにツイッターアカウントで得意分野の知見をPR出来る例は少数派と思っている。

私は、ここ数年原子力関係の技術史や重電関係を調査対象にしている。このジャンルで、理工系の古書を買い求める層は実務系の技術者が多いと思われ、技術史という点で関与する人がとても少ない。相談しても大抵は核の危険性を訴える総花的な本を示されるのが精々だ。実際に必要なのは高度成長期に到達した土木技術や電気設備工事の水準を推し量れるような文献である。そういう事情はあると思うが、新しい視点を得るのに効果的な灰色文献の調査で、古書店の知見はあまり役に立たなかった。

後、長く扱っている場合でも、買い付けの際、店主がCINIIで稀少性を確認するのはよくあること。そして、多数の大学で所蔵していると価格は落ちる。そういう意味では、古書店業界にとって適度に稀少な方が、価格を釣り上げ易いということはあるだろう。

ただ、複本の問題は、件の古書店の主張で説得力「も」あると感じた。根本に図書館を「半沢直樹シリーズの最新刊を只で読める場所」として多量の複本を購入させようとする(特に貧困でもない)層がいる。そういう連中は何故か「過去の話なんかどうでもいい」「都合の悪い話は亡くなってほしい」と臆面も無く口にする層ともある程度被っている。

そういう連中に文献調査について語っても無駄だし、図書館での調査を元にして生み出された知見が巡り巡って社会の安定と発展に繋がったとしても、フリーライドしてくるだけだ。流行っているから複本購入という弊害が高知県立大学であったかは知らないが、あれば是正しなければならない。

以下、閻魔堂以外の件で気になった点を取り上げる。

【視点1 国会図書館が持ってないことは結構ある】

この事件が発覚する数日前、太平洋学会という学術団体が刊行していた学会誌を国会図書館が全部そろえていない、という話があった。昼寝猫氏が示しているのは国会図書館のデジタルアーカイブである。学術誌はスキャンデータを館外公開しているが、この例のように所有していないので読めない号もある。

※訂正。本件は次のURLからその二が読めることに気づいた(CINII国会図書館デジタルアーカイブ)。まぁ定期刊行物でも欠号があれば読めない場合もあるということで(笑)。

【視点2 国会図書館は定期刊行物の新規寄贈を拒否する】

太平洋学会誌の場合は既に国会図書館が所有していることもあり、欠号でも寄贈があればいずれは問題も解消されるだろう。私もある業界団体の技報で欠号になっていたものを寄贈した経験がある。

しかし、定期刊行物の場合、国会図書館は発行元以外からの新規寄贈を拒否している。当ブログで挙げた文献で言えば、『日本原子力発電社報』を国会図書館は所蔵していないし、一般からの寄贈も不可能な状態。そのため、「読者が少なくても国会図書館が保有すればいいだろう」という思い込みで大学図書館が安易に焼却すると、読めなくなる定期刊行物が出てくる。

【視点3 倉庫を利用する古書店、焼却する高知県立大】

実は、店舗型の営業を取り止めてネット販売に特化している古書店もある。そこまでいかなくても、好事家、研究者を相手にし、メルマガ等で客層へのPRを欠かさないような古書店は、倉庫を導入している例が多いのではないか。

なお、複数出品されている古書であってもそれなりの値段が付けられていることが多いのは、店主の心理として、文献の保管管理コストを価格に上乗せしているからである。これは都内のさる老舗古書店から直接聞かされた話であり、その人のように、文化の維持にそれなりの矜持を持っている店主もいることはいる。

【視点4 自社の図書室も知らない元ゼネコン社員】

その元ゼネコン社員は無能だろう。何故なら、ゼネコンを含む旧来型の大企業は社内に図書室を設けて膨大なノウハウ蓄積の一助にしてきたからである。そして、そのこと自体は全く正しい。『情報の科学と技術』や『情報管理』といった図書・技術情報データベース系学術誌の主投稿者は企業だった。企業内学校が盛んだった20世紀後半、工場併設の場合などは「学生」の社員も利用したのではないだろうか。 外部に対して閉鎖された空間とは言え、社員達は図書室のメリットを享受してきた。「潰してやる」などとうそぶく人物は、一般の図書館を使わない層なのは大体鉄板だろうが、出身元企業に図書室があることも勿論知らなかったのだろう。

昔なら司馬遼太郎、今ネトウヨ本に血道挙げる「経営者」が「企業のDNA」などと放言してても、自社の情報資産にすら気配り出来ないような者は何処に行っても組織の資源を食いつぶすだけのフリーライダーと言って良い。

【視点5 ネット販売が常態化する古書店】

50代のヘビーユーザーで、私と同じように本業の傍ら実質的データマンをやっている方から「良書は東京の古書店が買い付ける」などと揶揄の声も聞いたことがある。だが、古書店に通い始めて数年でネット時代に移行した私の場合、余り地域偏在性の問題は気にしたことが無い。ウェブ上で在庫検索出来るようになったメリットはとても大きいからだ。まぁ、価格が5万を超えてくるとどうにかして現物を確認してからの購入になるのは家電と同じだが。

とまあ、数点挙げてみた。次に繰り出してくる言い訳は「日本は狭くて平地が限られ、土地が確保できない」理論だろうか。先回りで書いておくが、この屁理屈も子供のころから何の話題に対しても散々聞かされてきたが、バカバカしいものである。都内の大学は高層化著しいし、郊外にキャンパスを設けている大学は図書館程度の敷地は容易に捻出出来るからである。実際、まともな大学はそうやって図書館の容積を拡大している。

2018年6月17日 (日)

電気火災の脅威を力説し旧式原発3基の不安全を証明した東電原発職員へぼ担当氏

前回まで2回に渡り、東京電力柏崎刈羽原発技術職員しての立場を傍目には分からないようにして、(法的にも怪しげな)ポジショントークを重ねるへぼ担当を晒してきた。

しかし、彼も技術者の1人として平均以上に勉強を続けてきたのは、一つの事実である。

京都大学大学院原子核工学専攻を修了し、東電時代には原子炉主任技術者免状やボイラ・タービン技術主任者を取得した。

※最終学歴は京都大学大学院ではありませんでした。KURが他大利用者を受入れていることを忘れていました。京都大学関係者にはお詫び申し上げます。

つまり、組織防衛バイアスが働いていない場合、その技術的見解の正確性は上がる。

このような観点から、今回の記事では彼を権威が認めた現役の電力・原子力技術者とみなし、以下に旧式原発の電気火災に対する危険性を示す。

実は、へぼ担当は火災に大きな関心を示しており、かなりの数のツイートが残っている。今回はそれらを私の判断で話題別に再編集した。

なお、ここで言う旧式原発とは大半のケーブルが難燃性ではないことを意味し、再稼働の申請に合格したものとして高浜1,2号機、申請中のものが東海第二原発である。これらの原発はケーブルも設計寿命を超過しており、その点では近年新築された一般の建物よりも劣っている。

難燃性ケーブルは塩化水素を主体とした有毒ガスの発生量が多く、炎上は抑制されても煙が燻り人体には有害、視界も遮る。また、接点が剥き出しの電気機器にも煤のようにこびり付くと動作不良を招く。

これを緩和する根本対策はハロゲンフリー/ノンハロゲンケーブルを採用することで、原子力の分野では難燃化に遅れて1980年代中盤以降徐々に導入が進んでいった。もちろん、ぞれ以前のプラントは問題である。

実はそのことは彼自身もよく承知しているのだ。

所変われば態度も変えるという姿勢は一貫している。

原発に使われていると口を閉ざすが太陽光発電に使われていると饒舌。安全の観点からは「お金をどぶに捨てるだけ」とのこと。さて、難燃ケーブルを採用していない原発は?

ケーブル火災は一旦火が付くと消化が困難だそうである。

電線管も例外ではない。また、ネズミはあらゆる電気設備事故の定番。防鼠パテなども売られているが、施工がいい加減だと抜け・漏れが生じる。

強電回路ではおなじみ、ナイフスイッチも視点を変えれば故障要素である。

40Wの回路は、照明などのアクセサリ電源はありふれている。最早反文明論者と見分けがつかぬほどの警戒振り。もちろん、間違ってはいない。

感電の恐れがあるので、安易に放水も出来ない。

どうしてそんなに電気火災に拘るかと言えば、実際に脅威だから。発生した時の被害がシャレにならない。

 

彼が紹介しているYoutubeの動画は必見。発電所の電気室もこれと似たような雰囲気であり、規模が大きい。

続いて自治体消防が電気火災に無知との指摘。へぼ担当は下記のように完全同意。

 

これは、へぼ担当自身が柏崎市や新潟県の消防を信用出来ないと宣言したに等しい発言である。もちろん、他のサイトにも当て嵌まるだろう。

つまり、既存の消火設備と自衛消防隊依存となるが、外野から見れば、自衛消防隊こそ消防のプロとは言えないのでは?との疑問が沸く。その疑念を彼等自身も抱いているのか、電力各社は訓練の回数を誇っているが、別の観点として『原子力戦争』(ちくま書房,1976年)で告発されたような、ボヤの隠蔽をチェックすることも出来ないことになる。

隣接配線に延焼すると地獄絵図だそうである。原発の場合、このリスクを軽減するためケーブルルートの系統分離が徹底されるが、初期原発の場合は電源室が一か所の部屋に集中配置されるなど、ケーブルトレイを分離した程度では根本解決にならない設計が多い。東海第二原発がその典型である。

古典的なブラウンズフェリー事故はもとより、新潟県中越沖地震での所外変圧器火災(2時間)など、3時間以上あるいはそれに迫る時間燃え続けた火災事例は原発でも散見される。

2017年2月に発生したアスクルの倉庫火災に関しても、へぼ担当は防火シャッターと難燃性について興味深い見解を披露している。

 

シャッターの動作はそれなりに奥が深いようだ。この日の彼のツイートはまだ続く。

 

 

 

難燃ケーブル=不燃ではない、という事実は用心深い技術者なら知っていることだが、それを東電の原発技術者が率直に認めているのが素晴らしい。彼がこのように率直に物を言えるのは、柏崎刈羽原発が難燃ケーブルを多用し、日本原電に比較すれば新規制基準への対応に大量の資金を投じてきたからだろう。要するに「俺の職場は別」という考えが根底にあるように思われる。

また、これらのシャッター設計のノウハウが、旧式原発の建屋やサイトバンカ、経年を経た発電所の倉庫などにもバックフィットされているのかも興味深い論点となり得るだろう。烏賀陽弘道氏により再評価された『近代消防』に寄稿した元消防官のような対抗専門家の登場が待たれる。

私はプロフィール欄にも述べているように元々は推進派であったところを311により反対に転じた者である。よって、基本的には全ての原子力発電所は廃止されるべきと考えるが、その中で技術的プライオリティが付くことは避けられないとも思っている。そういう意味からは、へぼ担当の技術的知見は参考になるのである。

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