【商業右翼は】書泉とTSUTAYAとワニブックスを不買した話【大嫌い】
つい数日前、神保町に行った折書泉グランデに立ち寄ったことがあった。
※神田経済新聞より
グランデと言えば、最近文谷数重氏が次のように酷評している。
「タダで貸す」といった書泉は「そのレベルなんだろう」とそれから行ってもいない。あそこは昔、争議があったあたりから本屋としてどうもな感じ、目利きが駄目になった感があった。5回の建築技術がなくなったりね。
東京堂が愛国オバサンをボイコットできてヨカッタとおもったよ 隅田金属日誌
グランデに入店してから、上述の桜井誠『大嫌韓時代』サイン会の件を思い出した次第。篠村書店、マーブルディスク、BAMBI神保町店、とんかつ駿河となじみの店が消えていく中、神保町の顔と言って良い書泉は自らその顔に泥を塗る選択をした。
(1)客を選び、買い回りの出来なくなったグランデ
それでも、鉄道とミリタリーの売り場を大幅に拡大していたので、その分野のマイナーな本を探す目的では、まだ役立つことはある・・・と思っていた。
しかし、最近の書泉グランデ、改めて見直してみると酷いことになっているのである。
まず、1階屋外に産経読んでそうなファッションオタクを目当てにした戦争ドキュメンタリーを陳列、店内はライトノベルの広告が目立ち、コミケ会場か歓楽街の飲み屋のようだ。2階はマンガ関連コーナーに代わっているらしい。
5階のミリタリー、6階の鉄道の階も一層酷くなっている。それぞれにワンフロア充ててしまったため、海外の書籍や同人を加えても場所が余ってしまっている。何せ、メジャーな雑誌のバックナンバーを平積で並べている有様だ。関連グッズコーナーも広く取ってある。最早、本屋では無く模型ショップか軍装店のようだ。心なしか、エレベータ周辺のポスターの貼り方もだらしのないアニメショップみたいで汚い。そう思って調べてみたら2011年にアニメイトの子会社になっていた。成程。
何よりも不便になったと思うのは、一般書に割く面積が大幅に減少しているため、鉄道、ミリタリー、マンガ以外の買い回りが出来ないこと。
良く見てみると、時間帯の割に客足も昔より減り、一層偏っているように思える。「これが普通の日本人が行く本屋の姿か」と皮肉を飛ばす気も起きない位、まともな本屋じゃないなぁ。
アニメイトの方針もあるだろうが、西葛西店や川口店を失ったことも、書泉社内から一般人の感覚が消え失せる遠因になってるかも知れない。まぁ、死んだ親父が通ってた頃の70年代80年代の書泉は郊外店舗など展開してなかったけれども、聞いている限りそんな本屋では無かった筈だが。
昔話はともかく、上記争議の前からいるベテランの采配のためか、独特の分類がされている書架の中から、ある研究書を発見した。これは欲しい。しかし、やはり書泉では買いたくないな、とも思った。嫌悪感を武器に右翼的・翼賛調な本を研究のため買った人にまで「加担者」のレッテルを貼って回る某御仁程ではないが、桜井誠をわざわざ応援するような書店に金を落とす気にはならない。なら書名を控えてAmazonなどで買えばいいと思われるだろうが、生憎ペンを持っていなかった。
(2)書泉とTSUTAYAで見つけた本を他の書店で買う
そこで歩いて2分も無い場所にある三省堂に行って同じ本が置いてないか探すことにした。三省堂は書泉より広く、昔からほぼ全ジャンルに強い。2014年に右翼系ジャーナリスト井上和彦の本の広告を掲げたことはあるが、過去、どちらかと言えばリベラル系も積極的に売ってきた実績を加味し、書泉よりはまだしもかということで(東京堂には、その本はなさそうだということもあった)。ペンと時間があれば、神保町以外の大型書店に行くことも出来たのだが。
店内の検索端末を使って調べた所、お目当ての本も在庫していることが分かり、一件落着。書泉で買わずに済んだ。そう言えば書泉には検索端末も無いから、利便性の面でも差が付いてきている。
三省堂に設置された書籍検索端末。写真は大宮店のもの(ホームメイト書店リサーチより)
三省堂はコンセプト的には昔と変わらず総合書店なので買い回りが出来るのも好ポイントだった。その日は、件の研究書の他に、生活系(衣食住健康系)の本で探しているものがあった。元々、通勤ルートにあるTSUTAYAで見つけたものだ。しかし私は、TSUTAYAも武雄図書館問題以来不買しているので、都心の書店に出た時に買おうと思っていたのである。
(3)ワニブックスを止め、類似本を別の版元から選ぶ
そこで、これも検索端末で調べ、別の階に行って入手・・・する筈だったが、今度は出版社を見て渋い顔になった。版元がワニブックスだったのである。その本は期待通りの出来で原発事故の生活への影響もちゃんと反映しているのだが、ワニブックスは『民進党(笑)』とか『『日之丸街宣女子』から思いを込めて』など、ネットスラングをそのままタイトルにした小汚い煽動本、日本スゴイ本を物凄くプッシュしている出版社である。ある意味、WACより酷い。
幸いにして生活系の本であるため、内容はオンリーワンという訳では無く、何冊か同じような本が出ていた。そこで、別の本を探すことにし、出版社を変えた。代わりの本の出版社も日本スゴイブームには便乗していたが、現代の中韓でも評価を貰えるような事案(良品を売ったとか慈善事業に貢献の類)であり、悪し様に罵ることは避けているように思われた。批判的視点は大切だが、誰しもが『日本スゴイのディストピア』に匹敵する批判本を出すことは能力的に難しいということもあろう。時間の制約もあるのでこの社の本に決める。件の本の著者に罪のある話ではないが、仕事は選んで欲しいと思っている。
講談社のように右から左まで資本の論理に従って売りまくっているような総合出版社に対し、過敏に意識するかのはどうかと思うが(そういう場合は問題ある本を槍玉にする方がベストである)、書泉・TSUTAYA・ワニブックスのような、代替物が存在し選択に多様性のあるケースは、積極的に不買していきたいと感じた一日だった。勿論、三省堂が不満ならジュンク堂や紀伊国屋や地域の書店を選ぶ方法もあることも付言しておく。
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