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2017年1月の2件の記事

2017年1月14日 (土)

【商業右翼は】書泉とTSUTAYAとワニブックスを不買した話【大嫌い】

つい数日前、神保町に行った折書泉グランデに立ち寄ったことがあった。

Kandakeizaisinbunshosen神田経済新聞より

グランデと言えば、最近文谷数重氏が次のように酷評している。

 「タダで貸す」といった書泉は「そのレベルなんだろう」とそれから行ってもいない。あそこは昔、争議があったあたりから本屋としてどうもな感じ、目利きが駄目になった感があった。5回の建築技術がなくなったりね。

東京堂が愛国オバサンをボイコットできてヨカッタとおもったよ 隅田金属日誌

グランデに入店してから、上述の桜井誠『大嫌韓時代』サイン会の件を思い出した次第。篠村書店、マーブルディスク、BAMBI神保町店、とんかつ駿河となじみの店が消えていく中、神保町の顔と言って良い書泉は自らその顔に泥を塗る選択をした。

(1)客を選び、買い回りの出来なくなったグランデ

それでも、鉄道とミリタリーの売り場を大幅に拡大していたので、その分野のマイナーな本を探す目的では、まだ役立つことはある・・・と思っていた。

しかし、最近の書泉グランデ、改めて見直してみると酷いことになっているのである。

まず、1階屋外に産経読んでそうなファッションオタクを目当てにした戦争ドキュメンタリーを陳列、店内はライトノベルの広告が目立ち、コミケ会場か歓楽街の飲み屋のようだ。2階はマンガ関連コーナーに代わっているらしい。

5階のミリタリー、6階の鉄道の階も一層酷くなっている。それぞれにワンフロア充ててしまったため、海外の書籍や同人を加えても場所が余ってしまっている。何せ、メジャーな雑誌のバックナンバーを平積で並べている有様だ。関連グッズコーナーも広く取ってある。最早、本屋では無く模型ショップか軍装店のようだ。心なしか、エレベータ周辺のポスターの貼り方もだらしのないアニメショップみたいで汚い。そう思って調べてみたら2011年にアニメイトの子会社になっていた。成程。

何よりも不便になったと思うのは、一般書に割く面積が大幅に減少しているため、鉄道、ミリタリー、マンガ以外の買い回りが出来ないこと。

良く見てみると、時間帯の割に客足も昔より減り、一層偏っているように思える。「これが普通の日本人が行く本屋の姿か」と皮肉を飛ばす気も起きない位、まともな本屋じゃないなぁ。

アニメイトの方針もあるだろうが、西葛西店や川口店を失ったことも、書泉社内から一般人の感覚が消え失せる遠因になってるかも知れない。まぁ、死んだ親父が通ってた頃の70年代80年代の書泉は郊外店舗など展開してなかったけれども、聞いている限りそんな本屋では無かった筈だが。

昔話はともかく、上記争議の前からいるベテランの采配のためか、独特の分類がされている書架の中から、ある研究書を発見した。これは欲しい。しかし、やはり書泉では買いたくないな、とも思った。嫌悪感を武器に右翼的・翼賛調な本を研究のため買った人にまで「加担者」のレッテルを貼って回る某御仁程ではないが、桜井誠をわざわざ応援するような書店に金を落とす気にはならない。なら書名を控えてAmazonなどで買えばいいと思われるだろうが、生憎ペンを持っていなかった。

(2)書泉とTSUTAYAで見つけた本を他の書店で買う

そこで歩いて2分も無い場所にある三省堂に行って同じ本が置いてないか探すことにした。三省堂は書泉より広く、昔からほぼ全ジャンルに強い。2014年に右翼系ジャーナリスト井上和彦の本の広告を掲げたことはあるが、過去、どちらかと言えばリベラル系も積極的に売ってきた実績を加味し、書泉よりはまだしもかということで(東京堂には、その本はなさそうだということもあった)。ペンと時間があれば、神保町以外の大型書店に行くことも出来たのだが。

店内の検索端末を使って調べた所、お目当ての本も在庫していることが分かり、一件落着。書泉で買わずに済んだ。そう言えば書泉には検索端末も無いから、利便性の面でも差が付いてきている。

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三省堂に設置された書籍検索端末。写真は大宮店のもの(ホームメイト書店リサーチより)

三省堂はコンセプト的には昔と変わらず総合書店なので買い回りが出来るのも好ポイントだった。その日は、件の研究書の他に、生活系(衣食住健康系)の本で探しているものがあった。元々、通勤ルートにあるTSUTAYAで見つけたものだ。しかし私は、TSUTAYAも武雄図書館問題以来不買しているので、都心の書店に出た時に買おうと思っていたのである。

(3)ワニブックスを止め、類似本を別の版元から選ぶ

そこで、これも検索端末で調べ、別の階に行って入手・・・する筈だったが、今度は出版社を見て渋い顔になった。版元がワニブックスだったのである。その本は期待通りの出来で原発事故の生活への影響もちゃんと反映しているのだが、ワニブックスは『民進党(笑)』とか『『日之丸街宣女子』から思いを込めて』など、ネットスラングをそのままタイトルにした小汚い煽動本、日本スゴイ本を物凄くプッシュしている出版社である。ある意味、WACより酷い。

幸いにして生活系の本であるため、内容はオンリーワンという訳では無く、何冊か同じような本が出ていた。そこで、別の本を探すことにし、出版社を変えた。代わりの本の出版社も日本スゴイブームには便乗していたが、現代の中韓でも評価を貰えるような事案(良品を売ったとか慈善事業に貢献の類)であり、悪し様に罵ることは避けているように思われた。批判的視点は大切だが、誰しもが『日本スゴイのディストピア』に匹敵する批判本を出すことは能力的に難しいということもあろう。時間の制約もあるのでこの社の本に決める。件の本の著者に罪のある話ではないが、仕事は選んで欲しいと思っている。

講談社のように右から左まで資本の論理に従って売りまくっているような総合出版社に対し、過敏に意識するかのはどうかと思うが(そういう場合は問題ある本を槍玉にする方がベストである)、書泉・TSUTAYA・ワニブックスのような、代替物が存在し選択に多様性のあるケースは、積極的に不買していきたいと感じた一日だった。勿論、三省堂が不満ならジュンク堂や紀伊国屋や地域の書店を選ぶ方法もあることも付言しておく。

2017年1月 3日 (火)

瀬川深氏の『君の名は。』批判に見る名誉白人風味の皮相性

普段政治的な不満を代弁してくれる人であっても、全ての面に同意するとは限らない。よくあることだ。

その一例が海外から日本の欠点なるものを親切に指摘する、名誉白人達である。確かに彼等の指摘する社会問題は野党支持者を中心に国内でも深刻だと考えられており、それを打開するために努力は必要である。共感出来る主張は多い。

だが、私が時たま思い出すのは、警察予備隊の創設に関わった米軍人フランク・コワルスキーの言「アメリカに心酔し、アメリカ人の気に入ろうとする日本人からは、いつも遠ざかるようにした」である(『日本再軍備』P139)。旧軍将校や一部自衛隊幹部などを指している。彼等は表向き日米友好プロパガンダに乗りながら、実際は戦中の失敗をさして省りみることも無く「日本のシビリアンコントロールは只の内務軍閥」と不平不満を言い続け、軍国主義の復活を夢想してきたからだ。

鏡のような存在を見ていても思い当たることがある。例えば、日本スゴイ番組に登場し、耳触りの良い甘言を弄する石平やケントギルバート。彼等はよく「模範的日本人像」を示すことがあるが、元々日本に住んでいる人達がそれを字義通り受け取っているとはとても思えないときがある。「心の綺麗な欧米人」をすぐ暗示する名誉白人達も、この裏返しのような存在である。

瀬川深氏は積極的に意見を発信している人士の1人だが、そういったものを感じることがあるので、今回『君の名は。』を例に書き出してみた。

監督でさえ公開間もなく公式に認めざるを得なくなった本作の裏テーマ、震災映画としての性格を全く理解していないことが伺える。以前感想をアップした時にも述べたが、『君の名は。』は時間を遡ってリプレイしている。科学の限界を超えており、未来でも実現しそうにない魔法の技術。現実には無理だと認めたのと同じなのである。道理に基づき、筋の通った住民避難では意味が無いということだ。何故ならば、この映画はそれがかなわなかった2万人を意識した作品だからである。

ついでに言えば「なんか年寄りが曖昧に語っている昔話」は、市原悦子が声を当てた祖母の事なのだろうが、壁画と大火のくだりから分かるように典型的災害伝承をモデルにしている。現実に津波伝承は災害研究で重要視されており、そこから学んで大津波を回避した実例もある。嘲笑する態度はあの東電と全く同じ姿勢と言えるだろう。

後はツイートの時系列順に沿うが、何だかなあ。

私は小林よしのりの差別主義を批判する者だが、10数年前彼の漫画に晒された辺見庸氏のことを思い出した。彼はNews23にて「左翼に興味を持ってくれない民草」を小馬鹿にしながら、その民草が熱狂しているワイドショーは「自分も面白い」と自白してしまったのだ。まぁ、洋画厨や海外ニュース厨のゴシップ根性との相性を見ていれば、当然の本音ではある。 瀬川氏のひるね姫の件も正にそれではないのかね。

そもそも、邦画の予告批判自体、虚偽に近い誇張である。2016年秋~冬にかけて10回は映画館に行ったが、予告がかかっていた邦画を思い出すと、「何者」「闇金ウシジマくん」「土竜の唄」「本能寺ホテル」「相棒」などだった。恋愛物に限っても「僕の妻と結婚してください」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」等高校生が主役ではない作品も混じっている。単に瀬川氏が女子高生に「お前は映画館に来るな」とおっさん目線で生活指導したいだけではないだろうか。

そういえば、関連してこんな評もあった。

こういった表現を眺めていると、『君の名は。』は女子高生ばかり出てくる作品に見えるが、実際には主人公格の三葉と脇役で登場する友達、名取早耶香の二人だけ。また、「ギャルゲー的描写」は確かにあるが、恋愛映画にもかかわらずべクデルテストは結果としてパスする。何故なら、女性同士の会話の大部分は宮水家および早耶香との間で行われ、男性以外の内容も多いからである。なお、男性の話題であっても「悪名を残した繭五郎の言い伝え」のような恋愛性と無縁な例もある。

フェミニストに媚びての発言だろうが、果たして邦画やシネコンで流している内容を誇張してまで、必要なことなのか。

『シン・ゴジラ』はプロパガンダとして使われるリスクを承知の上で官僚に協力を求めて製作された。動員数は注目すべきだろうが、単に現実の政府のデタラメと対比すれば虚構性を指摘することは簡単であり、情の面でもあの上から目線のために『君の名は。』やジブリ作品ほどの膾炙・浸透は果たせていない。

『君の名は。』に分かり易いプロパガンダは無いが、話の構成を震災責任を免責したい勢力に利用される可能性は警戒すべきだろう。

要するに「何で怪獣は東京ばかり襲うの」「ガンダムなんて非現実的」の輩である。ハリウッド映画にも「宇宙の音」「見えるレーザー砲弾」があり、低予算ミニシアター系も不条理な筋書き・誤魔化しは幾らでもあるのですがねぇ。

名誉白人瀬川氏の家族観が狭量であることが良く分かる。まず、一葉婆によれば宮水家は政治と距離を置いてきたため、町長選では政治力というより、箔付けとして利用したことが伺える。次に、政治家は世襲が多いが「世襲でなければ絶対ダメ」と言う程ではない。初当選した市町村長を見ていれば、大半が男性であるにも関わらず頻繁に姓が変わっていることからも、分かることだ(もちろん、私に世襲・男系を推奨する意図はない)。

また、家庭生活の乱れどころか、前科者さえ政治家にはありがちでホームラン級とは到底言えないだろう。バツ1で首相になった例もあるというのに、違法ですらないバツ1未満の別居に対する偏見は不愉快ですらある。

本質は候補者が建前と本音を使い分け、それまでの利権システムを温存する意思を持っていることだろう。『君の名は。』は冒頭でそれを明示している。

話に絡んでこないのに、瀧が片親であることに理由付けが必要なのだろうか。私も東京っ子だったが80年代時点で、当人が深刻なメンタルに陥ってる訳でもない状況で、そんなこと詮索するような空気は小学校のクラスですら希薄だった。2010年代なら尚更。大方離婚だろうが珍しくも無い。本当に親リベラルなんですかねぇこの人。

「じゃらんとかるるぶのグラビアみたい」なのは遠景の時である。映画は日常風景の描写が主体。雑然とした古民家の和室や学校もそうだし「カフェは無いのにスナックは2件もある」ような田舎のどこが「じゃらんとかるるぶのグラビアみたい」なのだろうか。脳の構造を疑う。

日常描写主体なのは震災映画として「地方にありふれている=東北にもある物」を示す必要があったからだろう。要はファーストフード化する地方とか、昭和期の評論でしばしば見かけた「どこの県庁所在地に行っても駅前が似ている」という視点と同じようなものだ。

瀬川氏によれば二十歳を過ぎた仕事を持っている、3年年の差カップルの存在が整合性を破たんさせるらしい。正に叩きのための因縁。

世の中にはクラシックも騒音扱いする者がいるが、上記も自分が理解できない音楽は全て騒音と見なす人間が一定数存在する、という一例。物凄い音量で流れていたかのようだが、実際は只のJ-POP系挿入歌である。その程度の難癖。加えて疑問なのは歌詞が映画の内容とリンクしていることがそこまで珍しいのだろうか。

それにしても、小説家が他人のヒット小説の映画版にこれでもかと唾を投げつける姿は実に見苦しい。恐らく名誉白人にありがちな、「国産映画がヒットしているから叩く」という動機からだろう。本業の医学のため(憧れの?)海外暮らしするのは勝手だが、思い込み過多な拗らせもここまで来るとちょっと。

『君の名は。』が最近のディズニー作品程PC等を意識しているとは思わない。本来は興行収入目標15億の作品であり、ギャルゲー臭は過去の作品のようなニッチ向けの名残と思われる。作品が万人向けとして受容される中では、弱点になり得るだろう。しかし、言外の目的があるか知らんが、欠点を「発明」してまで叩き続けていると、結局は自身に返ってくるだろうことは警告しておく。

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