あさくらめひかり氏(Twitterアカウント@arthurclaris氏、以下あさくら氏)は何故ネット上でPA(パブリックアクセプタンス、要は宣伝)に励むのだろうか。
ツイートURL:https://twitter.com/arthurclaris/status/1059097150036959232
冒頭で上記のようなツイートを固定する程の熱の入れようである。東電のかなり上位(一次位)の下請で働いているようだが、これほどの態度は関係者でもあまり一般的ではない。
【デマバスターとしてはセコい】
最近は2018年9月に立憲民主党から出馬を表明したおしどりマコ氏とその擁護者に反応して、日々上から目線でバトルを繰り広げている。
冒頭画像はその一例だが、下記のようなことも書いてる。
これらの反論ツイート、元を辿れば私のブログ記事「福島第一排気筒問題で一部作業員、偽科学関係者が振りまいた安全神話」という、おしどり氏の問題提起をフォローする目的で書いた記事にリンクしている。つまり、私のブログを確実に認知した筈なのに攻撃してこないのは、以前、私に社内資料自慢を晒されて恥ずかしいと思ってるとか、碌でもない理由なのだろう。
後、私のサイトも「放射線脆化で排気筒倒壊」とは書いてないのだが、ブログを紹介してくれる方やbotには多少言葉が拙くても感謝してるので、あさくら氏のやってることはその意味でも迷惑。
なお、「放射線劣化」と「マコ」を外して書き直したツイートには執筆時点で直の返信は無し。
妹様には感謝申し上げます。
【あのへぼ担当すら二の足を踏む筋悪な東電擁護】
論争から2年半経過したが、私の評価は基本的に変わらず、東電信者を信用していない。一例としては、あさくら氏は東電の目視検査を盲信し、何の懸念も表明しなかったが、1年後、東京新聞が新たな破断個所を報道した件について、沈黙していることがある。
正確には、この件以外を材料に非難ツイートするようになった。その前に礼の一つも述べたらどうか。
その後東電は、目視検査にドローンを投入し、破断個所が増えても耐震性は変わらないとの主張にシフトしたが、これも当てにならないと見るべきだろう。
何故なら、ドローンを使用したところで目視検査には限界があるからである。
煙突のエンジニアリング企業であるツカサテックのウェブサイトを改めて見てみる。
【鋼板製煙突】(リンク)
検査のランクはA~C型の3コースに分かれており、診断結果に確実性が持てるのは、厚さ計など各種検査機器を使用するC型だけとなっている。
【鉄塔支持型煙突】(リンク)
簡単な一次点検、詳細な二次点検に分かれ、一次点検では板厚は梯子、プラットホームを使用して、超音波板厚計により計測し、煙突内部のライニングも撮影する。一次点検で異常が見つかった場合は二次点検を実施。ゴンドラに人を乗せて板厚計、レンチ等の治具を用いる、となっている。
しかし、福島第一の排気筒は下部を中心に高線量部があるため、こういった検査は不可能だ。
原発の地震想定、基準地震動についての説明も同様で、「倒壊の危険があるから解体」と書いていないのも当然である。上記の事情を汲んだ霞が関文学と同種の、当たりさわりない表現に過ぎない。
強い言葉で否定して後から言い訳。これである。
なお、実は、一連の論争にて、お仲間から師匠格と目されているへぼ担当(アイコンはこちら)は、あさくら氏の主張を全く紹介していないし、自ら排気筒の件で弁明もしていない。
へぼ担当は腐っても技術者である。当然だろう。それだけあさくら氏の主張は筋が悪いのだ。
【排気筒問題は誰が議論してきたのか】
そんなことよりあさくら氏と排気筒の経緯を見ていて気付いたことがある。それは、相手が女性だとより攻撃的になるということ。いわゆる、マンスプレイニングである。
マンスプレイニングという単語は原子力や理工系で使用される語では無い。Wikipediaの説明をそのまま引くと、男を意味する「man」(マン)と解説を意味する「explain」(エクスプレイン)をかけ合わせたかばん語。一般的には「男性が、女性を見下ろすあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」という意味である。
実は、排気筒の問題が議論されるようになったのは、おしどり氏の東洋経済記事が切っ掛けではない。以前から他の人達によって問題提起されていたことである。
著名な原発産業関係者・(元)技術者が排気筒問題に何時から参戦したのかを追ってみよう。
【2013年】
東電発表時に、ハッピー氏がこの問題に言及したのが嚆矢だろう。
そこにオノデキタこと小野俊一氏(元東電原子力部門技術社員)が続いた。
当時、ハッピー氏は福島第一で働く最も有名な原発作業員であり、小野氏もネット上では多くの耳目を集める存在だったから、あさくら氏が知らない筈はないのだが、彼が直接言及したツイートを発見することは出来なかった。(小野氏のツイートは拙いが、職歴等から判断すれば、セシウムのため人によるメンテが不可能という趣旨だと考える。)
【2014年】
化学プラント設計者の集まりである「プラント技術者の会」にて筒井哲郎氏がこの問題に対する技術提案を公開した。
IRID技術提案その1 1&2号機スタック転倒防止
筒井氏はTwitter上での知名度は低いかもしれないが、プラント技術者として半世紀にわたる経験を持っているばかりでなく、大変な勉強家でもあったため、311後の脱原子力運動で、技術問題を提起する中心人物の一人として活躍されている方である。
別に論争を煽るつもりは無いが、原発推進派の技術者にとって、反対派の技術者の方が論敵としての重要性は高いと考えるのが普通の相場観だと思う。しかし、この時もまた、あさくら氏は何ら言及も反論もしなかった。
なお、現在は東電がロボットとクレーンを用いた解体計画を策定したので、誰でも手軽にその内容を読み上げることができるが、当時、そのような便利な『台本』はPA師に与えられていなかった。
【2015年】
赤旗がこの問題を取り上げた。
「福島第1原発 排気筒 耐用基準超えか専門家 腐食進み「危険な状態」倒壊なら放射性物質飛散も」『しんぶん赤旗』2015年2月20日(金)
この記事は直接は技術者の手になる訳ではないが、一般論として、日本共産党の情報収集力に一定の評価が与えられることも多いため、取り上げる。
上記のように、あさくら氏は赤旗を購読する家庭に育ち、現在も投票先は共産党と称している。後者は疑問だが、前者は人格形成上「親の思想に反発するというパターン」に合致するため、信頼性は高いと考える。そういう人は、赤旗電子版などの記事に目を通すものだ。
しかし、この時も彼は赤旗の排気筒記事に批判は加えなかった。
2018年11月に入ってからの言い訳。ブロックなどTwitter外から見ればどうということもない。何より、赤旗は政党機関紙ですがね。
【2016年】
おしどり氏が採り上げるとあさくら氏等は大騒ぎを始め、何かにつけて粘着するようになった。数が多いのでまとめのみ紹介する。
イチエフ排気筒の話 - Togetter
いや、2年半後の次のツイートだけは取り上げる。
支離滅裂。「悪くはなかった」なら今までの「おしどり氏に対する」誹謗は何だったんだろうね。
なお、東洋経済の記事を読むと、おしどり氏は広瀬隆氏からこの話を振られているのだが、解説をフォローした広瀬氏への批判はほぼ皆無だったことも付け加えておく。かつては社会現象までなった人物で、311後も活動されている方なのに。
また、Twitter上ではコロラド先生こと、工学博士で40年来の原子力業界ウォッチャーである牧田寛氏も参戦したが、あさくら氏は牧田氏にはあまり関心を示さず、おしどり氏への粘着を継続した。
おしどり氏への粘着の仕方も独特であった。彼女は複数の現場関係者の情報提供を受けていることは度々公言しており、それ故に公安も関心を示した。また、竜田一人を含めて、原発ライターや作業員の手記を見ても、東電の方針に反発する者の存在は何度も示されているが、あさくら氏はそうした支援者達には目もくれず、おしどり氏に異様な熱意を見せた。
なお2016年から2018年8月末まで2年半続いたバッシングは、全て彼女の政界進出宣言の前の出来事である。
この間、上杉隆が都知事選(2016年7月31日開票)に立候補したが、あさくら氏は上杉批判には、おしどり氏に対する程の労力を投じていないようだ。上杉氏に対する批判は立候補を表明する以前のツイートが目に付く(なお、私は上杉氏の活動には疑問を多く感じることを付け加えておく)。
「政治の場に上げるべきではない」は、後付の理由に過ぎなかった、という事も明白だろう。
【2018年】
11月、ネトウヨ兄のデマを正す妹bot (@demauyo_tadaimo) というTwitterアカウントがこの問題をテンプレート化して発信すると、真っ先に反応した。現在は、冒頭で紹介したように彼女への反論をツイートトップに固定している。なお、言うまでも無い事だが、ネトウヨ兄のデマを正す妹とはbotなのであり、作者が女性とは断定できない、筈である。にも拘らず反応した、という点に注目したい。
なお、原発問題全般において、彼が自発的に長期間攻撃している対象は、「反〇〇」(〇〇時事問題で変わる)といった大きな括りを除くと、あさくら氏に直接批判している人を除いて、余り数は多くない。
これを、マンスプレイニングと言わずして何と言うのだろう。
まとめると、あさくら氏はハッピー、小野俊一、筒井哲郎、牧田寛の各氏(それと私)のような男性技術者や原発作業員、赤旗の様な性別を感じさせないメディアの批判はスルーするが、おしどり氏や女性を模したbotには、技術者でなくても強い関心を示す人物である、ということだ。むしろ、技術者というハードルが無い相手だからこそ、お得意の東電エンブレムチューンで威圧出来ると考えたのだろう。
でも本物のエンブレムチューンがそうだったように、そういう態度はダサいよね。
【黙って廃炉作業してれば由】
以上が、この2年半で付け加わったあさくら氏の失敗だが、彼は最近、言動の横柄さで反感を買い、nagaya2013氏他数名のTwitterアカウントから猛烈な反撃を受ける結果となった。確かに馬鹿な奴だと思うが、東電の中枢や稼動中の原発で重要な職務に就いてる訳でもないので、私は勤務先や実名暴きまでしようとは思わない。なお、私は毎日新聞日野記者による復興庁参事官暴言ツイート暴露事件は、全面的に支持している。
ただ、あさくら氏が今後も突っ走り続けるのであれば、新たな攻撃者を呼び寄せることになり、以下のへぼ担当が辿ったものと全く同じ道を歩むだろうと警告しておく。
その時、東電は貴方を守るのだろうか。
18/12/7:牧田氏の指摘を反映し「30年」を「40年」とした(ちなみに、私自身は浜岡と電気の史料館、三菱重工みなとみらい技術館、港湾技研の津波実験見学、国会図書館初入館、電験初受験がいずれも2005年から2006年で、それ以前はウォッチと言える程のことは何もしていないからまだ13年である)。