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2014年12月の3件の記事

2014年12月28日 (日)

開閉機器メーカーの活動実態-各事故調が食い込まなかった津波対応、更新提案、カルテル-

当記事は「地震で壊れた福島原発の外部電源-各事故調は国内原発の事前予防策を取上げず」、「電力各社の原発外部電源-関電美浜・原電東海第二は開閉機器更新の実施未定-」の続編である。

前回までのまとめ:発電所の外部電源(開閉所)にはABB(空気遮断器)やGIS(ガス開閉装置)などの形式があり、福島第一では耐震性に劣るABBを使っていた為地震で破壊されてしまった。GISはABBよりは耐震性に優れている。事故前にGISへ予防更新した電力会社がある反面、東電福島の他原電東海第二、関電美浜など未だに更新していない原発もある。

これまでは電力側の経緯ばかり見てきたが、メーカーの対応はどうだったのだろうか。今回は、事故調が報告しなかった点も意識しつつ、そこを研究してみた。

【開閉機器の津波対策は1980年代には確立済み】

敷地高を提示するのは電力会社や地質を専門とする土木系コンサルタントであり、地震対策はともかく、直感的には津波想定の不備を電機メーカーに求めることは難しいように思える。しかし、次のような事実はもっと知られるべきだろう。

以前の記事で、私は原子力安全・保安院の報告から開閉機器の問題を引用したが、そこには次の一文があった。

○(社)電気協同研究会による遮断器の耐震性能調査によると、タンク型遮断器(ガス絶縁開閉装置 (GIS)等)は、がいし型遮断器(気中遮断器(ABB等)等)に比べて耐震性能が高いとの結果が得られている。

原子力発電所の外部電源に係る状況について」原子力安全・保安院 2011年10月24日

この件を保安院が発見できたのは電気協同研究会が年数回研究誌『電気協同研究』を発行し、工学系大学でも受入するような対外活動を継続していたからと思われる。『電気協同研究』は主に水力、変電、送配電機器を対象とし、毎号数十ページに亘る研究記事を掲載しており、メーカーからの主体的な姿勢が見られる。なお、遮断器の耐震性能調査が最初に行われたのは1970年代後半のことであった。

しかし、3・4号機開閉所が津波で被水したにも関わらず、保安院は『電気協同研究』にて下記の対策が常識化したものとして掲載されていたことには触れていない。保安院だけではなく、各事故調も同じである。

3-1-1 水害対策の考え方
変電所は基本的には水害対策が不要な地点を選定するが、立地条件の制約などから水害のおそれのある地点となる場合は、山地、平野においては洪水、山くずれ等、感潮地域においては、洪水、高潮等、海岸地域においては高潮、津波等の現象を十分把握して対策する必要がある。

「変電所防災の実効策」『電気協同研究』No.40Vol.5 1985年P26

「水害対策の考え方と具体的事例」という表から津波について抜粋してみよう。

高潮・津波
対策の考え方:
〇計画潮位以上または過去の最大潮位(台風時)以上の敷地地盤高さとする。
〇敷地地盤高さが上記値以上にできない場合や局地的浸水などにより被水する恐れのある場合は機器や建物で対策を行う。

具体的対策例:
(1)敷地の嵩上げ
(2)機器の対策
 〇基礎の嵩上げまたは高架台化
 〇操作部の嵩上げ
 〇GIS化
(3)建物の対策
 〇防水扉
 〇角落し
 〇防水壁
 〇ケーブル類引込口の防水処理
 〇ケーブル類引込口の嵩上げ
 〇排水設備(ポンプ容量は過去の実績より算出)
 〇排水管の逆流防止設備(ストップ弁)

変電所防災の実効策」『電気協同研究』No.40Vol.5 1985年P26

電気協同研究の記事は幅広い災害のパターンを想定しており、雪害の場合も頁を割いているが高架台化などは津波の他雪害にも有効であることを教えている。

Denkikyodo1985_no40vol5_p27 「変電所防災の実効策」『電気協同研究』No.40Vol.5 1985年P27より高架台に載ったキュービクル

また、電気協同研究会が記事作成に当たり電力各社に実施した調査によれば、敷地高は既往最大の高潮・津波以上としていたという。一方、歴史津波の調査が進展したり、既往の事例は無いが地震学の観点から今後発生し得る最大津波をも想定に入れた場合などには、想定値が更新される。この対応が問題となったのが福島だが、想定津波が大きくなっても対処法は1980年代には確立していたのが実態であった。

大津波の想定を行った時点で福島第一の開閉機器は更新期を迎えていた。前回記事の九州電力回答を参考にすると、陳腐化した設備を維持し続けた場合、コストパフォーマンスすら予防更新より劣っていた可能性がある。そうであれば、設備更新に合わせて高架台化程度は実施しておくのが筋だったろう。

実は、最近の知見を活用して津波被害を回避した開閉設備の事例がある。

東北電力八戸変電所は津波ハザードマップを作成した際、浸水が予想されたため、架台にGIS機器を載せていた。

Tohoku_20110928_hatinohe 出典:「設備被害の状況分析について(火力発電、流通、配電設備) 参考資料集」東北電力株式会社平成23年9月28日(本文はこちら

この事例が有名にならなかったのは、「設備被害の状況分析について(火力発電、流通、配電設備)」で区分されたからであり、報告は2011年秋にはなされていた。八戸変電所は流通設備に区分されたのだろうが、同様の機器は原発にも設けられる。

なお、東北電力が経済産業省に提出した資料ではGISの製造元、設置年は書かれていないが、次に述べる日立製作所の工場史と照合することで明らかとなる。

図2-43は津波対策かさ上げ架台上に設置となる仕様であったため、耐震解析による設計検証ならびに架台の地元発注により顧客ニーズに答えた12回線の大形受注であった。

以上(注:他にも注力した案件の説明があるが割愛)による実績の積上げ、顧客ニーズへの積極対応、また、営業・技術の絶大なるバックアップにより、2005年(平成17年)(納入)会津変電所12回線ならびに2007年(平成19年)(納入予定)南仙台変電所10回線他、2変電所(従来形への新形増設)を受注することができた。

Kokubu50nen_p104_fig243
「第2章 遮断器 3.2 168kV GIS」『国分ものづくり半世紀』2007年P103-104

経済産業省に提出した資料の作り方も相変わらず問題であると言えるだろう。経緯解明の妨害にしかなっていない。2003年なら福島第一の津波想定問題と同時期である。

八戸変電所の事例を通じ、少なくとも日立にはハザードマップ利用の経験も蓄積されたはずで、それを他でも活用するのは当然の発想と言えるだろう。

地震の他、津波に対しても対処法があったのが分かったところで、次節ではメーカーの視点を軸に述べていく。

【日立製作所にみるメーカー側の更新提案活動】

開閉設備のメーカーが事故調からほぼ見逃されてきたのは、官僚や一部技術者による意図的な無視を除くと、次のような理由による。

  • 電気機器の寿命は20年以下を想定しているケースが多く、予防保全更新の機会を経ていることが知られていない
  • 政府事故調は畑村洋太郎の意向により「責任を追及しない」方針を立てた結果、報告書ではメーカー側の調査報告がおざなりとなった
  • 各電力が最終納入者(一次コントラクター、主幹会社)の名前で納入されたことのみを回答し、詳細を商業機密の名の元に隠しているため

予防保全で更新需要があるところがポイントだ。日立製作所の変電機器製造拠点であった国分工場(現国分事業所)は興味深い記録を残している。

2.1 電力会社への展開
(1)電力会社に対しては、まず本店で予防保全キャンペーンを実施し、その後保守担当者の所属する電力所ベースで健全性点検を含め実施。

(2)健全性点検は187kV以上の機器に対しては1回/年、154kV以下の機器に対しては1回/3年の頻度で実施。その後、1995年度(平成 7年)より500kVは1回/年、275kVは1回/2年、187kV以下は1回/3年の頻度で実施し、1998年度(平成10年度)にて終了した。

2.2 一般産業会社への展開

(中略)2006年(平成18年)4月から納入後約30年以上を経過する約440サイトの再訪問を展開中である。

一般に電力会社の場合には設備改善に対する認識は高く、計画的に予算をとり実施されている。しかし電機一般産業の場合は設備保守担当者の理解が得られても、上層部の受変電設備の改善に対する認識が低く、生産設備に対し高い関心を示す傾向がある。

このような傾向を打開するため、トップダウンによる予防保全セミナで顧客の保全意識改革を図るとともに、顧客担当者の意向を健全性点検結果に反映さ せ営業、事業部、SSセンタと一体で既納設備の事故未然防止のための設備改善、老朽設備のリプレースモダニ更新提案活動を展開した。

「第10章 品質保証 第5節 予防保全サービス活動」『国分ものづくり半世紀』2007年

中国電力島根1号のような例は確かに「設備改善に対する認識は高い」好例であるだろう。では、何故この記述者は「一般に」と前置きしたかと言えば、東電原子力部門や原電東海第二のような事例があるからだろう。東電は既納品の保守は五月蠅いかも知れないが、更新提案を示されても引き伸ばしていたのだろう。場合によっては「手間のかかる既納品の保守」という仕事を残すことで地元に雇用を与えたつもりになっていたことも考えられる。1990年代末以降、定期検査の合理化によって地元への雇用効果は以前ほどは無くなっており、雇用不安の声に別の形で応える必要はあったためだ。

なお、微細な部分まで拘る方は2.1に更新提案活動が記載されていないことを以ってそのような活動をしていないと主張するかも知れないが、GISに関しては当該機器のページで発電所向けに活動を行っていたことが記載されている。

2000年(平成12年)からは、72~168kVGISと同様に顧客の最大ニーズであるコストダウンに対応するため、大幅な構造変更による開発を推進した。

(中略)GIS-CBの上部に主母線を配置する形の、これまでにない斬新な構成により、大幅な縮小化を達成した。初号器を以下に納入済みであるが、今後遮断器を輸出362kVと共用とし、さらなるコスト低減を図る予定である。現在リプレース案件の取込み活動を推進中であり、特に日立超高圧GIS初号器である九州電力(株)川内発電所へご採用いただけるよう活動中である。

「第2章 遮断器 3.3 300kV GIS(240kV GIS共用) 」『国分ものづくり半世紀』2007年P105

福島第一で多用されている275kV機器は電圧階級的に同レベルなので、当然同様の活動を行ったものと思われる。

最近、政府事故調査委員会ヒアリング記録(第3回)が公開されたが、私が気になったのは、日立の技術者達が証言した際、持参した計装機器の参考資料がメーカーカタログであったことだ。実際にはもっと詳細な納入仕様書を要求、電力に提出している可能性がある。問題になるスペックなどは詳細資料にのみ書かれていることもあるだろう。カタログは可読性の面では有用だが、このような資料を持参してきたことに疑問を持たない時点で、聴取側の能力に疑問符が付くのである。

ヒアリング記録公開の例は今回の記事に関係しないが、メーカーから引き出すべき情報を如何にして着想し、リストするか、という問題としては一脈通じるものがある。日立が行っていた活動は私にとっては予想の範囲内だったが、世間一般にはそうではない人の方が多いのではないかと思う。今後の事故調査および訴訟に当たっては、各原発サイトに対する日立、東芝、三菱、明電舎等の開閉機器更新提案活動の記録開示も必要と思われる。

なお、日立に関しては更新提案を受注した場合の対応余力は十二分にあったと判断出来る。

1995年(平成7年)には(中略)為替レートはついに1ドル80円台に突入するなど、社会的にも経済的にも未曾有の事態となった。さらに期待された景気の回復は実現しなかった。また、円高や価格破壊により受注環境は悪化し、上期の受注高月額105億円であったが、下期の受注高は月額98億円とついに100億円の大台を割ってしまった。

1996年(平成8年)の景気は依然として回復への軌道には乗れずに厳しい状況であった。上期は受注高月額102億円、発送高月額98億円で下期は受注高月額103億円、発送高月額95億円となり、ついに発送高については年度としても月額100億円を割るといった事態になり、状況はますます悪化の一途をたどった。

1997年(平成9年)の日本経済は一進一退を繰り返しながら穏やかな景気回復基調にあったが、政府の公共投資抑制策および4月からの消費税引き上げ、さらには複数の金融機関の経営問題から景気が冷え込む事態となった。このため、上期は受 注高月額101億円であったが、下期には受注高月額90億円と大幅に落ち込み、100億円事業所の座からの転落が現実のものとなった。

1998年(平成10年)の日本経済は金融機関の経営に対する信頼の低下、雇用不安などが重なって、家計や企業のマインドが冷え込み、消費、設備投資、住宅投資といった最終需要が減少するなど、きわめて厳しい状況となった。(中略)このような景気の落ち込みに加え、市場環境の著しい変化および製品ニーズの多様化の動きもあり、(電力本)としてはオイルショック以来の23年振りの赤字予算を組まざるを得ない状況となった。

1999年(平成11年)の日本経済は前年11月に緊急経済対策を決定し、財政、税制、金融、法制のあらゆる分野の施策を総動員して金融危機、経済不況の克服に取り組んだが、民需の回復力は未だ弱く、(中略)国分工場は1998年度については紀伊水道直流連系などの過去の大口受注品売上もあり、収益の確保を実現できたが、1999年度以降は売上高が激減することより、痛みを伴う軽量化が待ったなしの状況となっていた。

「沿革編」『国分ものづくり半世紀』2007年 P24~26より抜粋

「第5章 総務」にはこんな記述もある。

1991年(平成3年)以降バブル崩壊とともに景気は不況局面に入り賃上げ率は2~3%台で推移し、2002年(平成14年)から2005年(平成17年)までは賃金体系の維持(ベアなし)となった。

「第5章 総務 」『国分ものづくり半世紀』2007年

その他、同書の従業員数、出荷額等全ての指標が、1990年代後半以降工場の生産力に余剰が生じ、引き合いの獲得に苦労していたことを示している。特に、島根1号機でGISを予防更新してから2年程経った1999年の12月は最悪で、「休業5日発生」と記載されている。工場の操業を早々に切り上げ、年末休みの拡大を行ったものと思われる。

開閉機器の出荷額減少は国内の電力設備増強が一巡したなどの時代的な要因とメーカー各社の競争力と言う要因が混ざっている。時代的な要因は業界に共通するので他社も生産力には余裕があった可能性がある。その一例として、『国分ものづくり半世紀』によると三菱は2005年までの一時期、東芝の製造設備を利用する形で技術提携していたという。他社の能力はともかく余剰生産力をフイにしたのが東電で、利用したのが予防更新を行った電力各社と言うことだ。

老朽原発サイトは2011年時点で納入から30年以上経過した開閉機器が多い。以前の保安院資料で見た通り、福島第一や新福島変電所はそれに当て嵌まる。従って、メーカーによる積極的な更新提案活動の記録は、メーカー側には有利に働くことも考えられる。

では、メーカー側に取って不利な事実とは何だろうか。

【更新機器は製造物責任法施行後に納入】

追記:15/1/22

この節の論を書く前に大事なことを書き忘れていたがPL法が制定された際も、原賠法で原子炉の瑕疵が製造物責任から除外されていることは知っている(第138回 原子炉メーカーの製造物責任)。

ただ、ここで疑問なのは外部電源のような周辺設備の扱い。制度の趣旨や過度の判官贔屓である日本の司法制度から考えると、やっぱり除外されるんだろうとは思う。原産協会は損害の様態について解説ページを載せているが、地震のケースにはめようとするだろう(原賠法適用の条件と原子力損害の形態)。

しかし、自民党政権が何時までも力を得ているとも限らない。グレーゾーンの設備損傷が引き金の場合、他の政権であれば解釈を検討してからある程度責を負わせるかもしれない。また、この規定の問題点を指摘するためにメーカー訴訟を行っている反対運動団体もある(原発メーカー訴訟とは?)。

ただし、原賠法を解釈変更するなどの対応を通したとしても、まだ問題はあるように感じた。鬼が笑うような話だが、一読頂きたい。

アメリカでは製造物責任法(PL法)は1960年代から発達し、近年の訴訟では社内メールまで保全開示が要求されている。一方で、日本での法制化は1990年代の事であり、アメリカに比較するとまだ発展途上である。法の不遡及原則から言えば、福島第一建設期はPL法でカバーすることができない。カバーし得るのは建設時の契約書であり内容を再検証する必要があるが、商業機密として通常は開示されていない。

だが、予防更新を行った部位に関しては(原賠法を考えなければ)PL法の範囲に包含される可能性がある。最近、某社に就職した同窓と飲みに行った際に聞いたことだが、アメリカでは真空遮断器の交換時の不具合で発電所所員に死者を出した案件があり、製造元の重電メーカーは警告義務違反で訴えられたとのことだ。

そのような事例がある以上、開閉所、配電盤、非常用電源の予防更新に関する再検証は必須と言えるだろう。何せ、前回紹介した桜井淳『日本「原子力ムラ」惨状記』その他に記されているように圧力容器と建屋以外の全ての部位は更新を受けているのだから。

【カルテルによる需給調整、機会喪失】

この件についてJETROは興味深いレポートをまとめている。

07年1月24日、欧州委員会は、ガス絶縁開閉装置(GIS)の市場でカルテルを結んでいたとして、日本企業を含む11企業グループに対し、総額約7億5,000万ユーロ(1ユーロは155円)の支払いを命じた。11社はABB、アルストム、アレバ、富士電機、日立製作所、日本AEパワーシステムズ、三菱電機、シュネデール、シーメンス、東芝、VAテックである。

(中略)本件は、関与企業の1社であるABBが自首減免(リニエンシー)制度を通じて通報を行ったことが摘発のきっかけとなった。欧州委員会はABBが提供した多数の内部資料や企業情報、抜き打ち査察で押収した資料に基づき制裁を決めたが、決定的証拠として88年に関与企業間で交わされたカルテルの合意書2点が見つかっており、カルテルの存続期間全体にわたる証拠資料は約2万5,000ページに及んでいる。

EU側のカルテル関与企業は、88年から04年にかけて、調達入札の不正操作、価格固定、プロジェクトの受注割当、市場分割、機密情報の交換などを行っていた。受注するプロジェクトを各社間で割り当て、これに応じてプロジェクトを受注できるよう入札調整を行っており、事前に最低入札価格を合意するケースもあった。方針や戦略は管理職レベルで定期的な会合を持って決められ、プロジェクトの割当や偽造入札の準備などの実務は下位レベルで行われていた。また、連絡を取り 合う場合は、企業や個人を特定できないようコード名を使用し、Eメールも暗号化して会社や自宅のほか、すぐに個人との関連が分かるようなコンピューターから受送信することは固く禁じられていた。こういった周到さを欧州委員会は悪質とし、違反の重大性と結びつけた。

このケースで制裁金を科された日本企業5社は、実際には偽造入札や価格操作には参加しておらず、欧州では88~04年の当該製品納入実績もほとんどないと されている。それにもかかわらず、欧州委員会が巨額の制裁金を科したのは、同カルテルでは「日本企業は欧州での入札を手控え、欧州企業は日本市場に参入しない」という合意があったと判断したためである。日本企業が合意の上でEU市場に参入しなかったこと自体が国際的カルテルへの参加であり、本来ならばEU市場に生じていたはずの競争の阻害に加担した日本企業の罪は重いとみなされた。

EUにおける最近のカルテル制裁の動向」『ユーロトレンド』2007年4月

典型的な利益相反行為である。

『国分ものづくり半世紀』は2006年度までを対象としていることもあるようだが、発行は2007年5月なので制裁決定後である。同書は技術的な瑕疵なども本音ベースで記述するなど社史としては極めて良心的であることは強調しておく(同業他社にはパンフレットレベルで済ませているケースもある。一例は『東芝府中工場50年史』で配電盤に関する記述は数ページの図絵のみ。)が、本件には触れていない。

上記の通り、カルテルが1988年から2005年までの長期にわたり存続した結果、GISで国外メーカーが日本市場に参入することは無かった。このことは、海外企業による防災への視点を電力に意識させることも妨害したと言える。まだ私は調査し切れていないが、政府事故調関係者や奈良林氏が盛んに宣伝している津波対策の海外事例などと同じような、「有用な先進事例」が存在していた場合、このカルテルは海外技術の取り込みを妨害した形で、直接的に事故の遠因となるだろう。また、東電のような大型の顧客に関する類似の情報交換が無かったかどうかも検証する必要がある。カルテルによる需給調整で更新が延ばされている場合などが想定し得るからである。

なお、欧州委員会は2009年にも変圧器の市場分割カルテルを指摘している(「欧州委員会,市場分割カルテルを行った電圧変圧器メーカーに総額約6760万ユーロの制裁金を賦課」『公正取引』2009年12月 )。

原発事故後、反対派は無論の事、東谷暁氏のようなコテコテの推進派人士からもメーカー責任を問う声があったことを思い出す。推進派なら原賠法を盾に議論すら忌避するだろうが、予防更新という課題に対して電力・メーカーがどのように対応したのかは興味深い。メーカー側が様々なリスクを明示して提案を行っていた場合には、責任の所在はそれらを無視した電力側に傾く。逆に上記のカルテルのようなものに規制官庁や電力側が加担し、能力・知見のあるメーカーを活用することが出来ない状況が作られていた場合には、カルテルに関与したメーカーの責任は重いだろう。

社会に出て最初の数年間、日立の原子力部門に在籍したことのある大前研一氏は、「究極の事故原因は外部電源がすべて崩壊したことだ」の一言で片づけ、『原発再稼働 最後の条件』でも外部電源について碌な分析が無かった。これらの不作為に対してどのように答えるのだろうか。まぁ、例え著名人から同様の問いかけが為されても、無視するだろうが、どんな手段を用いてでも聞いてみたいとも思う。

電力各社の原発外部電源-関電美浜・原電東海第二は開閉機器更新の実施未定-

当記事は「地震で壊れた福島原発の外部電源-各事故調は国内原発の事前予防策を取上げず」の続編である。

前回記事まとめ:発電所の外部電源(開閉所)にはABB(空気遮断器)やGIS(ガス開閉装置)などの形式があり、福島第一では耐震性に劣るABBを使っていた為地震で破壊されてしまった。GISはABBより耐震性に優れ、1980年代半ばより主流となっている。

今回もこの問題に焦点を当てる。

【桜井淳氏の間違い-電力会社による違いはある-】

ところで、原研出身の技術評論家、桜井淳氏はテーマによっては自己の経験とオリジナリティある調査に基づいた鋭い指摘を行うが、逆に的外れな指摘も目立つ。

近著では、次のような言葉が気になった。

4 吉岡斉発言の虚構性

吉岡斉さん(九州大学教授、科学技術政策専攻)は、民間事故調査委員会の聞き取りに対し、「東電の安全対策は他社と比べて最低ラインでやっている」(福島原発事故独立検証委員会「調査・検証報告書」三一八頁)と指摘していますが、事故後の印象を主観的に表現しているだけで、客観性は、まったくありません。

なぜかと言えば、日本の原子力は、具体的には、九電力会社による原子力発電では、電気事業連合会(電事連)を中心とし、「横並び主義」を貫徹しているからです。ですから、特定の電力会社がよくて、特定の電力会社が悪いということは、絶対にありません。もし、悪いのであれば、全部悪いのです。

日本「原子力ムラ」惨状記』(2014年)P207-208

同書は他書に無い新事実を含む意欲的な内容でもあるが、この点では桜井氏の認識は間違いで、吉岡氏のコメントは事実を反映したものである。今回は以前の記事の続編として、外部電源を例に各社の対応に差があることを示し、併せて原発事故から3年半の間にまともな対策を行わなかった原電東海第二のような「悪しき例」を紹介する。

私は、電力会社による性格の差を認めた上で、脱原発を進めていくような考え方が採られるべきだと思う。簡単に言えば、旧ソ連のような極端に危険性の高い原発を運転する例は論外として、ある程度の対策を施したとしても、僅かな残余のリスクが大きな社会的損失に繋がるから、原子力は廃止するべきであるとか、九電力の安全対策の質にはばらつきがあり、いい加減な認識でお茶を濁す不穏分子が主導する会社は確率論的にゼロに出来ないといった認識である。

桜井氏のような「皆が悪かった」という議論は過去の戦争・事故でもしばしば見られたが、責任にはウェイトがあるので使わない方が良い。実際には利害関係者や要路の責任を免責する根拠に使われることが多いからである。余談だが武田徹も同種の屁理屈を弄する上に、桜井氏より悪質なのは証言者の多くを匿名化していることで、ルポタージュとしての価値が殆ど無い。気分だけを高揚させる駄本と言ってよい。

さて、外部電源の耐震問題に入る前に事故前から、耐震全般の姿勢に差があったことを示す。下記の日経産業新聞記事である。

特に現在の耐震指針(注:1978年制定のものを指す)策ができる前に作られ、東海地震時の危険性が絶えず指摘されていた浜岡1、2号機は〇八年三月まで運転を止めて補強する計画。珠洲原発(石川県珠洲市)の計画凍結や浜岡5号機の運転開始で、財務と電力供給の両面で見通しが得られたことなどを理由にしている。

東京電力のある幹部は「発電を三年近く止めたうえ百億円単位の資金を投じるのは電力自由化が進む今、大変な経営判断だと思う」と評価。その一方で「当社は原発の基数が多いし、耐震には十分な余裕があるから…」と言葉を濁す。

「原発安全再構築<上> 耐震指針見直し リスクの算出巡り迷走」『日経産業新聞』2005年2月15日8面

次の記事は続報的な位置にあり、更に詳しい。

急ぐべきか、急がざるべきか―。新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の耐震補強工事を巡り、東京電力はそんなハムレットの心境に陥るかもしれない。想定を上回る揺れを受けた同原発は、国が昨年改訂した新耐震指針に基づく耐震性評価が先決。ただ、その結果待ちでは工事着手は遅くなる。「まず補強ありき」で臨んだ中部電力浜岡原発方式も時間短縮の手法として浮上するが、電力業界の「盟主」としての立場が東電の判断を難しくしている。

(中略:中越沖地震による柏崎刈羽停止で)赤字転落の可能性すら出てきた東電と、温暖化ガス削減計画に暗雲が立ち込める政府。(中略)運転再開までのオーソドックスな手順はこうだ。まず耐震性再評価を通じ、各原発ごとに設計の基準となる地震動を改めて策定。その地震動に耐えられるよう必要なら補強工事をする。

想定外の揺れに見舞われた柏崎刈羽は何らかの補強工事は不回避。地元住民の不安を考慮し、補強が終わるまで再稼働の合意が得られない可能性も高い。そうなれば運転再開がいつになるのか見当もつかない。

そこで考えられる「変化球」が「浜岡方式」。東海地震の想定震源域上にある浜岡は指針改訂前の〇五年、いち早く工事に着手。もともと岩盤上で六百ガルを前提にしていた耐震性を、千ガルでも耐え得るよう補強に取り組む。

浜岡の場合、新指針に沿う基準地震動は八百ガルで千ガルあれば十分なことも確認済み。あらかじめ大幅なのりしろを見込んだ分、工事費がかさむが、東電にとっても耐震評価の結果を待って工事に着手するより、運転再開には近道と言える。

(中略)先月二十日の記者会見で浜岡方式を選択する可能性を示唆した勝俣社長の胸中を、ある東電幹部は「言い方は悪いが、カネに糸目をつける気はない」と代弁する。

ただ中部電と東電では置かれた状況が違う。

例えば実効性。浜岡は工事のためには運転停止せず、定期検査時に計画的に工事を進めてきた。同社にとって唯一の原発であり、全面停止すれば経営に致命傷となるという判断からだが、すでに停止している柏崎刈羽にはこの利点はない。

想定する地震動も課題だ。(中略)起こりえないはずの地震が起きてしまった柏崎刈羽の場合は「仮に千ガルでやりますと言っても、それで十分かと言われると反論できない」(東電役員)

何よりも中部電と東電の影響力の違いがある。「業界の三男坊」の中部電と違い、盟主・東電が補強工事に見切り発車すれば、それが業界標準となる。「糸目はつけない」投資は、他の地方電力には重くのしかかる。

「東電の立場を考慮すれば、説明責任を果たせないような拙速な補強は避けるべき」。ある東電の技術系OBは浜岡方式への追従を「急がば回れ」と戒める。

高橋徹「原発耐震補強 迷う東電」『日経産業新聞』2007年8月21日32面

このブログでは何時も書いていることだが、良い情報源は自分の立場と反対のものでも使い倒すことが大切である。日経産業新聞の記事は高橋徹記者の正しい問題意識も感じられる。民間事故調は他の事故調と同じく資料を軽んじ後取り証言ばかり採用する傾向があったので、吉岡斉氏に対しても聞き取りだけで終わらせてしまった。桜井氏の指摘は誤っているが、事故調に疑問を感じたことまでは誤っているとは言えない。

なお、日経産業新聞の記事に不足していたのは東電が引き伸ばし戦術を採ることで却って経費を浪費し、他の対策を後手に回す心理的な背景になったこと、財務状況や業界での立ち位置と無関係に災害はやって来ることなどのマイナス面に触れていない事である。「内輪の盟主論」と東電OBの戒めとの間に関連性も見いだせない。しかし、これ以上は今回のテーマから外れるのでこれ以上の突っ込みは止めておく。

問題提起だけではただのケチ付けとなってしまうので好例も示すが、薬師寺克行氏は政治家のオーラルヒストリーへの参加に当たって当人から証言を引き出すだけではなく、新聞の過去記事検索で事実関係の整合性をチェックしていた。各事故調に欠けていたのはこのような裏取の姿勢であり、脚注での補足などはもっと充実していた方が良かった。どうせPDFファイルやHTMLならクリック一つで本文と注を行き来出来るのだから。

畑村の方法を悪用して責任の所在を曖昧にした政府事故調を除く各事故調は、上記のような「時制上」決定的なソースを採用しなかったことで東電の責任論に踏み込めなかった。今後の責任論争に当たっては是非参考にして欲しい。

【各原発サイトのGIS採用状況】

会社間の相違はあることは再認識した。さて、対象を外部電源に絞った場合については実は、どこの事故調も調べ切れていない。各事故調の構成はどれも似たところがあり、地震対策や津波対策については事故前の経緯がそれなりに時系列化されている。しかし、福島事故で露呈した全ての問題点に対して事故前の経緯が書かれている訳ではない。単に科学的な因果関係の記述に留まっている場合も多い。外部電源もその一つであることは前回記事で触れ、予防更新の事例が各事故調では掬い上げられていない事実を再発見した。

この傾向は現在でも継続しており「福島第一原子力発電所事故に対する 前兆事象の検討」(『JAEA-Review 2014-031』)でも各事故調・初期2年程のメディア報道で報告された事象の取りまとめレベルに留まっている。確かに、予防更新は前兆事象とはいい難く、著者の渡邉憲夫氏も今後の可能性に含みは持たせているが、同論文の主題である「学ぶべきであった教訓や知見」という点からは、当ブログのようなアプローチも有用だろう。

ここで、新たな疑問が沸いてくる。一つは、事故前にABBを採用していた原発はどの程度予防更新されていたのか、ということ。もう一つは、仮に事故時点でABBのままだった場合、この3年半余りでどの程度の改善が見られたのか、ということである。

さて、事故前の開閉所について簡単に確認しておこう。下記は『火力・原子力発電所土木構造物の設計(増補改訂版)』(1995年)に掲載された、当時比較的経年の若い発電所の開閉設備一覧である。

前回記事でABBに拘った東電が柏崎刈羽以降はGISに移行したことを示したが、この表を見ても分かる通り、1980年代後半以降の新設炉は全電力がGISに移行していると考えられる。

Karyokugensiryokudoboku1995kaihei 「表20-4-1 開閉所の所要面積(実績)」『火力原子力発電所土木構造物の設計(増補改訂版)』1995年P975

上表は一部サイトのみを抽出しており不完全なのが玉に傷だが、この時点でGIS設備を採用していなかった原子力プラントは下記と分かる。

・中部電力:浜岡(275kV回線)
・北陸電力:志賀1号機
・中国電力:島根1号機
・九州電力:玄海1,2号機
・日本原子力発電:東海第二

一方、北海道電力泊発電所、東北電力女川原子力発電所、関西電力大飯発電所、九州電力川内原子力発電所は1号機からGIS化されている。

また、前回ブログ記事を読めば分かるように、東京電力は福島第一、福島第二の275kV,500kV全回線がGIS化されないまま東日本大震災に至ったが、柏崎刈羽原子力発電所は全回線GIS化されている。

1995年以降のサイト条件の変化は主に3つある。
・1995年時点で存在していなかった東通原子力発電所が加わったこと
・各サイトで増設機が運開しその外部電源設備も増設されたこと。例えば、浜岡5号機の増設に伴い、第二浜岡幹線(500kV2回線)が増設された。
・浜岡1,2号機の廃炉。これにより同サイトからABBの開閉所は無くなった。

【電力各社の旧式開閉設備更新状況を聞いてみた】

さて、震災直後2011年、旧原子力安全・保安院は開閉設備の再評価を命じたため、各社は関連するリリースを出している。しかし、予防更新についての情報は無い。

上表でGIS化されていなかったプラントを中心として、現在の状況を探るため、各社に次のような質問メールを送付し、回答を得た(強調は筆者)。

【北陸電力】

1)
御社の場合、志賀1号機が新設時GISではなかったと思います
(過去の『電力土木』文献による)。
http://www.rikuden.co.jp/press/attach/12092802.pdf
上記を読むと志賀1号機を含めGISとなっているようですが、予防更新
されたのでしょうか。
出来ましたら更新時期を含め回答ください。

【回答】
過去の『電力土木』文献は確認できませんでしたが、
志賀1号機は、運転開始時からGISを使用しています。
志賀2号機も同様に、運転開始時からGISを使用しています。

2)変圧器もブッシングなどが弱点ですが、耐震性強化の更新または
改造を東日本大震災前に講じておられたでしょうか。

【回答】
志賀原子力発電所の変圧器については,建設時より日本電気協会
「変電所等にける電気設備の耐震設計指針」に基づき設計,製作
しており,必要な耐震性を有しています。

(2014年12月3日:北陸電力回答メール)

【関西電力】

1)建設時、美浜・高浜がABB/GCBのいずれを採用していたのか御回答お願いします。

【回答】
美浜発電所・・・1~3号機全て、気中(ガス)。
高浜発電所・・・1,2号機は、気中(ガス)、3,4号機はGIS。

2)下記のリリースによると東日本大震災直後にもかかわらず高浜は全機、美浜3号機がGISとなっています。
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2012/__icsFiles/afieldfile/2012/02/17/0217_4j_02.pdf

東日本大震災発生前、予防更新でGISに替わっていたのでしょうか。
出来ましたら更新時期を含め回答ください。

【回答】
美浜発電所・・・東日本大震災発生前後に、GISに更新している部位もございます。
高浜発電所・・・東日本大震災発生前に、GISに更新しております。
大飯発電所・・・建設時よりGIS設備となっております。

3)美浜はGCBが残っているようですが、GIS更新計画がありましたらご回答願います。
【回答】
申し訳ございませんが、今後の設備計画につきましてはお答えいたしかねます。
(2014年12月10日:関西電力回答メール)

【中国電力】

GISに関して、政府、国会、原子力学会、東電等の事故調から聞き取りなどはありましたでしょうか。

→事故調査委員会は,福島第一原子力発電所の事故の原因や再発防止策を低減するために設置されたものと認識していることから,ご質問の趣旨が分かりかねますが,当社としてはこれらの報告書も含め,新たな知見が反映された新規制基準をクリアするだけでなく,さらなる安全性向上に取り組んでまいります。

(2014年11月17日:中国電力回答メール)

【四国電力】(2017年2月13日追記)

福島第一原発事故とその対策についてお聞きします。

外部電源が破壊された一因としてGIS化されていなかったことが保安院に指摘されて
います。
一方で、同業他社では1990年代の予防保全時にABBから更新したところがあります。

さて、御社では伊方1、2号機が比較的早期に建設されたと思います。

これらの開閉設備は当初からGISだったのでしょうか。そうではなくABB等であった
場合、予防更新されたのでしょうか。出来ましたら更新時期を含め回答ください。

【回答】
伊方発電所1,2号機のGIS化前の遮断器は、GCBでしたが、
設備の予防保全的な観点から、
1号機については、22回定期検査時(H16.9~H17.3)、
2号機については、17回定期検査時(H16.4~H16.8)に
GISに更新しております。

(2015年2月13日:四国電力回答メール)

【九州電力】

福島第一原発事故とその対策についてお聞きします。

外部電源が破壊された一因としてGIS化されていなかったことが保安院に指摘されています。一方で、同業他社では1990年代の予防保全時にABBから更新したところがあります。

1)御社の場合、玄海1,2号機が新設時GISではなかったと思います(過去の『電力土木』文献による)。

http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/nuclear/nuclear_notice120928.pdf

上記を読むと玄海1,2号機はGISとなっていますが、予防更新されたのでしょうか。出来ましたら更新時期を含め回答ください。

2)変圧器もブッシングなどが弱点ですが、耐震性強化の更新または改造を東日本大震災前に講じておられたでしょうか。

【回答】
(1)について
玄海1,2号機の220kVの開閉所については、1号機が平成21年度に、2号機が平成20年度にGISへの更新が完了しています。

また、1,2号機で共用としている66kVの開閉所についても、平成21年度にGISへの更新が完了しています。これは、保守用部品の調達が難しくなること、設備の信頼性向上の観点から予防保全更新を行ったものです。

なお、66kVの開閉所については、外部電源の信頼性確保対策として実施した予備変圧器の高台設置にあわせて、平成25年度に新たなGISへの更新が完了しています。

(2)について

変圧器等の電気設備につきましては、従来よりJEAG5003「変電所等における電気設備の耐震設計指針」に基づく耐震設計をしております。

なお、平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震に伴う柏崎刈羽原子力発電所3号機の変圧器火災が発生した事象では、変圧器の基礎部の沈下による油漏れが原因であったため、玄海の変圧器の基礎構造を調査し、沈下等を起こしにくい構造であることを確認しています。

(2014年12月8日:九州電力回答メール)

【日本原子力発電】

原子力関係で1点質問させていただきます。

御社では敦賀1号、東海第二など日本の原子力開発初期に建設されたプラントがあります。これらの外部電源は建設時いずれも気中開閉式(ABB)の機器を使用しておりガス開閉装置(GIS)ではなかったようです。

http://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/800/28/001/1-3-1.pdf

一方上記旧保安院の報告ではABB系の機器は耐震性が脆弱とのことで、GISへの更新を推奨しています。

御社の原発の開閉所、また最初に接続する一次変電所にてGISへの更新は実施していますでしょうか。

【当社発電所の開閉所設備について(現在)】

■東海第二発電所
 ・154kV‐気中(ガス遮断器)
 ・275kV‐気中(空気遮断器)
  今後、ガス絶縁開閉装置に変更予定
■敦賀発電所1号機
  ・77kV‐気中(ガス遮断器)
■敦賀発電所1,2号機
  ・275kV‐気中(ガス遮断器)/ガス絶縁開閉装置
■敦賀発電所2号機
  ・500kV‐ガス絶縁開閉装置

なお、当社は卸電気事業者のため、送電線は所有しておりません。一次変電所については他社の設備となりますので、お答えしかねます。

(2014年11月18日:日本原子力発電回答メール)


御回答有難うございます。追加質問で申し訳ありません。

2)東海第二のGIS化は再稼働とも絡むと思われますが、何年度位までに実施するか予定は立っていますでしょうか。

3)敦賀サイトはGIS/GCB化されているようですが、東日本大震災前に自主的・予防的に更新された物でしょうか。

分かりましたら更新された時期などもご回答いただきたくお願いします。

【回答】
2.東海第二発電所においては、今後ガス絶縁開閉装置を設置する予定です。

3.敦賀発電所2号機のガス絶縁開閉装置は運開時に設置しています。また、敦賀発電所1号機の気中(ガス遮断器)については、2004年度に設置しています。(自主的・予防的に更新)

(2014年11月26日:日本原子力発電回答メール)

各社の担当者にはこの場にてお礼申し上げます。

他の問題も検証しなければならないので(というより、多くの人達は他の問題に主たる関心を抱いている)、開閉機器が改善されたからと言って再稼働のお墨付きにはならないが、震災前にGISへ予防更新を行った関西電力、中国電力、九州電力は率直に評価出来る。特に、九州電力の対応は意外なことにベストである。やらせメール事件という失敗がプラスに働いたのだろうか。一方、更新を怠っているサイトについては再稼働を考える上で大きな制約として立ちはだかる。関西電力美浜、日本原子力発電東海第二の2サイトは老朽化も進んでおり、益々不利な条件となる上、更新計画についての具体的回答が無い。既に福島事故から3年半以上の時が経過している。教訓を活かした九州電力との差は著しい。

取分け、東海第二の対応が極めて不可解である。同サイトは日本で唯一、大都市圏に近接した原発である。しかも外部電源は女川などより軽微な地震動で損害を受けている。それにもかかわらず、電源喪失対策としては堤防を嵩上げし、非常電源を強化することばかりに意識が集中している。精々震度5か6程度の揺れでクリフエッジを超えてしまう状態を放置している同社の姿勢は「狂っている」と評しても過言ではない。

今回の記事で終わりにする予定だったが、外部電源(変電機器、開閉機器)はもう1回「開閉機器メーカーの活動実態-各事故調が食い込まなかった更新提案、津波対応、カルテル-」で取り上げる。

2014年12月 9日 (火)

古書店で入手した三菱の週報を読み解く-原発事故対策を中心に-

さて、今回は前回の外部電源記事の追跡取材にしようと思っていたが、最近、古書店で非常に興味深い資料を発見したのでそのことを書く。

この話は海渡雄一弁護士の『原発訴訟』に出てくるもんじゅ訴訟のエピソードで、この古本により原告団は「炉心崩壊事故時の最大有効仕事量が秘密にされていること」を知ったのだという。そして、資料の取得が一因となり、勝訴した。今回も程度の差こそあれ上記のツイートにあるような状況である(閲覧禁止・厳秘印は見当たらなかった)。

2003年頃起こった三菱自動車のリコール騒ぎでも『書類隠し演習』が槍玉に上がっていたが、この資料もひょっとしたらそうした一環で破棄し損ねた物かも知れない。

さて、今回目にしたのは、三菱原子力工業(MAPI)が発行していた週報である。同社が担当していた大飯3・4号機の設計作業を中心にしたもので、期間は1985年9月から1990年5月までである。

計算書や仕様書と違い具体的数値は殆ど無く、淡々と配管や建屋の形を作り上げていく作業が、毎号簡潔にまとめられている。特定のテーマに絞った文書や紹介用の雑誌記事より、「流れ」を見る上ではこの週報の方が向いている。書店で現物をぱらぱらとめくった時、事故のリスクを再評価する上で重要な文献だと思った。

以下、原発事故に係わりの深い事項を中心に気になった点を挙げてみたい。

【通産省への説明のためにストーリーを準備する】

配管サポート合理化の打合せでは次のような記述がみられる。

・波及的事故防止:S2に対してBクラス機器がまったく問題無いでは、従来設計が安全側すぎたと言うことになるので、MITI(注:通商産業省)に対しては説明に工夫が必要。(従来の工認ではAクラスの支持基準のみ提出している)
        :MAPIで管理できない現場施工のものに対する、考え方を再度整理する。

プ設一 週刊トピックスNo.4(通刊17号 61.2.3の週)

基本的な説明をしておくと、原発の耐震設計は建築基準法に準拠した静的設計と地震波(基準地震動)を想定した動的設計の2種類の方法があり、各部位にかかる応力は計算結果の内、大きな値を取った方を目標値にしている。

S2とは基準地震動のことであり、一方でBクラスとは原発の耐震基準で示された分類を指す。当時はAs,A,B,Cの4段階に分かれていた。Bクラスは建築基準法で定められた静的設計震度の1.5倍の震度を目標値にしており、タービン建屋が代表的である。通常、S2による動解析は求められないので三菱で自主的に行ったのだろう。予防的には好ましいことである。

問題は、「説明に工夫」のくだり。規制側の役人にどのように応対するか、である。

官庁側がどう見られているかと言えば、通した方が(予防的には)好ましい些細なことまで指摘して存在意義を示す、と思われていると読み取れる。班目春樹氏が述べていた「安全余裕」とは一体なんだったのか。

また、建設現場で必要に応じて実施された図面化していないサポート工事があるようだ。一般のプラント工事でもしばしば耳にすることだが、これらの強度的な考え方が整理されていなかったのだろう。

また、「説明に工夫」というのは、結局は規程面からの不整合を感じないように、ストーリーを作ることにもつながっていく。それが良く分かるのが下記だ。

①12/22(木)原工試C/V耐震性再評価打合せ(原工試16:00~)
・原工試の案では、従来の試験があたかも不十分であったかの印象を与えるため、ストーリを作り直すよう〇〇主査よりコメントあった。

プ設一 週刊トピックスNo.01(通刊166号 64.01.05の週)

C/Vが格納容器か(普通ならPrimaryのPを冠すると思うが)主蒸気加減弁なのかは文脈によるが、多分格納容器の事だろう。本題としては、内輪同士のやり取りでも結局こうなるということ。「実績のある設備に瑕疵がありました」というような受け取られ方をする文章だと品質保証、つまり仕事を進める上で色々不利で面倒を抱えることになる。反対派など何の関係も無い。内輪の都合でストーリーは決まるということだ。

【再結合器の設置を電協研で研究】

1986年頃の週報には水素再結合装置(リコンバイナ)に関する説明がしばしば登場する。

④電共研 水素リコンバイナ 対電力報告会 1/22
 ・設置基数(1 or 2,三菱案は2基)について議論あり、別途三菱-関電で調整する。
プ設一 週刊トピックスNo.3(通刊16号 61.1.27の週)

リコンバイナに関する記述は通刊14,19,34号でも登場する。1基案を示したのはどこだろうか。

上記会話ツリーでは業界関係者が再結合器について会話しているが、実際には電協研にて四半世紀も前から全PWRプラントを対象に検討していたとみるべきだろう。福島事故を経ても相変わらず他人を見下した態度で知られる二人だが、上記のような背景知識がよもやま話として出てこない辺りに、彼等のポジション、業務遂行上の注意力の無さが見て取れる。

【宣伝映画を見て現場を知る設計者】

週報は毎週A4×1枚に収まっているが、下段の数行は内輪向けならではの肩の凝らないコーナーになっている。誰それが結婚したであるとか旅行に行ったといった類の話。彼等もまた平凡な日本のサラリーマンとして人生を送っている姿が垣間見える。ただ、その中でひとつ気になる記述があった。

・9/24(金)に部長にも出席頂きE/M懇親会を開きました。敦賀2号機の建設記録映画を上映しましたが、始めて原発の工事現場を見た方も多く有益な映画でした。その後は、原子力技術者度チェックのクイズをしましたが、××(注:協力会社)の〇〇さんはじめ正解率も高く、まずは合格とあいなりました。

プ設一 週刊トピックスNo.38(通刊101号 62.9.21の週)

余談だが、E/Mとはエンジニアリングモデルのことと思われる。縮尺何分の1かの模型を作って配管の干渉や機具の配置を検討するものである。60年代に化学プラントで広まったのを皮切りに、3D-CADが普及する90年代までは使用されていた。現在は休館中だが、東電が建設した唯一のまともな技術展示施設、「電気の史料館」にはMark-II改標プラントのモデルが展示されていた(私は電力のそういうPRまでは否定しない)。週報にはE/Mに関する記述が数多く登場し、重要性が伝わってくる。

恐らく、福島第一の宣伝用に作成され、事故後広く知られるようになった『黎明』と同系統の産業映画と思われる。『黎明』は東電社報に上映会申込の手順が書かれたり、原子力シンポジウムで上映されるなど業界人に対する宣撫にも最大限活用され、電気新聞でも紹介された。そうした事実は、本編を観賞しただけでは見えてこない。だから、私は前から「最も宣伝の影響を受けているのは原子力村の住人自身」という持論があるのだが、ここでも広報映画をそのまま転用しているとすると、業界人一般に通底する、あの異様な推進一辺倒の態度が「作られる」のは理解出来る。

【D/G取替工事】

最近のプ設一での小口工事の作業を紹介しておきます。
(1)美浜1、2号機D/G取替工事、配管支持基準の作成

プ設一 週刊トピックスNo.01(通刊127号 63.3.28の週)

福島事故後、予防的にD/Gを増設、移設するべきだったという指摘がある一方で、コストなどを理由に何も対策出来なかったかのような「弁護」を行う向きがネット内外でも見られる。

ここで重要なのは保全活動の実態が知られていない事である。当時の美浜のように20年前後の経年になってくると、電力会社はD/Gの更新を行っていた。勿論建屋を別の場所に設ける訳ではないが、D/Gというのは機械だから収納している部屋の建築費に比較してもそれなりの金額なのが常識である。旧型が製造不能になって別タイプに更新しているのなら架台なども作り直しで更新費は更にかかる。週報の記述で重要なのはD/G更新程度では小口工事と見做されてることだ。

電力業界がある意味では津波研究にあれだけ固執し、少なくない研究費を使っておきながら、D/G更新の機会に移設や収納部屋の防水化を実施した事業者が余り無かったのは不可解である。

【シビアアクシデント解析を電協研で実施】

今回私が初めて知った中で最も関心を抱いたのが、シビアアクシデントを電気協同研究会で研究していた事である。この事実は下記の文献には記されていなかった。

・西脇由弘「我が国のシビアアクシデント対策の変遷 原子力規制はどこで間違ったか

・NHK ETV特集取材班『原発メルトダウンへの道: 原子力政策研究会100時間の証言』新潮社 2013年11月

これらはシビアアクシデントの経緯を解明するための基本文献に位置するため、電力が報告していない研究を掘り起こしたのかも知れない。

⑥6/10(金)電共研シビア事故時C/V健全性(関電本店13:30~)
・鋼製C/V圧力挙動試験は、原建部担当で、64年度の電共研として取り上げられる見込みが強い。
・PCCVについて片手落ちとなるので、PCCVについても、圧力挙動評価ができるように電共研を提案する。(喜撰山の実験を極力流用できるようにする)
・SCD時の耐境界性評価に関する電共研全般について説明した。水素濃度計の評価が不要とのストーリに関電コメントあり、現状の設備でどこまで耐えられるか机上評価をつけくわえることとした。

プ設一 週刊トピックスNo.23(通刊138号 63.6.13の週)

②7/21(木)電共研C/V内可燃性ガスの局所爆轟打合せ(13:30~)
・水素が18%以下では爆轟しないという確認が一般的であったが、サンディア(注:米国サンディア国立研究所)の試験では13%で爆轟が生じており、電共研の必要性が生じたので、作業計画の調整をおこなった。

プ設一 週刊トピックスNo.29(通刊144号 63.7.27の週)

④8/10(水)電共研PCCV限界挙動評価対大成打合せ(14:30~16:00)
・PCCVの解析、評価について、大成委託分の作業内容の確認を行った。

プ設一 週刊トピックスNo.32(通刊147号 63.8.15の週)

②8/18(木)電共研SCV,PCCV限界挙動評価打合せ(電話会議)
・PCCVの貫通部試験を共研から外し、関電要求に近い金額まで下げて、計画を再提出する。

プ設一 週刊トピックスNo.33(通刊148号 63.8.22の週)

①9/05(月)C/V水素局部爆轟研究打合せ(9:30~12:00)
各所の見積りが電共研としては高いので、MHI本社より大幅にカットした案が提示された。各所で持ち返り検討する。また、C/V弾塑性解析は高研2、MAPI1の割合で行うこととした。

プ設一 週刊トピックスNo.36(通刊151号 63.9.12の週)

①9/12(火)PCCV電共研 3電力平成元年度上期報告会(関電本店13:30~)
・3電力への報告が終了し正式版を9/E迄に提出する。またCEGBサイズウェルB(注:イギリスで計画されていたPWRプラント) 1/10スケールPCCV試験結果を説明した。

プ設一 週刊トピックスNo.17(通刊182号 1.09.18の週)

この他通刊134,144号でこの研究の進捗状況が報告されている。

PCCVとは敦賀2号より採用されたコンクリート製格納容器のこと。さて、脱原発派に転じた技術者でシビアアクシデントに最も深く関与していたのは東芝の後藤政志氏である。同氏の経歴を見ると1990年に東芝に移籍している。従って、1990年より前のシビアアクシデント研究状況は体験し得ない。このことは後藤氏がフリーに話す意思を持っていても初期の研究状況に関する証言が得られないことを意味する。小野俊一氏の場合も似たところがあり、本店の安全部門に転属したのは1993年の事である。

私が初期の状況に拘るのは、歴史的経緯を紐解くと大体初期に間違いが集中してしまうからである。誤ったフレームを共通認識にして見落としする、或いは上記のような予算の都合を理由に、重要な前提を除去してしまうなど。当ブログで扱った津波、地震動、外部電源、非常用ガス処理系のいずれも、このパターンに落とし込めたことを思い出していただきたい。各事故調と殆どの論者が問題にしているのは後半戦や最後のチャンスに関する出来事ばかりである。私が解明してきたのは最初の躓き、ということだ。事故を回避出来さえすればどこの段階で宿題を回収しても構わないが、両アプローチは相補的だと考える。

上記の深い考察については専門家の見解を待ちたいところだが、予防的処置に絡めて一つ言及しておくと「極力流用」等受け身の態度が目立つこと。受け身の姿勢は他にも思い当たる節がある。

この研究の2年程前、設置許可の認可を得るルートとしてPCCVを特認とするか、火力原子力技術協会を通じて指針を策定するかで議論があったことが記されている。先行する敦賀2号機では特認扱いであり、結局大飯3・4号機も特認で申請となったのだが、問題となったのは書類作りの煩雑さが主であり、検討中に起きたチェルノブイリ事故の教訓取り込み=シビアアクシデント対応強化の姿勢が見えてこない。

また、当時、関電管内で大飯3・4に続くプラントは弾切れで、和歌山県の日置川地点は1988年に中止に追い込まれていた。私見だが、初期のプラントに比べ早期運開への圧力は低かったのではないかと推測する。業界内外で喧伝された炉型相違論-RMBKとは違うので安全である、という論理-の影響により敦賀踏襲となったとすれば、宣伝が危機意識を潰したことになる。より明瞭に光を当てるには欧州の同時期PWRプラント建設過程との詳細比較が必要だろうが、現時点でも、私にはこの資料から得る物があったと思う。ポストチェルノブイリ機であるにもかかわらず、敦賀2号機より4~6年後のプラントをリピートとしたのはそれだけ進取の姿勢が消極的だったと言える。震災後の再稼働問題でも響いているのではないだろうか。

【最後に】

私が一番懸念しているのは、ベテランの設計者がこの記事で示したような習慣・対応をノウハウだと思って外野一般に対して奇妙な優越感を持つことに繋がっていないか、ということ。確かに、教科書には不向きな内容だが、こういった実情を知っていること「だけ」を根拠にあの実務家特有の傲慢さを示しているとなると、困ったものだと思う。

ただ、この週報の内容は、仕事の記録として、全体的には違和感を感じなかった。その意味ではサラリーマンの仕事はどこも似ているのだなと感じる。対外的な宣伝で一般性を強調する時はこうした面が元になるのだろう。

なお、この週報だが資料性に鑑み某所に寄贈したことも併記しておく。

※宿題になっている配電盤の他、外部電源、地震想定史について興味深い事実を知った。次回以降、記事で取り上げる。

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