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2020年3月の2件の記事

2020年3月17日 (火)

【Fukushima50】吉田所長の津波無視を庇う門田隆将の話には嘘がある【原作者】

【『Fukushima50』は何故批判されるのか】

3月6日、シネコン各社が一席空けて鑑賞するように注意喚起する中、映画『Fukushima50』が公開された。本作に限らず「コロナ不況」で観客の出足は極めて低調だが、最初の土日は動員トップだったようである。

本作について、作り手は「どちらにも偏らない」といったお決まりの文句で宣伝を図っているが、ここ数年の原作者の極右化や、映画化を提案した故津川雅彦氏(公式パンフレットによる)の所業等から、原発関係者を翼賛するため右派が企画したことはばれてしまい、猛烈な反発を受けている。

反発を受けている理由は色々あるが、最も大きいと考えられるのは次の2点。

  1. 吉田氏が、事故前に本店で原発津波対策の責任者として、大津波の想定を先送りした当事者であることに触れていない。
  2. 日本原電の東海第二原発や東北電力の女川原発が津波想定・対策をして事故を回避した事実に触れていない。

これを無視して話を組み立てても、全て無駄だし、マイナーな話でもないのですぐにばれる。

「現場のことを知ってください」といったPRも傲岸だろう。「だったら東電のロゴ位正しいものを使え」と言いたくなるし、現場を取材した人は沢山いる。その言動自体が「門田だけが現場を知っている」かのような商業臭の強いものだ。

とまぁ、色々と論点はあるけれども、今回は門田氏が本店時代の吉田所長をどのように見ているかを検証する。昔からのブログ読者にとってはおさらい記事となる。

【「偏った意見」と「嘘」の違い】

本題に入る前に、普段から思っていることがある。

偏った意見を述べている人は、嘘つきなのだろうか。

ざっくり議論する程度なら、嘘つきと表現することも差し支えないと思う。万国共通で世の習いだから。しかし厳密に解釈すると-イメージとしては相手を裁判にかけるとか、学術レベルで検証するといった場面を想像すれば良いのだが-嘘つきとは言えない場合がある。

今回の門田氏が正にそれで、不都合な事実を述べなかったとしても、厳密には「考え方が東電に偏っている右の人」となる。彼を批判する添田孝史氏がHBOLに投稿した記事の題名も「福島核災害を「美談」に仕立て上げた映画『Fukushima50』が描かなかったもの」である。

勿論、偏った主張だけでも、社会的には問題だ。簡単に言えば、大量殺人犯がたまたま日常生活では親切な人だったからと言って、そこだけを取り上げて善人だと言い張ったら、大変な事だろう。だが、政治・社会問題ではこの手の印象操作は頻発する。

だから、今回門田氏の主張を精査し、氏が都合のいい事実だけ取り上げているのみならず、主要な部分で嘘が混じっていることを示す。

【「大胆な計算法」は本当か】

上述のように、門田氏は『死の淵を見た男』で本店時代の吉田氏を描かず、『Fukushima50』でもそうなっている。私はコロナウイルス予防のため、映画を見ることが出来てないが、クランクアップ時の記者会見、予告、有料パンフレット(結構ボリュームはある)、周木律氏によるノベライズ版をチェックした。いずれも本店時代の描写は無く、津波は「想定外」とされている。映画を見た人達の報告も同じである。

実は門田氏は原作出版後、本店時代の吉田氏について文章を公開していた。核心部分を引用する。

いま、吉田さんが「津波対策に消極的だった人物」という説が流布されている。一部の新聞による報道をもとに、事情を知らない人物が、それがあたかも本当のようにあれこれ流しているのである。

私は、吉田さんは津波対策をきちんととるための「根拠」を求めていた人物であると思っている。新聞や政府事故調が記述しているように、「最大15.7メートル」の波高の津波について、東電は独自に試算していた。これは、2002年7月に地震調査研究推進本部が出した「三陸沖から房総沖の海溝沿いのどこでもM8クラスの地震が発生する可能性がある」という見解に対応したものだ。

そもそも、これはなぜ「試算」されたのだろうか。これは2008年の1月から4月にかけて、吉田さんが本店の原子力設備管理部長だった時におこなわれたものだ。

それは実に大胆な計算法だった。どこにでも起こるというのなら、明治三陸沖地震で大津波を起こした三陸沖の「波源」が、仮に「福島沖にあったとしたら?」として試算したものである。

もちろんそんな「波源」は福島沖には存在しないので、「架空」の試算ということになる。だが、それで最大波高が「15.7メートル」という数字が出たことによって、今度は、吉田さんは、これをもとに2009年6月、土木学会の津波評価部会に対して波源の策定についての審議を正式に依頼している。

つまり「架空の試算」をもとに自治体と相談したり、あるいは巨額のお金を動かすことはできないので、オーソライズされた「根拠」を吉田さんは求めていたのである。この話は、私は3回目の取材で吉田さんに伺うことにしていたが、その直前に、吉田さんは倒れ、永遠にできなくなった。

故・吉田昌郎さんは何と闘ったのか」(門田隆将公式ブログブログ「夏炉冬扇の記」2013年7月14日)

この見解はその後、対談や吉田調書に関する単行本などでも踏襲されている。

「大胆」という言葉の意味をネットの国語辞書で引くと「普通と違った思い切ったことをするさま。」とある。

これに照らすと先の引用で下線を引いた部分は嘘である。考え方に新規性が無く、ありふれていたからである。それを時系列順に挙げていこう。

【「架空の津波」を対策に活かした先達の知恵】

そもそも、大津波が何故起きるのかというと、学校で習ったプレートの沈み込みをイメージしてもらえば良いが、プレート境界となる海溝沿いで大規模な地滑りが起こり、大量の海水が上下に動くから、である。明治三陸津波は岩手県沖の日本海溝で起こった。日本海溝はその南側にずっと続いているから、同じような地滑りで同じような津波が起きるだろうと言うことは、プレートテクトニクスに沿った考え方としては常識だった。勿論、日本海溝ばかりではなく、簡単に言ってしまうと世界中の海溝で同じような津波が起きる恐れがあると考えられていた。

だから、明治三陸地震の波源を他の領域に移して津波シミュレーションを行うことは、1980年代から行われていたのである。

Mymiyagi1988hikaku_2

  • 「津波に関する研究 その2」(1983年)についてはこちらの記事で詳説
  • 「宮城県津波被害想定調査」(1986~1988年)についてはこちらの記事で詳説

いずれも、明治三陸の波源を南に移設したシミュレーションである(精度に問題があったり、規模を小さくしたことで、15.7mに匹敵する波高を福島沖で得ることは出来ていない)。なお、電力業界全般としては、やはり同時期に津波シミュレーションに手を出していたが、東電は当時の技報を全て非公開としているので、社外のシミュレーションを見てどんな試算をやっていたかは闇のままである。普通の企業なら古い技報位は公開しており、子会社を含めてお蔵入りを続けている東電の姿勢は異常だ。

ともあれ、東電が試算する25年も前に公開されている計算法は、全く「大胆」ではない。

「門田氏が言い過ぎたにしても架空は架空だったろ」と粘る人もいると思う。

しかし、そのうちの一つは宮城県が防災のために行った津波想定である。2000年代の津波想定では別の波源に代わったが、それまでは門田氏の言う「架空の波源」が津波対策を講じる根拠になっていた。

門田氏が紹介している2002年の地震調査推進研究本部の考え方も、これに沿ったものだ。

また、土木学会は2004年に福島沖で地震が起きるか専門家などにアンケートを取ったことがあるが、添田氏によれば、その時も多数派は起こると考えていたことが明らかとなっている(『原発と大津波』P78~P79)。

更に、2004年に発生したスマトラ沖地震津波を他山の石として、国土交通省は5か年の緊急対策を立案、その根拠には日本海溝沿いのどこでも大規模な地震津波が起きる、という前提に立ち、GPS波浪計配置や閘門管理システム等の予算を執行した。

GPS波浪計広域配置計画の検討で利用する断層条件は次の通りとする。

(1)日本海溝沿いの地震断層
日本海溝沿いのプレート間大地震は 1611 年三陸沖、1677 年房総沖、1896 年三陸沖が知られており、大きな津波を引き起こしている。地震調査研究推進本部の長期評価によれば、これらの地震は同じ場所で繰り返し発生しているとは言いがたいとのことであり、配置計画を検討する際の想定断層は、三陸沖から房総沖の日本海溝沿いに海溝軸に沿って並べて配置する。

 

Kokukou2005tsunmitohokufig213

本編1 P2-24(リンク)(平成17年度国土施策創発調査費 津波に強い東北の地域づくり検討調査

見ればわかるように、地震研究推進本部の長期評価をそのまま引き継ぎ、M8級断層が日本海溝に沿って房総沖まで切れ目無く直列に想定されている(本件についての詳説はこちらの記事)。

この他、日本原電が「根拠は十分」と判断して如何なる学会にも諮らず、津波対策を実施していたことは上述の通りである。

実は、日本原電に津波対策をするように働きかけたのは、茨城県だった。茨城県は中央防災会議が「根拠が薄い」と捨てた波源を使って津波シミュレーションを実施し、県内の原子力施設に危険を感じたのだった。県の考え方は事実上「架空の試算」に頼ったようなものである。

また、東電社内にも「津波対策をきちんととるための根拠を求めていた人」より積極的に立ち回った人がいた。津波想定の実務を担当した社員(高尾誠氏、原子力部土木調査グループマネージャー)や、高尾氏より高い役職についていた山下和彦氏である。彼等は、15.7m想定を弾き出した時点で津波対策に乗り出すべきと考えており、一旦は経営陣もその方針で動いていたが、2008年7月に上層部の「ちゃぶ台返し」で葬られたことが裁判で開示された資料により明らかとなっている。彼等に比べれば、吉田氏は地震津波の知識も無い只の消極的なおっさんに過ぎなかった。詳しくは、LEVEL7での添田氏の公判傍聴記や取材レポートを参照されたい。

【まとめ】

門田隆将氏が吉田氏を庇おうとして主張した内容は嘘だったと言える。

今回引用した文章全体の意義も崩れてしまう。「それは実に使い古された計算法だった」では締まりがない。

関連して冒頭の「事情を知らない人物が、それがあたかも本当のようにあれこれ流している」も実際は「詳しい内情に基づく本当の話」であった。端的に言えば添田氏の方が門田氏より詳しい。「『架空の試算』をもとに自治体と相談したり、あるいは巨額のお金を動かすことはできない」も事実に反しており、結局門田氏の主張は嘘ばかりだった。

氏は右派論客として原発事故以外にも様々な物議を醸している。そのことは別の場で批判されてきたし、これからも続いていくだろう。だからここで腹いせ的に「歴史や政治で問題発言をしているので、よく知らないが原発でも嘘つきに違いない」といった雑駁なことを言うつもりはない。しかし、きちんと検証してみても吉田所長の件では、氏の主張に信憑性は無いと考える。

2020年3月 6日 (金)

【虫けらどもは】TrinityNYCさん、千の丘ラジオを放送して本性を晒す【ひねりつぶせ????】

原発研究の宿題消化中に、コロナ騒ぎと、忙しかったので、今日は閑話休題。心の毒なので、あまり政治宣伝にはなりません。

トランプ政権の先を占うスーパーチューズデー、その情勢分析を語っている在米アカウントは多い。

たかが民主国家内の政敵ごときに「ゴキブリ」か。殺虫剤の広告まで持ってきてご丁寧なこと。勿論魚拓はGETした。

権威勾配考慮しても、私はそれは禁句と考えている。ルワンダ虐殺の引き金を引いた千の丘ラジオの有名なプロパガンダが「ヒトだと思えば躊躇うこともあるが、ゴキブリだと思えば殺しても大したことないだろう」(大意)だったから。トランプ政権の後ろにはそれなりの支持層もいる。反安倍にも共通するが、指導者にその支持層を重ねて論じる、或いは敵からそう受け止められるのはよくあること。しかも殺虫剤。チクロンBの歴史的意味位知っとけよ。

維新が気にくわなくて大阪に原爆落とせと書き込んで逃亡したセレブ医者の瀬川深様や(他にも奇怪な言行多数)、コロナに過剰な期待して日本だか首都圏をエスニッククレンジングしたがってる匿名社会学教授の社虫太郎(鬱屈して駅前で刃物振り回してるおっさんにしか見えないです、ごめんね)並の社会観だな。Trinty婆さんを含めて今書いたような連中を知〇〇〇リベラルと言う。

これでは、百田とかと同じ土俵に落ちてしまった可哀相な人達である。なお私が右派著名人、著名アカウントの批判記事をあまり書かないのは、反安倍の諸氏が遥かにセンスの良い叩き記事を量産しているからで、別に心の底で百田等に同調しているからではない。後、ネトウヨに効くのは訴状、令状、暴露であって、話をする価値無いしね。

で、Trinityさん、実名で同じこと言って、アメリカ社会でそれ持つのかな???

私は反安倍で、その繋がりで他国のことながら反トランプということになるが、彼等のことをゴキブリに例えようとは思わない。「クズ」「無能」いった汎用性の高い表現が世の中にはあるからね。安倍の例で言うと過去の経緯から「森羅万象」とか変化球の表現もある。だがそこに批判はあってもいずれも差別とは縁が無いものである。

大体、敵を人間だと認識しておかないと、大変な目に遭うと思うけどね。まして安倍ではなくて狡猾さでは上のトランプでしょ。

それともう一つ分かったこと。

Trinityさんてやっぱり、劣等感の塊なんだろうな。めいろまよりは物は見えるけど、根本的には同じ箱。この無意味な攻撃性はそう考えないと説明が付かないね。

でなきゃ、こんなの思い付かん。中身も考えずに安易に人の言うことに同調する。「共感性」か知らんが実に痛々しい。ていうか、TLに流れてくる在米フェミニスト垢でもこんな酷いの見たことないので、主義思想由来でなく、個人の人格なんだろう。

元々、海外住みで日本の問題点をあれこれ言ってる人は一杯いる。馬鹿ウヨ以外には当たり前のことだけど、私はそれが悪いとは思わない。でも、Trinityさんみたいに、余計な邪念が混じってると思しき人って、やっぱ只の出羽守だと思う。

ま、もっと悪いのは、海外在住経験を売りにして、「普通の国になろう」と言わんばかりに右派言説を煽ってくる連中だけど。これは結構多い。私が出羽守が嫌いなのは、字義通りの言葉の定義に従うとそういう連中も入るからである。特に現代の米軍を手本にしたがる連中は、かなりの高確率でアレ。

そう言えば、元バンクアナリストがサンダースを嫌っている構図も実に分かり易い。私はアメリカ国民ではないが、やはり民主党の候補者ならサンダースがベストだろう。もしアメリカが彼の考えるような平等性の高い社会を作ることに集中してくれれば、いずれはショックドクトリンと新自由主義に毒されて世界中に戦火を振りまく悪癖も、影を潜めていくと考えるからだ。他の候補では、そこまでは難しいのでは。どこかで棍棒外交が顔を出す。

サンダース自身は最近女性に対する差別発言で味噌をつけたようだが、あの社会主義的思想自体は、フェミニズムが目指すものと被る部分はあるだろう。女性議員を含め、サンダース的な人士が増えていけば良いことと思う。まぁそれは、日本も同様なんだけど。

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